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8.6  今後の動向

8.6.1  政府機関

GPKI において府省 CA が運用されているのは、経済産業省、総務省、国土交通省の 3省です。(2002年 2月現在)

その他の省庁については、平成14年度中に整備される予定です(表 8-12)。詳細な構築状況は各府省ホームページの「申請・届出等手続の電子化推進アクション・プラン」で確認できます。

表 8-12 各省庁の認証局構築状況

省庁名

状況

総務省

ブリッジCA 運用中

法務省

2000年着手 2001〜2003年開発 2003年運用開始予定

財務省

2002年運用開始予定

文部科学省

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

厚生労働省

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

国土交通省

認証局運用中

環境省

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

外務省

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

防衛庁

2000年検討着手 2001〜2002年開発 2003年運用開始予定

警察庁

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

経済産業省

認証局運用中

農林水産省

2001年検討着手 2002年開発 2003年運用開始予定

 

法務省の「電子認証登記所」(商業登記制度に基礎を置く電子認証システム)が既に運用されていますが、これはGPKIに接続する特定認証業務機関に該当し、GPKI本体の範囲には入りません。

8.6.2  地方自治体の動向

電子政府を支えるネットワークである統合行政ネットワーク (LGWAN) と住民基本台帳ネットワークの2つのネットワークと、LGPKI や JPKI といった認証基盤について解説致します。

(1)  LGWAN

LGWAN [88] は、中央省庁同士のネットワークである霞ヶ関 WAN と都道府県庁、市町村役場を接続することを目的としたネットワークで、行政文書をすべて電子化し行政処理の効率化を図ろうというネットワークです。総務省が主体となって構築されており、2003年度中にすべての市町村役場までが接続を完了する予定です。

(2)  住民基本台帳ネットワーク

総務省主体のもとに、構築が進められているネットワークで、中央省庁と地方自治体とを接続し、住民データベースへのアクセスを可能とするネットワークです。住民票の交付や転居の手続きを簡素化するといった住民サービスの向上を目的としており、このネットワーク実現のために1999年に住民基本台帳法が改正されました(改正住民基本台帳法 [89])。

1999年に自治省が発表した「地方公共団体における行政情報化の推進に関する調査研究会報告書」の中では、以下の IT 化目標が掲げられており、2005年に地方自治体としての電子自治体の運用開始を目指しています。

  1. 住民負担の軽減、質の高いサービス提供
  2. 民間部門への影響(情報化、電子化、EC)
  3. 多様化する住民ニーズへの対応
  4. 行政情報化と地域情報化の一本化
  5. 経費削減だけではない新たな効果

先進的な自治体では取り組みが既に始まっている地方自治体もあります(表 8-13)。

表 8-13 自治体の IT 化取り組み例

神奈川県 横須賀市

内容

実施年月等

1. IT 戦略会議を設置し、情報化の推進を図る。

2000. 12

2. IC カードを使った行政・民間サービスの運用実験を実施

2002. 1〜3

3. 情報技術(IT)分野での ISO9001 取得

2000. 12

4. 電子会議室を設置し、市民の意見を行政の参考に

2001. 6

5. Lモード (NTTのサービスの一つ)への情報提供

2001. 8

岡山県 新見市
内容 実施年月等

市長、市議の選挙において、全国初の電子投票を実施予定

* 自宅のPCからではなく、投票所にある電子投票機を使用します。

2002. 6

この他にもWebサイト開設、申請書類のダウンロード・サービスなどの取り組みが、多くの地方自治体で行われています。

(3)  電子自治体認証基盤(LGPKI)と公的個人認証基盤(JPKI)

電子自治体認証基盤(LGPKI)はLGWAN内の官職に対して証明書を発行する認証基盤で、GPKI の BCA と相互認証します。

公的個人認証基盤(JPKI)は、47都道府県が主体となって証明書発行の基盤を構築し、全ての国民に証明書を発行する認証基盤です。

これら認証基盤の方式は、現在(2002年 2月)でも詳細仕様が検討中となっています。

8.6.3  特殊法人と民間

電子政府・政府認証基盤と呼応した特殊法人・民間の動きを紹介します。

(1)  特定認証業務機関

特定認証業務の認定を受けている民間機関が既に数社あります(表 8-14)。

8-14 特定認証業務機関(2002年2月現在)

民間機関名

認定年月日

URL

日本認証サービス株式会社

2001.7.13

http://www.jcsinc.co.jp/

帝国データバンク

2001.9.6

http://www.tdb.co.jp/

日本電子公証機構株式会社

2001.12.14

http://www.jnotary.com/

(2)  電子商取引推進協議会 (ECOM http://www.ecom.or.jp/index.html)

ECOMは、政府や民間の商取引に対し電子商取引に関する提言と、国際標準化に関する活動を行う民間組織です。電子商取引の推進と関連する分野における国際貢献活動を目指し、民間企業数社により設立されました。

(3)  日本品質保証機構 (JQA http://www.jqa.jp/)

JQAは、電子署名法の施行を受けて、特定認証業務認定の申請があった事業所の認証業務の調査を行う「指定調査機関」です。電子署名・認証に関する技術等について、諸外国の動向等の調査を行い、セミナー開催などの活動により、電子署名・認証の普及を促し、認証業務の安全・信頼性等を確保するために必要な情報を調査・研究し、認証事業者や利用者に対して提供しています。

8.6.4  諸外国の動向

諸外国におけるPKIの取り組みを紹介します(表 8-15)。

表 8-15 諸外国における PKI の取り組み

国名

実施内容

解説

カナダ [90]

政府 PKI は階層方式(シングルルート CA)。

民間 CA とはピア・ツー・ピア方式。

外国 PKI との接続も考慮。

政府(各省庁)が企業や市民に発行する認証書は、政府に対してのみ有効とされており、企業や市民間での利用は認められていません。

証明書クラスが4段階存在します。

アメリカ [91]

BCA 方式を採用。

連邦政府機関毎に PKI を導入。

BCA を設置。

政府職員のセキュリティ確保が主眼。

証明書クラスが 5段階存在します。

オーストラリア [92]

外国 PKI との接続も考慮。

GPKA には政府公認の CA と非公認の CA を接続。

Gatekeeper という PKI に関する詳細な基準に従って実施しており、実際の運用は Gatekeeper 認定を受けた組織が行っています。

個人のプライバシーに対する意識が強く日本のように住基ネットのようなものもないので地方自治体を含めた証明書の相互運用は現時点では行われていないが、オーストラリア企業番号電子署名証明書 (ABN-DSC) のような共通の証明書を用いた相互運用方式の検討が行われています。

イギリス [93]

導入のためのプロジェクトが進行中。

米国のようなブリッジ認証局は設置せず、最上位認証局(ルート CA) を頂点としたピラミッド型の階層構造をもちます。

PKI を利用した、相互運用性を持つ多国間軍事情報システムを開発しています。



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