1.4 リモートアクセスの活用事例
1.4.1 フレックス勤務対応システム(1.3@の応用事例)

あるメーカーでは、研究職や技術職、企画職などの一部に裁量労働制を導入したのに伴って、勤務形態も5時間ほどのコアタイム以外はどこで仕事をしても構わないフレックス勤務制度を適用しました。
評価(報酬)は成果で決まり、勤務時間は反映されません。
 このために1.3@の形態のリモートアクセスを導入し、次のような仕事の仕方が可能になりました。

・ オフィス内で仕掛かり中の仕事を中断して、外部の関係者との会議に出席します。そのまま帰宅し、一段落後、自宅にあるパソコンをオフィスの自席のパソコンに接続し、オフィスのパソコンの仕掛かり中のソフトウェアを起動して仕事の続きを行います。その日のうちに仕事を完成させて次の日の会議に間に合わせることができました。外部の会議の後オフィスに戻るより時間のロスが少なく、効率的に業務を遂行できるようになりました。

・ 研究職のある人は、夜中にアイディアを思いついて、自宅のパソコンを研究室の自分のパソコンに接続し、アイディアをメモにまとめて、研究所内のサーバーに登録して発表しました。翌日の昼頃研究室に出勤すると、研究室の多くのメンバーからアイディアに関するコメントを聞くことができ、研究のスピードアップに役立ちました。

・ 企画職のある女性は、子育てのため夕方早めに帰宅しますが、子供が寝た後、リモートアクセスにより仕事の続きを行い、仕事と子育ての両立が可能になりました。
 

 上記は自己管理がきちんとできる人がリモートアクセスを上手に利用している例です。
 
セキュリティ面での配慮は、認証システムを強化したこと、および利用者の許可基準を厳しく設定したことです。さらに、リモートのパソコンを本人以外には使えないようにするため、生体認証の導入を検討しています。
  

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1.4.2 SOHO(1.3Aの応用事例)

@ サテライトオフィス

 サテライトオフィスとは、市街地に置かれた本社を中心に衛星(サテライト)のように、周辺の住宅地に設けた小さな分散型のオフィスのことをいいます。通勤時間が短縮でき、精神的にゆとりを持って仕事ができるなどの利点があります。
 以前からサテライトオフィスの啓発普及が行なわれてきましたが、通信回線の高速化、セキュリティ対策の普及などリモートアクセス環境が改善され、地球温暖化対策などからその必要性も高まっており、普及が期待できるようになってきました。

A 在宅勤務

 サテライトオフィスを更に進めて、オフィスに出勤せずに自宅を拠点として勤務する形態を指します。
 具体的には、子育てや介護のために自宅で作業をする場合、障害で通勤が困難な場合、必要な時だけオフィスに出勤し大半は通勤時間の節約のため自宅で作業をする場合、などが当てはまります。
 利点としてはサテライトオフィスとほぼ同じですが、自宅で使う業務上の装備品の支給の問題や、勤務状態の管理・業績評価など管理上の課題、住宅事情、社会習慣などの問題があり、日本では余り普及していません。しかし、最近、住宅における通信環境のブロードバンド化が進み、快適なリモートアクセスが実現可能になり、子育てと仕事の両立など必要性の高い場面から普及して行くものと期待されています。

 この事例では、SOHOにおいてもオフィス内のパソコンと同じ位置付けでパソコンを利用するため、1.3Aの形態のリモートアクセスを用いています。
 
セキュリティ面での配慮は、認証システムの運営を見直したこと、情報漏えいへの対策のため情報管理基準を制定し徹底を図ったことです。さらに、SOHOで利用するパソコンのファイルを暗号化することが望まれます。
 

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1.4.3 リモートからのデモ、イベント展示支援(1.3Bの応用事例、その1)

営業担当者やイベント会場でのデモ担当者などへのリモートアクセスによるサポート例です。
 オフィスの中にイベント専用のサーバーを立てて、かなりの期間にわたりイベントの準備をし、リハーサルも繰り返し行ってきました。
 イベントの本番でも、イベントのブースとインターネットで接続し、このサーバーをリモートから利用することにしました。
 イベント会場の担当者は、イベント会場にはパソコンのみを持ち込みリモートアクセスでオフィス内のサーバーにアクセスし、プレゼンテーションします。デモ用のプログラムはオフィス内のサーバーで動作し、データもこのサーバーにあります。
 オフィス内の情報システムでアクセスできる範囲はデモ用のサーバーに限られます。そのため、リモートアクセスの形態は1.3Bを用いています。
 
セキュリティ面での配慮は、リモートからアクセスできるサーバーを絞り込んだこと、リモートアクセス可能な時間帯を制限したこと、イベント終了と同時にこのリモートアクセスは終了したことです。しかし、多くの機密情報が存在するシステムの一部にアクセスを許可していますから、短期間のリモートアクセスとはいえ、ワンタイムパスワードなどを導入して、認証システムを強化すべきだったと思います。
 

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1.4.4 配送支援システム(1.3Bの応用事例、その2)

このシステムでは、バーコードリーダーと帳票プリンタおよびGPS(位置測定システム)を一体化した専用PDAを使用して次のようなことを実現しています。

・ 配送先とそのルート、配送先別商品とその数量、代引きなどの条件、などの指示
・ 配送センターの在庫管理とトラック上の商品管理
GPSによるトラックの位置確認と配送先からの問い合わせに対する正確な応答
・ 納品伝票の発行、集金した時の領収書の発行と入金情報の入力
連絡、報告、配送員の勤務管理など

このシステムの情報処理の概要は以下の通りです。

・ 出勤したらオフィス内システムのPDA接続装置にPDAをセットします。
PDAへの充電とその日の配送先、ルート、商品と数量、など必要な情報がサーバーよりダウンロードされます。
・ このPDAを持って配送センターに行き、バーコードを使って配送先と商品を確認しながら商品をトラックに積み込みます。このとき、配送センターの在庫管理に積み込んだ商品が入力されます。
・ トラックが出発するとGPSによる追跡が始まり、オフィスシステムの画面にそのトラックの位置が表示され、配送先からの問い合わせに、正確な応答が
できるようになります。
・ ルートにしたがって配送先に行き、PDAを使って商品を確認しながら納め、納品伝票を発行します。
必要なら代金の回収を行い領収書を発行します。納入と集金の情報がサーバーに入力され、トラック内の商品車載情報が更新されます。
・ 必要に応じて、メールによる連絡や報告が行われます。

この事例では、インターネットを経由せず、携帯電話網やPHS網で直接オフィスシステムにアクセスしているため、リモートアクセスの形態は、 1.3Bを採用しています。
セキュリティ面での配慮は、PDAにロック機能を備えたこと、独立したシステムにしたことです。さらに、通信とPDA内の機密情報を暗号化することが望まれます。
 

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1.4.5 SFA(セールス・フォース・オートメーション)(1.3Cの応用事例、その1)

SFAは、営業活動の情報化を進め、営業活動の効率化と顧客満足度の向上を目指すシステムです。
 
営業員は、新たなユーザー開拓をしたり、既存ユーザ−との取引を拡大していくために、オフィスを出てフィールドで行動する必要があります。これらの活動は今まで、営業員の個人的資質に頼ってきた
面が強かったといえますが、これを均質化し、組織的に効率化や質の向上を図るため、モバイルコンピューティングやグループウェアなどの情報技術を駆使して、営業活動を支援するシステムの導入が進められています。
 
SFAは、チームセーリング、すなわち顧客に対する営業活動をチーム全体で支援し、合理的かつ計画的な営業活動ができる機能を提供します。ここでもリモートアクセスがシステムのベースとなります。

 この事例のSFAでは、フィールドでの業務に加えて、オフィス内の業務を行うこともあるので、リモートアクセスの形態は、1.3Cの形態をとっています。
 
セキュリティ面での配慮は、認証の方式を強化したこと、リモートアクセスの利用マニアルを作成し使い方の訓練や情報漏えい問題への意識を教育したことです。さらに、持ち運びするパソコン内の情報の暗号化を徹底することが望まれます。
 

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.4.6 キャンパスシステム(1.3Cの応用事例、その2)

某大学では、教師と学生は公開Webサーバーに接続し、認証されて学内のシステムにリモートアクセスすることが可能になっています。
 
教師は、ユーザー認証を受けたあと、パソコンを利用してリモートから、次のことが可能です。
  @ 学内のメールやお知らせを見る。メールを出す。お知らせに投稿する(教務部経由)
  A 学生が提出したレポートをダウンロードする
  B 講義資料のアップロード、削除、修正
  C 成績表の提出(期間限定)
 学生は、ユーザー認証を受けたあと次のことが可能です。
 携帯電話で
  @ 携帯電話へのメールで、お知らせを見るように通知が来る
  A お知らせを見て休講や教室変更、時間変更、パソコン持参などの確認
 パソコンで
  B レポートの提出
  C 講義資料の閲覧

 この事例では、内部ネットワークの入口として公開サーバーを利用したため、リモートアクセスの形態は、1.3Cとなっています。
 セキュリティ面での配慮は、掲示板などへの投稿を直接行わず、教務部で責任を持って行うようにしたこと、機密情報へのアクセスは期間と時間を限定し、確認のためメールで返送していることです。さらに、教師に関しては機密情報を扱いますから、ワンタイムパスワードなどによる認証の強化と暗号化の徹底が望まれます。
 

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1.4.7 IT企業のカストマーサポートの例(1.3Dの応用事例)

リモートアクセスにパソコンと携帯電話の連携したシステムで顧客サービス(カストマーサポート)を行っているIT企業の例です。リモートアクセスの形態は1.3Dです。
 
お客様からの問合せは、先ずお客様からのシングルウインドーであるコールセンターが対応します。コールセンターは技術サポート部門、営業、開発部門、全国に展開されているサービス拠点、お客様の現場で直接作業をするサービス要員などをサポートしています。サービス要員は携帯とリモートアクセスによるパソコンを駆使して迅速で密度の濃いサポートを実現しています。
@ カストマーサポートセンターの対応:情報は知識ベース化されている
 コールセンターでの対応
  ・ お客様からの問合わせに電話やFAX、電子メールで対応
  
・ 電話対応者は自分で対応できない場合は技術サポート部門にサポートを要請
 技術サポート部門での対応
  ・ コールセンターの要員に対する専門的なサポート
  ・ 営業的な対応や専門的な対応が必要な場合には関連部門にサポートを要請
  ・ 現場でのサポートが必要な場合には拠点に対応を指示
A サービス拠点での対応
 携帯電話:最適な要員(作業内容、近さ・・・)を選びサービス要員に連絡
 部品(必要な場合)のお客様の拠点への配送指示
B サービス要員の対応
 携帯電話:サービス拠点とのやりとり(指定時刻にサポートの可否の返答)、報告
 パソコン:顧客情報、知識ベース、マニュアルなどの参照、報告書(部品交換など)

 
セキュリティ面での配慮は独立したシステムとし、システム管理を強化したことです。
顧客情報の保護対策についても、十分な対策を取っているとのことです。
 

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