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自動車産業における「STAMP/STPA」の普及促進で、さらなる安全性の向上を加速

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ソフトウェア高信頼化

一般社団法人JASPARと相互協力協定を締結
自動車産業における「STAMP/STPA」の普及促進で、さらなる安全性の向上を加速

2017年1月16日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター
一般社団法人JASPAR

 IPAと一般社団法人JASPARは自動車分野における安全性のさらなる向上を目的に協定を締結しました。今後、IPAとJASPARは、自動車の機能安全活動強化に向けた協力活動を展開していくことで、自動車の安全性向上を通じた社会システムの高度化に寄与することが期待されます。

 IoT (*1)時代の進展により、自動車が情報端末としての機能を有する「コネクテッドカー」や自動運転車の登場など、複雑なシステムが相互作用するようになってきています。このようにソフトウェアで動作する製品・サービスが連係する形で提供されるようになっている現在、リスク分析手法や安全性解析手法を高度化し、安全性と、効率性や利便性の両立を図っていくことが求められています。

 IPAは、社会システムの安全性の向上のため、事故・故障情報の共有と対策、外部環境や人間系を含めた広い視野でシステムをとらえる新しい安全性解析手法「STAMP/STPA (*2)」をはじめとした、安全解析手法の高度化・普及に取り組んできました。「STAMP/STPA」については、日本の開発現場に即した適用手法を策定するとともに、日本初のSTAMPワークショップを九州大学と共催で開催するなど、STAMPの普及活動を推進しています。

 JASPARは、車載ソフトウェア分野の協調領域を中心に、車載プラットフォーム、車載ネットワーク、自動車機能安全や車載セキュリティなどの標準化活動や利活用技術の高度化活動を通じ、自動車産業の現場の技術力向上に取り組んできました。

 IPAとJASPARにおけるこれまでの知見や活動成果を相互に活用し、協力活動を行うことで、自動車分野における安全性の向上に加え、他の産業分野への成果の普及、展開を通じてIoT時代の様々な製品・システムの安全・安心を確保する技術の普及が期待されます。

 今回の協力協定締結では、下記のような取り組みを進めていきます。

  1. IPAにおける安全解析手法STAMP/STPAの知見を活用した、IPAとJASPARで自動車開発における安全解析手法の共同策定をはじめとして、車載電子制御システムのソフトウェア開発現場の技術力強化のための手法等の共同開発。

  2. 車載電子制御システムの高度化に向けた調査活動や成果の普及活動の相互協力

  3. 上記1、2の活動を通じた、製品・システムの安全性向上とリスク低減の実現
 IPAとJASPARは、STAMP/STPAの自動車分野での適用検証を進め、2016年度末を目処に成果を取りまとめる予定です。また、今後、両者はシステムズエンジニアリングの普及など協力分野の拡大も視野に入れ、自動車をはじめとする社会インフラ全体の安全性の向上に貢献していきます。

(参考)STAMP/STPAの概要

「STAMP/STPA」はシステムを構成するハードウェアやソフトウェアだけでなく、システムと連係する他システムや人間系、環境までも含めて一つのシステムとして捉えて開発をする「システムズエンジニアリング」の考え方に基づいた事故モデルとその解析手法です。欧米では宇宙、航空、鉄道などの社会インフラの安全分析や安全設計に幅広く活用されていますが、日本では普及が遅れていました。IPA/SECではSTAMP/STPAに着目し、STAMP/STPAを実践していくための具体的な手順や技法を、日本の開発現場に合わせて解説した「はじめてのSTAMP/STPA」を発行し、また、セミナー等を通してその普及に努めています。

脚注

(*1) IoT(Internet of Things):様々なモノがインターネットに接続し、情報をやり取りしたり、制御を行ったりすること。
(*2)STAMP(System Theoretic Accident Model and Processes)とは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のNancy G. Leveson教授が、文献“Engineering a Safer World”(2012年)の中で提唱したシステム理論に基づく事故モデル。
STPA(System Theoretic Process. Analysis)とは、STAMPの理論に基づく、相互作用する機能単位でハザード要因を考える新しいハザード分析手法。