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要求の変化を前提とした新たなシステム構築技術の課題を整理

2012年4月26日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア・エンジニアリング・センター

概要

  企業におけるシステム開発では、社会・経営環境の変化への対応や企業競争力を強化するために「法令遵守・業界標準への準拠」、「市場シェア拡大」、「消費者ニーズの多様化への対応」、「業務効率向上」など、多様なビジネスの課題に迅速かつ柔軟に対応することが急務となっています。このため、新しい情報システム構築技術への期待が高まっていますが、発表されている技術では関連するガイドライン等(*1)の整備が進んでいません。

  そこでIPA/SECでは、2010年度に引き続き技術調査を行うとともに、要求工学やITアーキテクト、クラウドコンピューティング技術、テスト技術などにおける産学の有識者をメンバーとした「要求発展型開発ワーキンググループ」を2011年10月に設置し、調査結果をもとに新しい情報システムの構築技術の体系化、普及のための整理・検討を行いました。
  今回の整理では、情報システムの構築技術のうち、「超上流プロセス分析・評価」や「ITIL(*2)継続的改善」等の7つを、要求の変化対応に必要な技術分野として選定しました。さらに、各技術項目が「超上流・上流」~「開発・構築」~「利用・運用」に渡るライフサイクルプロセスのどの時点で適用でき、どのようなステークホルダー要求に活用可能かを整理し、技術解説を加えた報告書としてとりまとめました。
  また、要求の変化に伴うビジネス上の課題解決に向けて期待される貢献度合いについて各技術項目を総合評価した結果、今後の課題として以下の2点が確認できました。


  1. 要求変化・発展に対応可能な超上流プロセス、運用プロセスの技術の確立
    ビジネスニーズや利用環境の変化などに伴う要求の変化に対応する開発については、「超上流プロセス」およびビジネス・サービスの利用・運営を含めた「運用プロセス」を軸とした技術の確立が必要。
  2. 全てのプロセスで発生する要求管理・分析技術の確立
    現在確立されている技術は、特定プロセスのソフトウェア開発を成立させるための技術である傾向が見られる。複雑化するシステムなど要求の変化に対応するためには、「超上流プロセス」から「運用プロセス」まで全プロセスで発生するステークホルダー要求を一貫して捉える技術の確立が必要。
  IPA/SECでは、今後も引き続き、ビジネスの課題解決のために要求を具体化し、設計品質の向上を図るための超上流プロセスに焦点を当てた取組みを予定しており、国内外における活用事例を収集するなど、要求の変化に対応する情報システム構築技術の普及に向けた検討を行います。


【脚注】
(*1)REBOK(要求工学知識体系)、SWEBOK(ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系)など
(*2)ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)が、ITサービス管理・運用規則に関するベストプラクティスを調和的かつ包括的にまとめた一連のガイドブックのこと。ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化したもので、ITに関する社内規則や手順などの設定・見直しを行う際のガイドラインとして活用されている。

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