1.2 リモートアクセスの目的、効果、
課題

ここでは、現在使われているリモートアクセスの利用目的と効果、問題点をまとめました。
 

1.2.1 利用目的と用途

企業や団体で行われている業務を大別すると、生産現場や顧客対応窓口または倉庫など主として現場で行う業務、事務処理や設計、企画、意思決定など主としてオフィスで行う業務、セールスやサービス、配送など主としてフィールドで行う業務、とがあります。
 現場で行う業務は早くから情報化が進んでいる分野で、原則現場でしかできない業務であり、通常リモートアクセスで業務改善をする対象にはなりません。リモートアクセスの利用目的は大別すると、主としてオフィスで行う業務と主としてフィールドで行う業務の改善の二つに分類することができます。
 下図にこの二つの利用目的のリモートアクセスの特徴をまとめました。 

オフィスで行われている業務の中には、本質的には時間や場所にとらわれない業務が数多くあり、このような業務をオフィスの外でも行いたいという要望があります。リモートアクセスを導入する前は、宿題として持ち帰った資料作りを家で行うなど、ごく限られた範囲でしかオフィス外で業務を行うことができませんでしたが、リモートアクセスを導入することにより、SOHO(1.4.2参照)と呼ばれている在宅勤務やサテライトオフィス勤務、出張先のホテルでの仕事、帰宅後のサーバーやネットワークの保守など、ほぼオフィスにいるときと同じ仕事ができるようになります。この場合、情報システムはオフィス内で用いているシステムをそのままリモートから利用することになり、クライアント機器もオフィス内で使っている機器と同じもの(多くの場合パソコン、まれにパソコンに近い機能を持ったPDA)を使うのが一般的です。リモートからアクセスする範囲は、オフィス内で利用しているすべての機能の場合もあれば、一部の機能に制限して利用する場合もあります

 
フィールド(オフィスの外)での業務は情報化が遅れていた分野で、経験と勘に頼る度合いが強い分野でしたが、リモートアクセスを導入することにより、これらの業務の効率化と仕事の質の向上、均質化を図る試みが急速に普及してきています。この場合には、情報システムとして当該業務を支援するシステムが必要であり、使用するクライアント機器は持ち運びの便利さ、利用者の使いやすさを考慮して、ノートパソコン、携帯電話、専用PDAなど多様な機器から選択して使われています。ネットワークは多くの場合、携帯電話網やPHS網などのモバイル通信網を利用します。
 リモートからアクセスできる範囲は、多くの場合当該業務を支援するサーバーに限定することになります。 

@ 連絡と報告

 前記2つの利用目的のどちらでも必要となる用途で、リモートにいる作業者への各種連絡や指示、リモートにいる作業者から上司への報告などを行います。主としてメールが使われます。

A 情報の入手と確認

 主としてフィールドでの業務に必要な用途で、スケジュールを確認したり、客先情報や商品情報を入手したりします。

B 資料作成

 主としてオフィスでの業務に必要な用途で、社内で共有されているファイルやデータベースにアクセスして、必要な資料を作成します。

C 各種手続き

 前記2つの利用目的のどちらでも必要となる用途で、日報の記入、会議室の予約、交通費の請求、出張の手続き、など日常行われている各種手続きをリモートから行います。

D 業務アプリケーションの実行

 オフィスのサーバーで動く業務アプリケーションをリモートから実行します。
 フィールドでの業務では、受注伝票の入力、在庫引当、配送商品の管理などをその場で行います。オフィスでの業務では、経理システムや人事管理システム、情報解析ツールなどを使います。
 また、ネットワークの管理者がリモートから社内ネットワークをメンテナンスするといった用途もあります。
 
ソフトウェアの開発や検証(デバック)などをリモートから行うこともあります。
 

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1.2.2 リモートアクセスの効果

@ 時間と場所の克服

 クリエイティブな仕事は場所や時間にとらわれず、ひらめいた時に仕事をしたいという性質を持っています。リモートアクセスを活用することにより、何時でもどこでもひらめいた時に仕事をすることができ、人的能力を効率的に引き出すことができます。
 また、オフィスでの業務にリモートアクセスを導入することにより、自宅勤務やサテライトオフィス勤務が可能となり、通勤時間が短縮されます。車の利用が減り、地球規模で問題になっている省エネ・温暖化対策にも貢献できます。

A セールスやサービスの顧客満足度の向上

 フィールドでの業務をリモートアクセスを活用して情報化することにより、顧客へのすばやい対応、顧客情報を確認して予備知識を持って訪問する、商品情報をダウンロードして的確な説明、などが可能になり、顧客満足度の向上が図れます。
 また、報告や諸手続きのためにオフィスに立ち寄ったり帰社したりする必要も無くなり、セールス活動やサービス
活動の効率向上になります。

B 緊急の問題処理

 トラブルなど緊急な問題が発生した時、リモートアクセス環境があれば、帰宅した人や休暇中の人も参加して叡智を集め、すばやい解決が可能になります。

C ビジネスチャンスの拡大

 クリエイティブな仕事の効率と質の向上、顧客満足度の向上、すばやい問題の処理などが可能になることにより、ビジネスチャンスの拡大につながります。
 

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1.2.3 リモートアクセスの
課題

@ セキュリティ

 リモートアクセスでは、外部から社内のシステムにアクセスすることを許可しますから、セキュリティ対策を強化しないとセキュリティの脅威が増加します。特に認証を強化し、不正侵入を防ぐ必要があります。
 
また、リモートアクセスを導入することにより、オフィスの外で業務を行う機会が増えます。オフィスの外では以下のような問題がありますので、情報漏えい対策を強化する必要があります。
建物などへの入退場など物理的なセキュリティ環境が企業内のオフィスより劣っているところで業務を行うことになり、パソコンなどの盗難や紛失の危険性が高まる
インターネット上に社内の情報が流れ、またオフィス外にファイルが残ることがあるので、秘密とすべき情報は回線上とファイルでは暗号化する必要がある
家族などとのパソコンの共有(共有は許可すべきではありませんが)の可能性があり、これに伴ってセキュリティ上危険なソフトウェアの使用などの危険が高まる
アクセス中の画面やプリントした情報を盗み見られない配慮なども必要

A その他

リモートアクセスを導入するときには次のようなことも検討する必要があります。
勤務管理や評価の問題
精神的負荷の問題(在宅勤務経験者によると、いつも仕事に追われているようで、精神的負荷は高まるという指摘がある)
住宅事情への配慮
パソコンとソフトウェアの貸与
ソフトウェアの不法コピー問題を起こさない対策
通信費用の負担のルールなど
 

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