デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2010年度採択プロジェクト概要(佃PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ長)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    佃 洸摂(京都大学大学院)

  • コクリエータ
    なし

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • 登場人物の役割推定に基づく動画探索システムの開発

5.関連Webサイト

  • http://www.chara-dekatan.com/

6.申請テーマ概要

近年、動画共有サイトが爆発的な人気を集めており、動画共有サイトに日々投稿される動画の数も膨大である。ユーザがその中から視聴したいと考える動画を検索するときに、人物名やキャラクター名をキーワードにして検索をすることがよくある。しかし、従来のシステムでは動画に付与されたタイトルや説明文のみを検索インデックスに利用しているため、登場人物の役割を考慮した検索が行えない。また、従来システムではユーザが視聴している動画の関連動画として、タイトルや説明文が類似している動画が推薦されるため、ユーザは遷移先の動画でどのような人物がどのような役割で登場しているかわからない。

そこで本プロジェクトでは、動画に投稿されたコメントを用いて、登場人物の主役らしさ、脇役らしさといった役割を推定し、人物の役割に基づいた動画のランキングを実現する。また、ユーザが視聴している動画に対して、他の動画の登場人物の組み合わせとその役割を基に、人物の追加・削除をしながら動画探索ができるシステムを実現する。

7.採択理由

時刻同期コメントが付与された多量の動画を対象に、コメントのテキストを分析することで登場人物の役割(主役らしさ、脇役らしさ等)を推定し、「人の役割を考慮した動画検索・探索」を実現するシステムの提案である。主役や脇役に注目して動画探索しようという発想が斬新であり、役割をコメント中の人物名の出現パターン(「露出度の高さ」と「反応の大きさ」)から推定するアプローチも面白い。また、人物の追加・削除によるリファインまで考えているのも素晴らしい。

佃君は、具体例を豊富に挙げたわかりやすいプレゼンでアイディアを的確に伝え、充分に高いモチベーションを持っていることがよくわかった。まずはWebサービスとして公開し、広く使われることを目指して欲しい。しかし、それで満足したのでは未踏に採択された意味がない。計画をどんどん前倒しして、「役割」を越えた新たなコメント活用法を佃君自身が探求していくと共に、主役や脇役以外のメタな人物出現パターンをユーザに自由に登録させて、どこまで汎用性を高める拡張ができるのか等、是非様々なチャレンジをして大きな飛躍を遂げてくれることを期待したい。