2000年10月6日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルスの発見届出状況について

1.2000年9月ウイルス発見届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・村岡茂生理事長)は、2000年9月のコンピュータウイルスの発見届出状況をまとめた。

 ●発見届出件数

676件(先月556件、1月〜9月累計5,222件)

  ['99年9月 332件、'99年一年間3,645件(月平均約304件)、'99年1月〜9月:2,783件]  
  ['90年4月から2000年9月までの届出総数17,064件] 

 ●発見届出状況

 発見届出件数は676件。9月の届出中、実際に感染被害に遭ったケースはわずか91件(1割強)であった。
 感染経路は、メールによるものが91%と、ほとんどを占めており、内訳では海外からのメールによるものが全体の50%以上となっている。
 9月の届出ウイルスは45種類で、新種ウイルスは「W97M/Bablas」「W32/MTX」「W32/QAZ」の3種類であった。 

2.今月の特記事項

(1)新種ウイルスW32/MTXウイルスに要注意

 今月の新種ウイルスであるW32/MTXウイルスの届出や相談が数多く寄せられている。このウイルスは、32ビット実行形式のファイルに感染するウイルスであり、W32/Ska(Happy99)ウイルスと同様に、ユーザが送信したE-mailのあて先に自分のコピーを送信し感染を広げる。このウイルスが送信する添付ファイル名は日によって異なり、その拡張子は「PIF」「EXE」「SCR」のいずれかである。特に、PIFファイルはWindows上ではファイル名称の表示時に「.PIF」拡張子部分が表示されないので、テキストファイルなど他の形式と見誤る恐れがあり注意を要する。 このウイルスが動作すると、一瞬にして多くのシステムファイルに感染する可能性が高く、ひとたび感染被害に遭うと、確実な修復のためには、初期化からシステムの再インストールを行わなければならないので、添付ファイルを安易にダブルクリックすることのないよう注意が必要である。
  感染被害を防ぐためには、「メールの添付ファイルを不用意に実行しない」というウイルス対策の基本を確実に守ることである。
   「メールの添付ファイルの取り扱い5つの心得」を参照のこと。
   このウイルスの詳細はこちらを参照。

(2)ワクチンソフトのアップデートを確実に実施のこと

 ワクチンソフトのウイルス定義ファイルのアップデートをしていないユーザからの相談がウイルス110番に数多く寄せられている。毎月出現している新しいウイルスの検出駆除を可能にするために、クライアントのマシンでも1〜2週間に一回は必ずウイルス定義ファイルのアップデートを実施するとともに、検査対象に「PIF」等の拡張子を追加することも必要である。
  なお、アップデート情報や検査対象の設定方法は下記サイト及びワクチンベンダーサイトを参照されたい。
  「主なワクチンソフトのウイルス定義ファイルの更新履歴一覧
  「主なワクチンソフトの検査対象の設定方法

(3) 情報セキュリティセミナー開催

 IPAは、全国の通商産業局との共催で、情報セキュリティセミナーを10月23日から12月8日の間に、全国14会場(15回)で開催する。本年度は、ウイルス対策及び不正アクセス対策について、「エンドユーザコース」と「管理者コース」の2コースが用意されており、いずれも参加無料である。
 開催場所、日程、申込方法等の詳細は、IPAのWEBに掲載済み。 

コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂


 今月、届出のあったウイルスは45種類であった。 届出件数の多いウイルスは、X97M/Diviが100件、 XM/Laroux が93件となっている。初めて届けられたウイルスは、 「 W97M/Bablas」「W32/MTX」「W32/QAZ」の3種類(※印)である。 
 (マクロウイルス及びスクリプトウイルス 584件、Windows、DOSウイルス 93件。 1件で複数のウイルス感染の届出がある為、合計は届出件数の 676件に合致しない。)
マクロウイルス 届出件数 マクロウイルス 届出件数
 X97M/Divi 100  W97M/Thus
 XM/Laroux 93  W97M/Verlor
 X97M/Barisada 50  X97M/Sugar
 W97M/X97M/P97M/Tristate 34  XF/Sic
 W97M/Marker 27    
 W97M/Class 13 スクリプトウイルス 届出件数
 W97M/Ethan  VBS/LOVELETTER 82
 W97M/Melissa  VBS/Stages 57
 XM/VCX.A  Wscript/KakWorm 57
 W97M/X97M/Shiver   VBS/Freelink
 W97M/Locale  VBS/Netlog
 W97M/Vmpck1 Windows、DOSウイルス 届出件数
 W97M/Groov  W32/PrettyPark 29
 W97M/Myna  W32/Ska(Happy99) 26
 WM/Cap  W32/MTX(※) 11
 W97M/Eight941  W32/Funlove
 W97M/Panther  W32/CIH
 W97M/Smac  W32/Fix2001
 W97M/Story  Anti-CMOS
 W97M/Walker  Form
 W97M/Bablas(※)  Anti-Telefonica

 W97M/Chack  MCGY2803
 W97M/Nsi  W32/Marburg
 W97M/Opey  W32/QAZ(※)

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)

9月の届出の中で、検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト及びベンダーを参考に示す。

検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト
 ソフト名(50音順)  ベンダー名
 F-SECURE(F-PROT)  (株)山田洋行
 Inoculan  コンピュータ・アソシエイツ(株)
 Inter Scan  トレンドマイクロ(株)
 NortonAntiVirus  (株)シマンテック
 Protector Plus  Proland Software
 ServerProtect  トレンドマイクロ(株)
 Virus Scan  日本ネットワークアソシエイツ(株)
 Web Shield  日本ネットワークアソシエイツ(株)
 ウイルスバスター  トレンドマイクロ(株)

3.届出の概要

(1)9月にIPAに初めて届け出のあったウイルスの概要を記述する。

W97M/Bablas (Wordl97Macro/Bablas)
 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。
ウイルスに感染した文書ファイルを読み込むと、そのMSwordに感染する。
 感染したMSwordで作成、編集した文書ファイルを閉じたときにそのファイルに感染する。
 感染すると、「ツール」/「オプション」/[全般]タブの「マクロウイルスを自動検出する」、[保存]タブの「保存時にプロパティを確認する」の項目をオフに設定する。 金曜日または日曜日の00:00:00から20:59:59の間に感染しているWordを終了すると発病し、ビープ音をならし、インドネシア語のメッセージを表示する。
 このウイルスは、日本語版MSword97/98/2000、英語版MSword97/2000版で感染・発病する。

W32/MTX
 このウイルスは、32ビット実行形式のファイルに感染するウイルスである。
感染したファイルを実行すると、Windowsフォルダに、ウイルス及び関連ファイルを作成する。そして、システム起動時に、ウイルスが実行されるようにレジストリを変更する。
 また、Windowsフォルダ、テンポラリフォルダ゙、カレントフォルダ内を検索し、32ビット実行形式のファイルに感染する。
感染したマシンを再起動しメールを送信すると、同じアドレスに、ウイルスを添付した件名および本文が空白のメールを送信する。添付ファイル名はメールの送信日により異なる。
 また、特定ワクチンベンダー等のWebサイトにアクセスできなくなる。
 このウイルスは、Windows95/98環境で感染・発病する。

W32/QAZ

 このウイルスは、Windows32ビット環境で動作するトロイの木馬型ウイルスである。
 このウイルスを実行すると、システム起動時にウイルスが動作するように、レジストリを変更する。そして、Windowsフォルダ内のnotepad.exeをnote.comというファイル名に変更し、自分自身のコピーをnotepad.exeというファイル名で、Windowsフォルダに作成する。 また、LAN上のドライブを検索し、notepad.exeファイルが存在した場合にも、同様の動作を行い感染する。
 ファイルの破壊等の発病はないが、このウイルスが実行されメモリに常駐すると、外部からのリモートアクセスを受入れる設定にされる。

(2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、約97%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2000/9   2000/1〜9   '99合計  
 一般法人ユーザ 658 97.3% 4908 94.0% 2859 78.4%
 情 報 産 業 0.4% 82 1.6% 203 5.6%
 教育・研究機関 0% 56 1.1% 227 6.2%
 個 人 ユ ー ザ 15 2.2% 176 3.4% 356 9.8%

(3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて中部地方、近畿地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2000/9   2000/1〜9   '99合計  
 北海道 地 方 0.1% 27 0.5% 34 0.9%
 東 北 地 方 0.4% 43 0.8% 89 2.4%
 関 東 地 方 620 91.7% 4546 87.1% 2476 67.9%
 中 部 地 方 25 3.7% 271 5.2% 293 8.0%
 近 畿 地 方 20 3.0% 262 5.0% 547 15.0%
 中 国 地 方 0.1% 22 0.4% 107 2.9%
 四 国 地 方 0% 0.2% 25 0.7%
 九 州 地 方 0.9% 42 0.8% 74 2.0%

(4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、大部分を占めており、不明を除いた届出件数の約91%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2000/9   2000/1〜9   '99合計  
 メール 263 38.9% 2825 54.1% 2175 59.7%
 海外からのメール 353 52.2% 1744 33.4% 268 7.4%
 ダウンロード 0.6% 48 0.9% 195 5.3%
 外部からの媒体 23 3.4% 288 5.5% 589 16.2%
 海外からの媒体 0% 0% 22 0.6%
 不 明 33 4.9% 316 6.1% 396 10.9%

(5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2000/9   2000/1〜9   '99合計  
  0台 585 86.5% 4382 83.9% 1692 46.4%
  1台 60 8.9% 572 11.0% 1316 36.1%
  2台以上 5台未満 20 3.0% 189 3.6% 401 11.0%
  5台以上10台未満 0.9% 50 1.0% 122 3.3%
 10台以上20台未満 0.3% 13 0.2% 64 1.8%
 20台以上50台未満 0.3% 0.2% 33 0.9%
 50台以上 0.1% 0.2% 17 0.5%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届出されたウイルスの中で、10月6日〜11月30日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W97M/Opey(Word97Macro/Opey)  11月1日、30日
 W97M/Eight941(Word97Macro/Eight941)  11月10日
問い合わせ先:

IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室

TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp