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グローバル化を支えるIT人材確保・育成施策に関する調査

「グローバル化を支えるIT人材確保・育成施策に関する調査」調査結果(2011/3/31掲載)

調査の趣旨

様々な業界で日本企業は急速に経営のグローバル化を進めています。この経営のグローバル化を支えるためにITの活用は不可欠であり、それに資するIT人材の確保・育成は各企業に取り喫緊の課題です。またITベンダー企業もグローバル化を進める顧客企業に対応するため経営のグローバル化を図るほか、グローバル競争力を高めるためオフショアなど海外リソースの活用を進めており、IT人材の確保・育成にはユーザー企業同様の課題を抱えています。
IPAでは日本企業のグローバル化を支える国内外のIT技術者確保・育成施策検討に資するため、海外主要国のIT産業の構造、IT人材の状況、教育機関によるIT技術者教育の状況、IT人材育成施策の状況を調査すると共に、今後のIT人材確保・育成施策を検討する上で参考となる特徴的な諸外国の事例を収集しました。
今回その調査結果を企業、団体の方々に広く活用頂けるよう公開致しました。
(調査報告書 ダウンロードはこちら)

調査の内容

■国別実態調査
[調査対象国]
米国、中国、インド、ベトナム、韓国、ロシア、アイルランド、デンマーク、フィンランド
[調査項目]
1)ITサービス産業構造
市場規模、他国との関係、ユーザー企業とITベンダー企業の関係 など
2)IT人材の動向
ITサービス産業就労者、ユーザー企業内のIT関連業務就労者、IT技術者流動化状況 など
3)教育機関によるIT技術者教育の状況
IT技術者供給、人材育成メカニズム、学生、教員の意識 など
4)IT人材育成施策状況
国家戦略、IT技術者のための技術認定試験、スキル標準 など

■事例調査
A.海外市場での事業展開事例(ITベンダー企業向け)
4事例(Symantec、Tata Consultancy Services、Wipro Technologies、Ireland Innovation Center)
B.グローバル展開の人材育成、確保事例(ITベンダー企業向け)
2事例(Hewlett Packard、IBM)
C.グローバル経営人材確保、育成事例(ユーザー企業向け)
5事例(Unilever、Microsoft、Mahindra Group、Arcelor Mittal、Kaiser)
D.グローバルIT人材教育事例
4事例(National Science Foundation、Waterford Institute of Technology、SRM University、Infosys)
E.グローバル人材 政府、機関等の施策
2事例(NASSCOM、ABEEK)

調査概要(調査結果のポイント)

■国別実態調査
1)ITサービス産業構造

  • IT市場としては米国、日本、ヨーロッパの先進国の市場が大きく、中国、インド、ロシア、ブラジルといった新興国の市場は小さいが年率の伸びは大きい。
  • 新興国は先進国に比べハードウェアの市場の割合は大きいが、ITサービスの市場の割合は小さい。
  • ITサービスの市場における日本の特徴としては、ソフトウエア市場の割合が他国に比べて低い。
  • 日本のパッケージ売上比率は他の先進国、新興国と比べて最も低いが、以前に比べると導入率は高くなる傾向にある。
  • 日本の新規IT投資比率は金融業界を除き、全世界の他の地域に比べて低い。
  • 調査対象とした国のうち、内需・外需比率で海外への依存度が高いのはインド、フィンランド、ロシアで、逆に中国、韓国、日本は内需依存率が高い。
  • オフショアの受託国のなかでインド、アイルランド、中国、ロシアの受託金額が大きい。
  • 新興国においては米国IT企業数社の存在感が大きく、売上金額で上位を占めている。

2)IT人材の動向

  • ITサービス企業において技術者数が多いのは、中国、インド、米国、日本である。
  • 米国のユーザー企業のIT技術者数はITサービス企業IT技術者数の約3倍弱である。
  • 日本は逆にITサービス企業技術者数がユーザー企業技術者数の3倍である。
  • 日本のIT技術者の給与を中国、インド、ベトナムと比較してみると差が大きく、これがオフショアにつながっていると考えられる。
  • 教育機関によるIT技術者供給量は、中国、インド、米国、ロシアが日本より多い。市場動向と合わせて考えると、中国、インド、ロシアの学生は供給過多になっている。
  • 人材の流動性(転職)が高いのはインドの20〜40%を始め、米国、中国、韓国は10%を超えており、ベトナムも含めたオフショア受託国の流動性が高くなってきている。

3)教育機関によるIT技術者教育の状況

  • 米国の大学(IT系)では、学生が自主的な教育機会を得られるように、柔軟にカリキュラムを設定することができる。
  • アイルランドや韓国では国家や公的機関のフレームワークにより、設定された指針に従い。個々の大学がカリキュラムを作成する。
  • 各国の大学(IT系)では、インターンシップをカリキュラムに取り入れており、必須としている企業も多い。
  • 米国のほとんどの大学では学生が教員の評価を行っている。
  • インドではITベンダー企業による産学連携のプログラムが盛んである。企業が大学に何を求めているかフィードバックし、企業としては将来 の人材確保の手段としている。

4)IT人材育成施策状況

  • 各国ともに、政府がIT人材の育成やIT産業の活性化施策を行っている。インドでは新プログラムや新サービスの導入、教育機関等の新設や 海外連携、産学連携の強化や職員の待遇改善、財政的な支援等を行っている。
  • 中国、インドやアイルランドなどでは自国のIT産業の活性化(雇用確保)を目的として、海外のIT企業の参入、海外資金の流入を行うためにモデル都市・地区を設定して税制的な優遇や補助金の支給などの奨励策を実施している。
  • 米国の技術認定試験はITベンダー試験とベンダニュートラルな資格試験を実施しているCompTIAが主で国家主催の認定はない。その他プロジェクトマネジメントのPMIの資格試験や情報システムコントロール協会(ISACA)の資格認定が存在している。
  • ベトナムソフトウェア協会(VINASA)はIPAとITスキル標準の展開に関する相互協力協定を締結した。これにより、VINASAではベトナム版ITスキル標準であるVRS(Vinasa Ranking System)の展開を推進する。
  • スキル標準は各地域や国で推進しているところがあるが、そのなかでは日本のスキル標準の普及度はかなり高いと考えられる。

■事例調査
事例調査は、日本企業のグローバル経営に必要なIT人材を確保・育成する施策を検討するために5つの仮説を構築し、その仮説を検証するための調査という位置づけである。

[事例調査実施にあたっての仮説]

  仮説 調査のポイント
仮説A 日本ベンダー企業が海外市場で事業展開を行い、競争力を確保するためには日本の強みを生かしたビジネスモデルがあり、それを実現するためのIT人材確保・育成が必要 日本の強みを生かすためにモデルやヒントとなる諸外国の事例
仮説B 日本ベンダー企業がグローバルに事業展開を行うにあたり、競争力ある最適なサービス供給体制を実現するため、中国、インド、ベトナム等で現地会社を設立、運営する。そのためのIT人材の確保・育成が必要 現地会社のビジネスモデルや事業成功のためのノウハウについても調査
仮説C 日本ユーザー企業がグローバル経営を行うにあたり、IT適用分野ごとにトップダウン/集中管理型と現地/分散管理型の使い分けが適切であり、そのためのIT人材の確保・育成が必要 適切な使い分けの事例、或いはトップダウン/集中型または現地/分散型のメリットを示す象徴的な事例
仮説D グローバルな競争に打ち勝つIT人材を日本の大学及び大学院が輩出するために、現状の大学教育に新たな視点を付け加えることが必要 日本の大学教育にはない新たなカリキュラムや教育手法の視点
仮説E グローバルな競争に打ち勝つIT人材育成に資する政府や政府機関の取組みとして参考とする 単なる一施策ではなく社会インフラとしての整備の視点

[事例調査の対象]

A.海外市場での事業展開事例(ベンダー企業) A-1.
Symantec
A-2.
TCS
A-3.
Wipro
A-4.
IDA
 
B.グローバル展開の人材育成、確保事例(ベンダー企業) B-1.
HP
B-2.
IBM中国
A-1.
Symantec*
   
C.グローバル経営人材確保、育成事例(ユーザー企業) C-1.
Unilever
C-2.
Microsoft
C-3.
Mahindra
C-4.
Arcelor Mittal
C-5.
Kaiser
D.グローバル人材IT人材教育事例 D-1.
NSA
D-2.
WIT
D-3.
SRM大学
D-4.
Infosys
 
E.グローバル人材 政府、機関等の施策 E-1.
NASSCOM
E-2.
ABEEK
     
*A-1の事例は仮説Bにも一部対応している

調査結果利用上のお願い

・データの出所について
本調査結果のデータは、ガートナージャパン社の協力を得て実施した調査であり、データの出典については、ガートナーレポート/データベースに加え、各国の官公庁、及び各団体等のデータを活用しております。
・国別比較の扱いについて
本調査における各国のデータは、可能な範囲で調査項目の定義の統一を図っております。しかしながら、本調査の結果得られたデータは各国それぞれの状況が異なっていることから、必ずしも同一の定義とはなっておりません。従いましてデータの比較については、この点を十分にご理解いただき、参考値としてご認識いただきますようにお願いいたします。