デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2015年度採択プロジェクト概要(青木PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

藤井 彰人(KDDI株式会社 ソリューション事業企画本部 クラウドサービス企画部長)

2.採択者氏名

  • 青木 海(筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類)
  • 尾﨑 嘉彦(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)

3.採択金額

  • 2,304,000円

4.テーマ名

  • 音楽・マルチメディア用ビジュアルプログラミング言語からHDLへの高位合成ツールの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

音や映像を扱う芸術家・プログラマ・製品開発者の間では、Cycling’74 Max(以降Max)をはじめとする音楽・マルチメディア用ビジュアルプログラミング言語/統合開発環境がよく利用されている。本プロジェクトでは、彼らへの支援を目的としたMaxからハードウェア記述言語(Hardware Description Language、以降HDL)への高位合成ツールを開発する。本ツールを用いてMaxのコードをHDLに変換し、最終的に集積回路化してFPGAにコンフィグレーションすることで、Maxで書かれたコードの一部をFPGA上の処理として利用することが可能となる。Maxプログラマにとっては、既存のプログラムの高速化/低負荷化に加え、ハードウェア開発も行えるようになる利点がある。また、 HDLプログラマにとっては、Maxで開発したプロトタイプをそのままハードウェア化できる利点がある。
Maxは、ハードウェア上で処理系を実装する価値が高い、並列なデジタル信号処理の記述を得意とするプログラミング言語である。従って、処理のハードウェア化との親和性は非常に高く、本ツールには大きな価値がある。
本ツールにより、Maxでの処理をハードウェア化する有効性とその親和性を示し、ソフトウェア世界で表現を行う芸術家や愛好家たちの手の届く領域を、ハードウェア世界まで拡張することを目指す。

7.採択理由

テクノロジーの進化によりマルチメディアコンテンツ制作の現場も大きく進化し、Maxに代表されるような音楽とマルチメディアを融合させるビジュアルプログラミング環境などへと進化している。本プロジェクトは、その複雑さが増加し高負荷となるメディア処理系を、HDLを活用し高位な合成処理へと切り出すことを目指した提案である。メディアの新たな発展を促進するだけでなく、注目されるFPGA/HDL活用の具体的な提案であり、クリエータの実経験に根ざした動機であることから、採択すべき提案であると判断した。
従来の手法で実現できていたこと以上のことを具現化する必要があり、技術的にも大きな課題が想像できるが、新しい表現手法の獲得のためにも、未踏プロジェクトとしてチャレンジして欲しい。