IPA
分冊1 分冊2 分冊3 分冊4 分冊5 分冊6
※アイコンの説明
サーバー サーバー
ネットワーク ネットワーク
クライアントPC クライアントPC
アプリケーション アプリケーション

2.2 運用面での対策

2.2.1 インシデント対応

これまで、不正アクセスに対する技術的な対策を記述してきたが、不正アクセスに関する技術は日々進歩している。どんなに堅牢なセキュリティを構じていても、公開しているDMZ上のサーバーは常に脅威にさらされている。そのため、万が一事故が発生した場合の対応についても考慮する必要がある。
  インシデントとは、悪意を持った行為や、偶発的な事象により発生したコンピュータセキュリティ上の事象のことである。インシデント対応とは、これらのインシデントが発生した時に企業が取るべき対応のことであり、インシデントへの対応に際しどのような手続きをとるかを事前に決めておく必要がある。

  インシデントが発生した場合の対応について、手順を以下に示す。

(1) インシデント発見時の連絡

インシデントの発見はサーバー管理者だけに限らず、社員の場合もあれば社外の関係者や顧客である可能性もある。特に、社内で発見したインシデントについては、連絡先を一本化しておき、連絡が滞ったり、情報が錯綜しないようにしなければならない。通常、システムのインシデント連絡窓口は社内情報システム関連部署である場合が多い。

(2) インシデントの確認

図表15にインシデント発生時の確認事項を示す。インシデントの連絡を受けた連絡窓口の担当者は、どのようなインシデントが発生したのか、発生日時、影響範囲や程度などをなるべく具体的に聞く。連絡窓口の担当者は、その内容から関係があると思われるサーバーやネットワークの管理者に対し、調査を依頼する。調査依頼を受け取ったサーバーやネットワークの管理者は、システムの状態やログを元に調査を行う。行った確認や調査はすべて証拠となるため、記録しておくことが必要である。また、インシデントの重大性によっては、警察やJPCERTなどの公的機関への連絡も必要である。

図表15 インシデント発生時の確認事項
項目 確認事項
発生日時 発生した日時を記録する。
発生箇所 どのシステムもしくはサーバー等がインシデントを受けたのかを確認し記録する。
特徴 発生したインシデントの特徴を記録する。
確認時の操作内容 確認を行った際、どのような操作で確認を行ったかを記録する。
ログイン状況の確認 以下について確認する。
現在ログインしているユーザー
心当たりのないユーザー名がないか
正規ユーザーが不明なネットワークからログインしていないか
現在や過去のログイン情報が表示されているか(表示されない場合は、ログイン情報を削除されている可能性がある)
ネットワーク状況の確認 ネットワーク接続状況と、ポート番号状態を確認する。不審なポートが待ち受け状態になっていないか
プロセスの確認 以下について確認する。
見知らぬプロセスが動いていないか
重要なプロセスが複数同時に動作していないか
動作すべきプロセスが停止していないか
システム設定ファイルの確認 システム設定ファイルの更新日に異常がないか。(変更した履歴がないにも関わらず、更新日が新しくなっている場合は、攻撃者により書き換えられている可能性がある)
ログからの痕跡調査 以下のログ状況を確認する。
心当たりのない再起動の形跡がないか
表示不可能な文字や長い文字列がないか
拒否されたログイン情報がないか
ファイルからの痕跡調査 以下のファイル状況を確認する。
ファイルのチェックサムが変わっていないか
隠しディレクトリやファイルがないか

(3) 復旧作業

システム設定ファイルが改ざんされたり、破壊されたりしている場合は、バックアップから復旧作業を行う。復旧作業を行う場合は、バックアップ作成時点ですでにファイルが改ざんされている可能性があるため、そのようなファイルを復元しないように、ファイルの更新日や内容を確認しながら慎重に復旧する。なお、攻撃されたセキュリティホールによっては、rootkit 7を埋め込まれている可能性があるため、サーバーであれば再インストールしてからシステム設定ファイルを復旧したほうが安全である。

(4) 再発防止策の実施

同様なインシデントの再発を防ぐために、その原因を特定して速やかに対策を取らなければならない。対策が取られるまでの間は、再び攻撃される可能性が高いため、サービスは停止しておくことが必要である。また、侵入されていた場合には、パスワードが漏洩していることも考えられるため、パスワードの変更が必要となる可能性がある。

↑ページの先頭へ戻る

Copyright © 2007 Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved.