暗号等技術輸出管理に関する動向調査

1998年 3月10日


  1. 背景
  2. 主要各国の動向(要約)

実施機関:財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC)

この報告には1998年3月以降の新たな動向については含まれていませんのでご注意ください。


背景

近年、情報通信ネットワークの世界的な普及に伴い、第三者による情報の盗聴や改ざんからの防止手段として、また認証などに、暗号等技術の使用が不可欠になってきている。

他方、民生暗号等技術の高度化・普及は、犯罪捜査の遂行、国家安全保障の維持などを益々困難なものとするものである。

民生暗号技術の高度化と普及とをどのようにバランスさせるかといった政策的議論が欧米各国を中心として引き続き活発に行われている。就中、高度な暗号関連製品・技術の輸出の可否を巡っては、競争力維持と市場確保のために輸出期制撤廃を求める産業界と、国際テロリズム対策等の国家安全保障の必要性から一定の輸出規制は必要とする当局との対立が最大の焦点となっている。

かかる状況のもと、欧米各国では、その解決策として、キーリカバリシステムや第三者信託(TTP)制度など、暗号鍵の「管理」に係る新しいシステムや制度が開発・導入されつつある。

すでに米国では、1996年末、キーリカバリシステムの開発等を条件とした規制緩和を含む暗号等製品の新輸出規制が実施されている。また、英国はじめ欧州各国においては、法執行の観点から暗号鍵管理システムとしてTTP制度の導入が官民で議論されている。

さらに、このような各国の動向を背景として、OECDは1997年3月に、「暗号政策ガイドライン」を策定し、加盟国による今後の暗号政策の実施に対する勧告を行っている。

本調査は、国外の調査会社を使い、また自ら現地実態調査も行うなどして、米国、欧州三国(イギリス、ドイツ及びフランス)に関する民生暗号製品・技術の輸出管理・審査体制ならびに基準・運用実態に関する動向調査を行った。また、ノルウェー、スウェーデン、イスラエル及びフィンランドについても、その輸出管理と暗号製品調査を行った。それらの調査結果を統合的に編集して報告する。

主要各国の動向(要点)

項目

米国

イギリス

ドイツ

フランス

輸出ライセンスの発行機関 商務省(DOC)輸出管理局(BXA) 貿易産業省(DTI)の輸出管理部(ECO) 連邦輸出局(BAFA) 通産省関税局(SETICE)
暗号審査体制 BXA内にNSA派遣の10名の暗号専門審査官を擁する GCHQ所属のコンピュータ・エレクトロニクス・セキュリティ・グループ(CESG) BAFAの国際制度部の中にハードソフトそれぞれの暗号専門審査班を有する。連邦安全情報局(BSI)が間接的な助言機関。 中央情報システム安全部(SCSSI)
(ライセンス判定も実施)
輸出管理規則 米国輸出管理規則(EAR) 輸出管理令(The Export of Goods Control Order) ワッセナーアレンジメントに準拠したEU理事会規則を適用 輸出管理:ワッセナーアレンジメントに準拠したEU理事会規則を適用国内法:電機通信法(1990年)
鍵管理制度 キーリカバリーシステム(輸出規制緩和基準として使用。) 第三者信託制度(TTP) 第三者信託制度(TTP) 第三者信託制度(TTP)
輸出/輸入/使用に関する法的規制の有無 輸出

あり

あり

あり

あり

輸入

なし

なし

なし

あり

使用

なし

なし

なし

あり

(補足) ワッセナーアレンジメントは1998年12月2日〜3日の総会で暗号輸出規制内容が大幅に緩和されました。

情報処理振興事業協会 セキュリティセンター