6.まとめ

1章の調査概要で示した様に、本調査は平成11年度1年間にわたって米国、ドイツ、イギリス、韓国、シンガポールの5カ国について被害実態の調査を行ったものである。アンケートを送付した件数は約25,000件で、合計1,415件のコンピュータユーザから回答を入手している。

コンピュータウイルスの被害状況や防止技術に関しては、海外諸国の実情から日本の今後の対策について学ぶべき点も多い。本章では調査全体として特徴的な事項を記載する。

1.ウイルス感染の状況

@現在の状況

過去1年間にウイルスに感染したことのある事業所は、各国とも過半数を超えており、地域による差は感じられない。これは、インターネット/イントラネットの普及により、世界中どの地域でもインターネットにつながれたコンピュータが普及し、それに伴ってコンピュータウイルスの脅威にもさらされていることを示している。

また、PCからワークステーション、汎用機とどの機種に対してもコンピュータウイルスの被害は及んでいる。

A今後の被害予想

今後の被害予想としては「顕著に増加する」が4割以上を占める。その理由としては、「インターネットの使用の増加」「ウイルスの開発スピードの方がワクチンソフトの開発スピードよりも速いので」「教育を受けていないユーザが増加するため」などがあげられている。

2.感染ウイルスの種類

昨年度の調査で新しく韓国と台湾で猛威を奮っているとされた「W32/CIH」ウイルスが、本年調査では最も感染率が高い。

全体としてはマクロウイルスの感染率が高いが、国別にやや違いがあり、韓国では「Laroux」、ドイツでは「Ethan」、シンガポールでは「W32/Ska」、イギリスでは「Ethan」や「Melissa」、そして米国では「Marker」「Melissa」「Class」などの感染率が高くなっている。

3.ウイルス感染対応策

@感染源

感染源は、従来のFD感染から、ネットワークによる外部からの侵入へと変化しつつある。特に「電子メイル」「電子メイルの添付文書」とする回答も散見された。

A感染の検出方法

感染したことを検出する方法としては、「ワクチンソフトの使用」が最も多く半数を占め、次いで大きく離れてはいるが「マクロアラーム」があげられている。

B感染後の復旧

 感染後の復旧方法としては「自分で対応」「各種ツールの使用」「社内の技術者に相談」が多い。各国とも8割以上の企業でワクチンソフトを導入している。

C今後のセキュリティ対策

今後のセキュリティ対策として、各国とも「コンピュータウイルスについての予防教育」と「ファイヤーウォールの構築」が最も多い。前者はコンピュータの使用者が広い範囲で増加しているため、後者は更なるネットワーク化の普及とともに各国ともにネットワーク経由でのウイルス感染が増大すると予想されているためと考えられる。