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2007年度第II期未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択概要


 



1.担当PM


  竹内 郁雄



2.採択者氏名


代表者

河津 宏美(東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科

共同開発者

 なし


3.プロジェクト管理組織


  株式会社 創夢



4.採択金額


  3,000,000



5.テーマ名


  オンラインゲームにおける匿名性を有した音声チャットの開発



6.テーマ概要 (応募時資料を一部分改訂)

オンラインシミュレーションゲームでのコミュニケーションの手段は,文字チャットが一般的であるため,タイピングが遅いという理由だけでこのようなゲームを十分に楽しめないユーザも多い.かねてから,オンラインゲームにおいて,音声を利用したチャットシステムの機能が望まれている.一方で,音声チャットが実装されたとしても,音声には個人を特定するような情報が含まれているため,不特定多数のユーザを相手にするオンラインゲームでは利用しないユーザがいるという調査結果もある.
このような状況を踏まえ,本プロジェクトでは,音声に含まれる個人を特定するような情報を削除し,匿名性を保ちながらも,音声に含まれる感情情報を損なうことなく,コミュニケーション可能な音声チャットを開発する.システムは特定のゲームソフトに組み込むことはせずに,独立したアプリケーションとする.具体的には,Skypeの拡張機能として,音声認識,感情理解および感情音声合成の機能を実装する.まず,ユーザの発した音声を認識することにより,言語的な情報をテキスト化するとともに,音声を手がかりとしてユーザの感情理解を行う.感情音声合成では,得られた言語的情報と感情情報をもとに自然な感情音声を合成する.ここで,合成時に基本となる音声を複数用意することにより,ユーザはいくつかの特徴をもつ音声の中から,アバターの音声を選択することが可能となり,オンラインゲームをする上での新たな楽しみとなる.なお,本プロジェクトでは,感情の基本的な種別として,喜び−悲しみ,怒り−恐れ,愛好−嫌悪,驚き−期待の4次元8感情を扱うこととする.これらは心理学的に,人間にも動物にも共通する最も基本的な感情とされている.このほか,人間には,これらの組み合わせにより様々な混合感情が作り上げられるが,本プロジェクトではそれらの感情は対象としない.
提案システムは特にオンラインゲームのような不特定多数のユーザとのカジュアルなコミュニケーションを楽しむ場においては,安心して会話を楽しむことができる点で有用であると考えられる.




7.採択理由(担当PMからのコメント)

 オンラインゲームでの音声チャットはSecond Lifeの流行などを見ても今後ますますニーズが高まると思われる.しかし,自分の音声がそのまま伝わると匿名性が失われてしまう.手で打たないといけない面倒なテキストチャットではなく,音声チャットをしたくても,心理的障壁を乗り越えるのがなかなか難しそうだ.
  本提案はボイスチェンジャーのような安易な手段ではなく,一旦言語情報を解析してから音声変換を行なうというちょっと手間のかかるピボット方式で音声変換をしようという提案である.そのため,感情の起伏による韻律情報の再現が必要となる.ずいぶん回りくどい面倒な手順を踏むことになるが,匿名性のある音声チャットの技術的なシーズを打ち立てることができよう.
  河津さんのこれまでの研究実績を見ると提案システムの実現性は十分高そうだ.実時間性にほんのちょっと不安があるが,オンラインゲームのチャットではあまり問題にならないだろう.未解決の研究要素が多少残っているようだが,ほとんどの課題は実際の利用に耐え得る実装と必要なデータ集積を開発期間中にいかにきちんと行なうかにかかっている.この開発は学位論文研究の応用実証という性格であり,実装の課題は複数のフリーなソフトをいかにうまく結合するかだ.学振の特別研究員という立場なので,空き時間を有効に使った開発にならざるを得ないが頑張ってほしい.また,本システムはSecond Lifeを始めとするいろいろなWebサービス企業への売り込みを考えてほしい.




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