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ソフトウェア高信頼化

2015年度のソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業の成果を公開

2017年4月20日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター

概要

 IPA/SECでは、我が国のソフトウェア工学の促進と、その成果の産業界への展開促進を目的に、2012年度より「ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業」として、ソフトウェア工学分野の先導的研究やソフトウェアの経済的効果に関する研究を公募し、支援する取組みを行ってきました。
 2015年度は6つの研究テーマを採択し、これらを支援しました。このうち4件の成果は公開済みですが、期間が2年度である2件は2017年2月に研究を終了したため、これらの成果報告書を公開します。なお、本研究の成果として、電気通信大学より「研究成果・ツール」、早稲田大学より「ソフトウェア品質測定評価枠組み」「ソフトウェア品質ベンチマーク」がそれぞれフリーウェアで公開されています。

ダウンロード及びリンク

注:当ページのコンテンツはPDF形式での提供となっております。

2015年度採択研究
組織名称 国立大学法人電気通信大学
研究責任者 大学院情報システム学研究科 教授 田中 健次
研究区分(*1) B:ソフトウェア開発現場へのソフトウェア工学の適用に関する研究
研究テーマ名 D-Caseに基づく議論構造可視化支援ツールの開発と、スマートコミュニティにおける合意形成の実証
研究期間(*2) 2年
研究概要  複雑化するスマートコミュニティ(人間系+リアルタイムセンシング)の要件定義から評価改善フェーズにおけるディペンダビリティ合意形成を支援する手法を開発、その有効性を実証し社会還元するため、(1)D-Case*に基づく利害関係者間のコミュニティ合意形成支援ツール「Smart Structure」(以下ツール)の開発、(2)実際のスマートセンシングコミュニティ「ポケットガイガー」への適用とツールの有効性評価、(3)利害関係者間が合意形成に至るインタラクションのモデル化、ツール・ライブラリのオープン化による社会実装を行った。

具体的には以下を行った
  • D-Caseにより複数の利害関係者間でコミュニティ合意形成を支援するためのツールであるSmart Structureの開発と公開
  • SNSコミュニティ上のコメントを解析するツールであるCrowd Talks、Crowd Talks+(機能強化版)の開発と公開
  • D-CASEを作成するための元データとなる新聞記事DBの構築と公開
  • 上記ツールを用いた3つの実験(プレ実験、Lab実験、SNS実験)による合意形成へのD-Caseの有効性検証
  • D-Caseを用いた3つのモデル(D-Case合意形成ゾーニング、相互理解インタラクション、合意形成ダイナミクス)の構築と公開
* D-Case:システムのディペンダビリティをシステムに関わる人たち(ステークホルダ)が共有し互いに分かり合い、そのディペンダビリティを社会の人々にわかってもらい、説明責任を果たすための手法とツール。
報告書成果概要PDF文書[5.67MB]  成果報告書PDF文書[15.8MB]
研究成果・ツール 電気通信大学 田中研究室
http://www.tanaka.is.uec.ac.jp/wiki/pukiwiki2/index.php?IPA(※外部リンク)
組織名称 学校法人早稲田大学 早稲田大学
研究責任者 グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 所長・教授 鷲崎 弘宜
研究区分 D-5:ソフトウェアの総合的品質指標の設定とその実証的評価
研究テーマ名 測定評価と分析を通じたソフトウェア製品品質の実態定量化および総合的品質評価枠組みの確立
研究期間 2年
研究概要  開発・運用・検討中のソフトウェア製品の品質を、定量的かつ総合的に評価可能とし、改善や選択に役立てることを目的として研究を行った。研究内容としては、研究チームが国際的にリードする国際規格群および品質測定法群を発展させ、日本の主要ソフトウェア製品群の品質の実態調査を通じて、ソフトウェアの内部品質、外部品質、顧客・利用者からの満足・評価を含む利用時の品質を定量的に測定評価し、異なる品質間の関係を総合的に明らかとする枠組みを確立した。

具体的には以下を行った
  • ソフトウェア内部品質の測定法を定義し、測定結果を集約する方法と評価基準を66のメトリクスとして定義した内部品質の測定評価方法の確立とツール化
  • ソフトウェア外部品質の測定法を定義し、測定結果を集約する方法と評価基準を定義した外部品質の測定評価方法の確立とツール化
  • ソフトウェア利用時の品質の測定法を定義し、利用者アンケートの設計およびユーザテストの設計方法を策定、測定結果を集約する方法と評価基準を定義した利用時の品質の測定評価方法の確立
  • ソフトウェア21製品を上記の方法で測定評価し、品質間の関係を分析するとともに、結果を関係モデルとしてとりまとめ
報告書成果概要PDF文書[1.8MB] 成果報告書PDF文書[4.53MB]
ソフトウェア品質測定評価枠組み・ソフトウェア品質ベンチマーク(データセット) 早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 鷲崎研究室
http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/?page_id=3479(※外部リンク)

脚注

(*1)募集要項で定められた研究区分。詳細は以下「参考情報」を参照。
(*2)研究期間は1年と2年の二種類の期間がある。

参考情報

2015年度採択研究一覧
単年度研究 (2016年2月まで実施)
1.国立大学法人名古屋大学
「保証ケース作成支援方式の研究」
2. 国立大学法人福井大学
「携帯端末用アプリケーションソフトウェアが地方経済に与える効果の実証実験評価に関する研究」
3 .学校法人工学院大学 工学院大学
「要求定義の高品質化のための要求仕様の整合性の検証知識の形式知化と一貫性検証支援ツールの開発」
4 .国立大学法人広島大学
「データマイニング手法を応用した定性的信頼性/安全性解析支援ツールの開発」
2年度研究 (2017年2月まで実施)
5 .国立大学法人電気通信大学
「D-Caseに基づく議論構造可視化支援ツールの開発と、スマートコミュニティにおける合意形成の実証」
6 .学校法人早稲田大学 早稲田大学
「測定評価と分析を通じたソフトウェア製品品質の実態定量化および総合的品質評価枠組みの確立」
2015年度の募集研究区分

2015年度は以下の研究区分の公募を行いました。なお、D-1、D-3区分についての研究テーマは採択されませんでした。

A:ソフトウェア工学分野の先導的な研究
要求工学、プロセス改善、高信頼性、アジャイル開発、形式手法、モデルベース開発等のソフトウェア工学分野の先導的な研究

B:ソフトウェア工学・システム工学の実践的な適用に関する研究
ソフトウェア開発現場への適用を目的としたソフトウェア工学の成果・手法を詳細化・具体化・実用化する研究またはスマートコミュニティ、ヘルスケア、ロボット、次世代自動車と交通システム等の複雑な統合システム(System of Systems)の研究開発において、ソフトウェア工学・システム工学の成果・手法を適用する研究

C:ソフトウェアが経済社会にもたらす革新的効果に関する実証研究
ソフトウェアが社会や組織経営にもたらす経済価値、生産性向上、競争力強化、イノベーション等の経済効果についての実証研究

D-1:ソフトウェア開発データの分析
IPA/SECが過去10年間にわたり収集・蓄積してきたソフトウェア開発データを新たな視点や手法で分析・研究することにより、ソフトウェア開発における課題や方向性を提唱する研究。

D-2:ソフトウェアエンジニアリングの実践事例研究
技術シンポジウムSPESの2011年より2014年にわたる講演資料から、産業界に資する技術や課題を選定し、特定の技術や課題に関する深掘り、幅広い技術や複数の課題に関する研究。

D-3:マイグレーションの課題に関する研究
既存資産のオープン化・クラウド化やリプレース、外部の異種サービス連携における人材面・技術面の課題解決、アジャイル開発の採用による効率化などを実現する方法論等、マイグレーションを進める上での様々な課題の解決を目指す研究。

D-4:モデルベースによるリスク評価を活用したシステムの安全性や品質の向上に関する研究
複雑化するシステムにおいて、ソフトウェア中心のシステム視点からの障害リスク検証を進めるため、システム全体の振る舞いを確認しながら、かつ仮想的に動作検証可能なモデルベースアプローチを利用することで、システムの安全性や品質を向上させることを目指す研究。

D-5:ソフトウェアの総合的品質指標の設定とその実証的評価
ソフトウェアの品質について、プロセス、不具合量、保守性、拡張性など、様々な要素をもとに総合的に評価する指標を設定するとともに、それを実データに基づいて評価する研究。また、その指標および指標を構成する個別要素と、顧客満足度との相関関係を調べ、さらにその関係の時代変遷等についても考証する研究。