デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2010年度採択プロジェクト概要(大河原PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

増井 俊之(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    大河原 昭(東京大学大学院)

  • コクリエータ
    なし

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • 学習型デスクトップ整理システム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

日頃の操作で乱雑になりがちなデスクトップ画面を、機械学習を用いてコンピュータが賢くインタラクティブに整理する画期的なデスクトップ整理システムを提案する。このシステムは、ユーザとのインタラクションを通してユーザの操作の特徴を学習し、個々人の好みにあった最適なデスクトップの整理を実現するものである。

提案システムは泡の形をした境界の中にファイルを配し、それらを分類する。分類の判断には、デスクトップ上での2次元配置、ファイルの内容、更新日時などを利用する。分類の仕方が気に入らない場合は、ユーザがファイルを直接ドラッグすることでシステムの分類方法を修正することができる。また泡の境界で区切られたファイルの集合ごとにキーワードを抽出し、それらを提示することでどんな集合なのかすぐ見当がつくようにする。

多くのユーザは各々自分の規則を持って好きなようにファイルを配置する。システムがその2次元的な配置規則を汲み取れば、直感的かつユーザの好みにそったUIになると考えられる。このような操作を通じてユーザの意図を学習してデスクトップを整理してくれるシステムは過去に例がなく、本提案はコンピュータによるデスクトップの管理に新たな可能性を切り拓くものである。

7.採択理由

部屋もパソコンのデスクトップもすぐに乱雑になりがちなものだが、パソコンのデスクトップはソフトウェアの工夫次第で小さな手間でうまく整理することができる可能性がある。3次元表示を使う整理システムや自動配置を行なう整理システムなど、様々なデスクトップ整理システムが提案されているが、広く使われているものはまだ存在しない。

大河原君の提案は、手動でアイコンなどを効率的にまとめる整理インタフェース手法と、その整理戦略を機械学習する手法をまとめることによって簡単にデスクトップを半自動的に整理するというものである。完璧な整理インタフェースも完璧な分類システムも作ることは不可能だが、適度に便利なシステムを組み合わせることによってトータルに有用なシステムを作ることができれば、あらゆるパソコンのデスクトップ上で利用されるようなものができるかもしれない。

提案者が実際に使うシステム上での開発により有用なシステムができることを期待したいと思う。