1998年7月3日
情報処理振興事業協会
コンピュータ不正アクセス被害の届出状況について
1.はじめに
IPA(情報処理振興事業協会、石井賢吾理事長)は、1998年5月の コンピュータ不正アクセス被害の届出状況をまとめた。
コンピュータ不正アクセス被害の届出制度は、通商産業省のコンピュータ不正アクセス対策基準(1996年8月8日付通商産業省告示第362号)に基づき、1996年8月にスタートした制度であり、同基準において、コンピュータ不正アクセスの被害を受けた者は、被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届出ることとされている。
2.届出の状況
- 1998年5月の届出の概要
1998年5月のコンピュータ不正アクセス被害の届け出が5件あった(別紙参照)。概要を以下に報告する。
(1)root権限での侵入と種々の改竄
サーバへのroot権限での侵入と種々の改竄の届出が2件あった。
- ケース1
- rootパスワードの変更の他、不正なユーザ(ID)の追加、各種システムファイルの改竄等が行われていた。また、メールの転送設定ファイルの改竄により各ユーザへのメールがすべて不正侵入者に転送されるようになっていた。
- パスワードファイルの盗用により正規ユーザになりすまして侵入し、sendmailのセキュリティホールを利用してroot権限の取得を行ったものと思われる。
- システム管理者は、暫定措置として各種ファイルの復旧を行った。サーバの各種ソフトウェアの再インストールを行う予定であり、サービス内容の制限を検討している。
- ケース2
- 各種システムファイルの改竄の他、(再度の侵入を容易にする)ポートの開放等が行われていた。
- 最初の侵入にはCGIを利用してパスワードファイルを取得した模様である。直接の侵入元のサイトも不正侵入を受けたもの(踏み台に利用されている)と思われる。
- システム管理者は、各種ファイルの復旧及びポートの閉鎖を行って対処した。
-
(2)spamメール中継
spamメール中継に関する届出が2件あった。いずれもspam先からの配信エラーメールによりメール中継が判明している。
- ケース1
- システム管理者がサーバのログを調査したところ、spamの中継は以前より試みられていたが設定により中継を拒否していたため失敗しており、今回はヘッダをさらに改竄(詐称)したメールが使われたことにより中継が成功してしまったものと判明した。
- spam先からの配信エラーメール及び抗議メールが届いた他、このメール中継が原因と思われるDNSのダウンが発生している。
システム管理者はパケットのフィルタリング(送信元の確認等)を強化して対処した。
- ケース2
- メールサーバー管理者宛に配信エラーメールが連続して届き、送信元のIDに該当するユーザがなかったため調査を開始した。その後、spamメール被害の苦情が数件届いた。
- システム管理者はsendmailの設定で中継を行わないようにした。中継拒否の設定は元々使用していたsendmailのバージョンでも可能であったが、さらに新しい版へのバージョンアップも同時に行った。
-
(3)WEBサーバのセキュリティホールを利用した攻撃
WEBサーバのセキュリティホールを利用した攻撃の届出が1件あった。
システム管理者がサーバのログを確認したところ、WEBサーバのCGIのセキュリティホールを利用した攻撃の形跡があった。攻撃を受けたサーバには該当のCGIプログラムは存在しないので、試みは失敗している。
今後ログの監視やユーザファイルの頻繁なバックアップを実施する。
- 注意事項
(1)root権限での侵入と種々の改竄
侵入を受けてしまった場合の対処としては、再度の侵入のための仕掛けが行われている可能性を考慮し、
- 作成・改竄されたファイルやID等の調査と削除・再設定
- すべてのIDのパスワードの変更
- 可能であればOS等の再インストール
- 不必要に外部に公開されているポートの閉鎖
等によりシステムを再構築する。
(2)spamメール中継
メール中継への対処に関しては、以下を参照のこと。6月8日に情報が更新されている。
http://www.jpcert.or.jp/tech/98-0001/
(3)WEBサーバへの侵入の試み
WEBサーバのセキュリティホール及びその対処に関しては、以下を参照のこと。
http://www.jpcert.or.jp/info/97-0003/
(4)侵入の試みやソフトウェアのセキュリティホールを利用した攻撃への対処
外部に接続しているサーバへの侵入の試みや、sendmailその他のソフトウェアのセキュリティホールを利用した攻撃は継続して行われている。攻撃が常に存在するものと仮定しての運用・管理が必要である。
システムの管理者は、
-
不必要に外部に公開されているポートやサービスの閉鎖・停止
-
お使いのソフトウェアに関する情報をベンダー等から入手し、セキュリティホールのないバージョン・設定で使う
-
ログなどを定期的に確認し、攻撃・侵入や不審なプログラムの起動の形跡の有無をチェックする
-
ユーザに対する教育を徹底し、特にパスワードの扱いに留意するよう促す
等により対処されたい。
IPAでは皆様方から届け出された不正アクセス被害について原因分析を行い、当協会内に設置したコンピュータ不正アクセス対策委員会の協力のもと対策を策定していきます。策定した対策はマスメディア等の協力を得て皆様方に広報するとともに今後の国の施策に反映して行きます。これからもコンピュータ不正アクセス被害の届け出にご協力をお願いします。
問い合わせ先 IPA(情報処理振興事業協会)
セキュリティセンター不正アクセス対策室
TEL (03)5978−7508
FAX (03)5978−7518
e-mail isec-info@ipa.go.jp
※移転に伴い電話番号が6月15日より変更になっています
※メールアドレスのドメイン名がipa.go.jpのみとなりました