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情報セキュリティ

クラウドの浸透実態と緊急時対応における課題に関する調査結果について

更新日 2012年10月9日
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 セキュリティセンター

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、日本においてクラウドコンピューティング(*1)(以下「クラウド」)が各方面で広く使われるようになりつつある現状を踏まえ、社会インフラとして平時の生活や経済活動を支えている点や、緊急時の情報インフラとしての機能を期待できることに対応して、クラウドが停止したときの影響の評価や、クラウドの機能を緊急時や災害時に維持継続するための条件について検討するために、「クラウドコンピューティングの社会インフラとしての特性と緊急時対応における課題に関する調査」(以下本調査という)を実施し、その結果を報告書に取りまとめました。

1. 調査の狙い
 クラウドの浸透が急速に進み、国民生活や経済活動を支える情報基盤となりつつあります。また、東日本大震災における経験から、緊急時の情報インフラとしての有効性が期待できます。一方、万一クラウドが停止した場合にはその影響は大きく、社会的に深刻な事態となる恐れがあります。
 このような認識を踏まえ、クラウドの社会への浸透の実態を調べるとともに、クラウドの機能を災害時等にも維持するための仕組みや条件について、多面的に検討するために、本調査を実施しました。

2. 調査結果の概要
 クラウドの社会への浸透実態としては、個人間の情報共有手段であるSNS(*2)の普及、生活必需物資の調達でネット通販への依存が高まると見られること、企業活動におけるデータセンターのアウトソース利用の進展、金融、医療、水道等での情報システムのクラウド依存の浸透等の実態が明らかになりました。
 東日本大震災に際しては、ほとんどのデーセンターが機能停止に陥らなかったことや、クラウド事業者からの多くの無償サービス提供が救援活動等に役立ったことが確認され、災害時の社会インフラとしての価値が確認できました。
 クラウドの耐障害性と障害からの復旧のための条件や課題については、データセンター設備の耐災害性、システムの冗長構成、ライフライン及びそれが途切れたときの非常用発電機燃料等二次サプライの確保、要員の確保対策、サイバー攻撃対策等の必要性が浮かび上がりました。またデータセンターをまたがる仮想環境(*3)の移動・移転を実現する取り組みも確認できました。さらに、緊急時におけるクラウドサービス優先提供のための判断枠組みを平時に整備しておく必要も指摘されました。これは「トリアージ(*4)」というコンセプトでまとめています。
 また、データセンターが万一機能停止した場合に、クラウドをデータセンター間で移転する可能性についても調査し、その必要性や条件ならびに課題についてまとめました。
 クラウドは、社会インフラを担い、緊急時には平時の機能を維持・回復するだけでなく、緊急時に新たに発生するニーズへの対応が期待されます。これは、ITサービスの供給力に余力がある(または生み出せる)可能性が高く、その余力を迅速に柔軟に様々な用途に適用できるクラウドの特性によって、可能になる社会的機能と言えます。この特性を活かし、クラウドが社会インフラとしての機能を今まで以上に果していくことが期待されます。

脚注

(*1) 大規模データセンターにおいて仮想化等の技術を用いてコンピュータの機能を用意し、それをインターネット経由で自由に柔軟に利用する仕組みの総称。

(*2) ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。人や組織間の情報交流の場や手段をインターネット上で提供するサービス。

(*3) コンピュータシステム上に仮想的に独立したコンピュータ環境を構築する技術を使って作られた仮想コンピュータ環境。

(*4) 医療における緊急時の救急治療の優先度を判断する仕組みの概念を援用して、ここでは「前もって判断基準のみを策定しておき、事象が発生した際にはその判断基準によって優先順位付けを行うこと」の意味で使用しました。

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実施者

本件に関するお問い合わせ先

IPA 技術本部 セキュリティセンター 勝見/小松
TEL:03-5978-7530 FAX:03-5978-7546 E-mail:本件に関するお問い合わせ先

変更履歴

2012年10月9日 報告書を一部改訂
2012年9月28日 掲載