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III.2.1.1 破壊型解析の原理

破壊型解析法には,スマートカードからチップを取り出しチップを開封して, 各レイヤを剥いでいき プロセッサ内の回路情報やROMデータを顕微鏡を用いて読み出す静的な情報収集と, チップを動作させながらアドレス,あるいはデータバス上の任意の1ビットにプローブ を当て,その変化を観測する動的な情報収集,ROM等のメモリやゲートのデータを直接 書き換える解析方法等がある.

本節では,破壊型解析を行うアタッカの傾向とコスト,破壊型解析により漏洩する 可能性のある項目について述べる.

文献[AK]では アタッカーは以下の3種類に分類されるとしている.

クラスI
賢い外部者
クラスII
知識を持った内部者
クラスIII
資金のある団体

Kuhnらは,スマートカードに限らず他の耐タンパーデバイスはクラスIIや クラスIのアタッカーに攻撃されやく,クラスIのアタッカーは数千ドル程度の 資金で大学の電気工学部などにあるマイクロプローバとレーザーカッタ顕微鏡を 用いて解析を行うことが可能であるとしている.

またさらに高度な解析技術を用いることにより,近年僅か数日でプロセッサの 重要な部分がリバースエンジニアリングされるようになっている.

一般に破壊型解析法は,特殊な装置と半導体のプロセスおよび回路技術,暗号アルゴ リズムなど多岐にわたる知識と技術が要求され,比較的コストも高いため実現性は 低いと見られているが,一旦チップが開封されると以下に示すような情報が漏洩する 危険度は大きく,破壊型解析法の手法の理解と対策について熟考する必要がある.

プロセッサの回路構成
プロセッサの回路構成を得ることにより,命令体系 などが明らかになる.

ROM等メモリの内容
メモリに実装された秘密情報や使用されている暗号 アルゴリズムが解析される.

プローブによるバス上のデータの内容
チップにプローブを当て,回路を動作 させながら任意のバス上の1ビットの変化を観察して秘密情報を取り出す. プローブによっても実装されたほとんど全ての暗号方式は解析可能である.

回路そのものの改竄
次節の破壊型解析の手法で詳しく述べる解析装置を 用いることにより回路構成が盗まれるだけでなく,回路そのものを改竄される 可能性がある.