更新日 2011年12月19日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、クラウドサービスが東日本大震災に際しての緊急支援に役立てられた事例を収集・整理した「東日本大震災に際して提供されたクラウドサービスの事例集」、クラウドサービスを安全かつ有効に活用するための資料「クラウドサービス安全利用のすすめ」、「震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にクラウドサービスが活用される可能性について」を策定しました。
クラウドサービスは、データセンターに用意されたコンピューター環境や、電子メール、財務会計等の各種サービスを、通信回線を経由して利用するため、短時間に利用環境が整い、さまざまな活用が可能です。
この特長は、東日本大震災に際しての緊急支援で迅速なサービスが提供されるといったことでも活かされました。また、自組織でサーバーを準備・運用する場合と比較して「ITの調達に関わる負担からの解放または負担の軽減」「ITの運用・保守の負荷からの解放または負荷の軽減」などの利点があるため、震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にも有効に活用できるものと期待されます。この点を踏まえて、IPAでは、以下の3点の取組みを行いました。
震災に際しては、多くのクラウドサービスプロバイダーから、安否確認、情報共有、行政情報発信や、被災者支援の情報基盤の用途に、多岐にわたる無償のサービスが提供されました。
IPAでは、IPAが組織するクラウドセキュリティのコミュニティを通じて寄せられた、76件にのぼる支援やIT機能の提供の事例を収集・整理しリスト化しました。そのパターンを整理すると、以下のようになります。被災者個人、支援NPO、行政、企業や商店まで、幅広く支援やIT機能の提供が行われたことがわかります。
情報共有・流通基盤(P2P)
被災者救援活動の情報インフラ
行政情報提供サイトの拡張
被災企業等の緊急情報発信・業務処理
これらのほとんどが、クラウドサービス事業者から無償提供されたクラウド上のサービスによって実現しています。また、安否情報の共有サイトや被災者救援活動を支える情報インフラの開発では、フリーソフトウェア等に関心を持つ多くのボランティアが参加して、クラウド上でお互いに離れた場所から協働作業を行うことで、短時間に高機能なサイトを実現し、継続的改善も図られています。インターネットを通じてコンピューティング機能を利用するというクラウドの仕組みが、短期間に多くの仲間をつなぎ、相談と分担を通じて、迅速かつ柔軟にシステム開発を実現しています。
また、IPAの未踏事業において採択したクリエータが、ボランティアとして参加・貢献していることも確認しました(*1)。
緊急支援に役立てられたクラウドサービスの事例リストは下記URLをご覧ください。
URL:http://www.ipa.go.jp/security/cloud/cloud_sinsai_jirei_list_V1.pdf
IPAが2011年4月25日に発表した「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」に、クラウドサービスに関する参考情報や解説を加え、また震災の復旧・復興に際して参考になる情報も盛り込んだ資料「クラウドサービス安全利用のすすめ」を作成し、IPAのウェブサイトで公開しました。
「クラウドサービス安全利用のすすめ」には、次のような特徴があります。 ①「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」に加え、クラウドサービスの利用に関して参考になる情報や知識を付加 ②震災等、災害に遭った情報システムを復旧する場合にクラウドサービスを活用するポイントや、どんな使い方ができるかを簡単に解説 ③図やイラストを用い、見た目にもわかりやすく親しみやすく工夫 |
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「クラウドサービス安全利用のすすめ」は下記URLをご覧ください。
URL:http://www.ipa.go.jp/security/cloud/cloud_tebiki_handbook_V1.pdf![]()
緊急時に柔軟かつ迅速に情報インフラを提供できたクラウドは、被災した情報システムの復旧・復興に際しても力を発揮する可能性があります。IPAでは、従来自社内のサーバーで行っていたさまざまな業務を、クラウドサービスに移行して実現・再開することの可能性について具体的なイメージを示し、情報システムの復旧・復興に際して参考になると思われる情報「震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にクラウドサービスが活用される可能性について」の提示を行いました。
具体的には、
① 被災したサーバーの再調達に代えて、クラウドのホスティングサービス(IaaS)を活用する。

② 自社内サーバーで利用していた会計システムをクラウド上のSaaSサービスに移行する。

③ 自社運用のWebサーバーを、クラウド上のPaaSに移行する。

等が考えられます。
クラウドコンピューティングのセキュリティに関して世界的な影響力を持つクラウドセキュリティアライアンス(*2)(CSA)の日本支部では、次のように述べています。
「被災したシステムの復旧をスピードアップし、さらにアクセス環境を充実させるためにクラウドは極めて有効です。また、災害復旧時において、緊急対応の名の下に優先度が下がりがちなセキュリティについても、セキュリティが十分考慮された事業者のクラウド環境を利用することで必要なレベルを確保できるでしょう。
本格的な復興においても、その投資を軽減できるだけでなく、スピードアップも可能で、クラウドの利用はIT災害復興の柱になりうると考えます。CSA及びその日本支部は、こうしたクラウドの利用におけるセキュリティ向上について、これからもIPAや世界と連携しながら考え、支援していきます。」
「震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にクラウドサービスが活用される可能性について」は下記URLをご覧ください。
URL:http://www.ipa.go.jp/security/cloud/cloud_recovery_V1.pdf
(*1) 未踏クリエータによる震災復興に向けての活動状況
http://www.ipa.go.jp/about/shinsai/pdf/mitou.pdf
(*2) IPAでは、米国にあるCSAの本部と相互協力協定を締結し、協力関係を構築しています。
http://www.ipa.go.jp/about/press/20100607_2.html
CSA:2008年12月米国設立。支部は日本、中国、イギリス、ワシントンDC、シリコンバレー、ブラジル、スペインなど12。クラウドコンピューティングのセキュリティ要件と保証の手段に関して、事業者、利用者に共通の認識レベルの向上を始め、調査、研究、啓発、教育といった多岐にわたる活動を行っています。
http://www.cloudsecurityalliance.org/
Tel: 03-5978-7530 Fax: 03-5978-7546
E-mail: ![]()
| 2011年12月19日 | 「クラウドサービス安全利用のすすめ」改訂版を公開。 |
|---|---|
| 2011年6月20日 | 掲載 |