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2006年度前期のプロジェクト「第三羔音楽のための総合的ソフトウェア群の開発」においては、第三項音楽の提唱と同時に、第三項音楽活動において基盤となるソフトウェア群を開発した。それは実際のインスタレーションとコンサートの中で威力を発揮し、第三項音楽活動を十二分に展開することができた。この活動の中で浮かび上がってきた課題をクリアし、プロジェクト遂行の中で見えてきた立体音響構成という新しい技法を取り込むことで、新たに第三項音楽の展開版をつくろうと考え、ここに提案するものである。
もともと第三項音楽とは、反復と差異という二項対立からつくられる既存の作曲技法に対し、作曲者が非明示的に取り入れている第三項を明示的に取り扱おうというものであった。第三項の候補としてまずわれわれが考えたのが、瞬間瞬間の音の動きであり、オープンエンドな音とパターンである。カオスやセルオートマトンといった力学系が作り出す状態の時間発展パターンを音にする方法を構想し、加えて進化システムを使った変化する音のパターンも作り出した。特に立体音響゚の技法を盛り込めたのは大きな展開であった。つまり前回のプロジェクトで作り出した総合的ソフトウェアは、 i)運動とパターンをベースにしたもの、でii)生命のような自律的構造を備えたもの、である点が特徴である。
今回は第三項音楽の新しい展開として、前回プロジェクトでの課題を克服しつつ1) 音色の多様性の開発、2) 立体音響における音色と空間運動の関係、3) 複数レイヤー間の相互作用、の3点を目標として、新しいソフトウェア群を開発する。1)に関しては、低音の音色の生成、同じプログラムで多様な音をつくる方法、超高周波領域の取り込み、などについてアルゴリズムを開発する。2)に関しては、立体音響を作曲していく中で具体的に音色とそれを動かすダイナミクスの関係について調べ、音色と運動を組みでソフトウェアの中にとりこんでいく。3)に関してはレイヤー間の強さを調べていく。これらを統合的に管理する総合ソフトウェアを目指す。かつこのソフトウェア群を使ったコンサートとインスタレーションを開催する。
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