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プロジェクトの途中で、現地にてのプロジェクトレビューを行なったが、この段階では、順調に進んでいたものと、若干開発状況がやや遅れ心配のあったものとが、ほぼ半々ほどであった。開発期間の最終段階である成果報告会の時点では、すべてのプロジェクトはほぼ予定の開発を終了していた。内容的にも当初の予定通りの開発を行なったものだけではなく、内容的な検討に基づき、より進化した開発結果となったものもある。
総じて、当初の目的を達している点ではなんら問題はないが、今後の展開に関しては、それぞれ違った方向性を持っており、プロジェクト毎に、今後どうすべきかよく考えて開発を続行する必要がある。
それぞれのプロジェクトの最終評価は次の通りである。
プロジェクト1
AjaxによるWebコミュニケーションツール(稲津和磨)
今回、開発者の稲津君は、まだ二十歳という若さではあるが、しっかりとWeb2.0の基幹技術であるAjaxを我がものとし、軽量・高速のWikiを実装した。その実力は手堅い。今回のプロジェクトで、ソフト開発への自信につながったものと思う。今後の一層の発展を期待したい。
プロジェクト2
共同ローカリゼーションフレームワーク(井上謙次)
ソフトウェアのインターナショナリゼーションとその逆のローカリゼーションは、どちらも、ソフトウェアの国際化と地域ごとの活用の観点から重要である。これは、特にオープンソースについては避けては通れないプロセスである。このローカリゼーションの作業が、これまでともすれば人手のみ、あるいは、非常に低レベルの支援しかなかった。今回、これらを支援するソフトがそれ自身オープンソースとして新たに開発されたことは小さな一歩ではあるが、ソフトウェアの国際化と地域化・流通にとっては大きな一歩である。
プロジェクト3
DBLP2.0:教授の世界を大航海するウェブインターフェースの開発(坂本剛彦)
DBLP2.0がベースとしたDBLPの方は、単に論文リストが表示されるにすぎない。これに対して、今回開発したDBLP2.0では、関連研究者、関連学会、および、その研究者に関したWebページが表示されると言った工夫がされている。また、最初の手がかりとなる、関連研究者ユニットはカスタマイズ可能となっている。ただ、この関連研究者ユニットのカスタマイズの際に、生成されたコードを生でコピー&ペーストしなければならないのは不便である。この点は改善を要する。
プロジェクト4
BlockBug〜PCなしで遊べるブロックプログラミングおもちゃの開発〜(垣田幸子)
自立型でダイナミックにプログラム変更可能なロボットの設計と開発は非常にユニークであり、今後の発展が大いに期待できる。パソコンを一切用いずに、電子部品とアクチュエータ、センサーのみで構成されている点も面白い。カラーに塗られた色を識別する部分は安定性に欠ける点であり、今後の改良が必要である。プログラムブロックも、現在は最小限のものがアドホックに選ばれてあるだけであり、今後どういう命令セットが望ましのかの検討が必要である。
プロジェクト5
次世代Greasemonkey、Tsukikage Systemの開発(中山心太)
Greasemonkeyと同等以上の機能をもつTsukikage System を新たに開発した。このシステムはPythonで記述しているため、Python からネイティブコードで実行が可能で、Proxyを使用しているにもかかわらず、低レイテンシー、高スループット、低CPU負荷と言った性能面での特徴を有する。特に強調すべき点としては、従来のGreasemonkeyはFirefox のみでしか動かなかったが、今回のTsukikage Systemはブラウザの種類を問わない点の意義が大きい。Greasemonkey自体が、通好みのところがあり、その機能を非常に有り難いと思う人と、それほどとは思わない人とに分かれるが、前者の人にとっては、Firefox 以外にも使えるとか、自然言語処理が加わったことなどの意義も大きい。
プロジェクト6:
通奏低音自動リアライズによる古楽演奏者の独習支援システムの構築(新妻雅弘)
今まで誰も試みなかった、古典音楽の通奏低音(数字付き低音部)に対して、自動的に伴奏を付与するという、まさに「前人未踏」のソフトウェアを開発し、実際に人に聞かせるレベルにまで達したことは大きな成果であり、高く評価できる。適切な和音をつけるという行為は、音楽の中でも繊細かつ微妙なもので、一朝一夕には最適レベルまでは行かないが、とにもかくにも、その自動化の先鞭をつけた、という意義は極めて大きい。このため新妻雅弘君を、未踏ユースの準スーパークリエータと認定する。
プロジェクト7:
テキストマイニング技術を融合したウェブブラウザの開発(上村卓史)
所定の目標通り、テキストマイニングを用いたブラウザが開発された点は大きな成果である。今回のテキストマイニング法としては、従来よく用いられてきたtf-idf法ではなく、単語のNグラムに基づくスコア計算を採用している。しかも、単語Nグラムのコスト計算を高速化する工夫も行なっている。今回のコスト計算の方式がどの程度有効なのかは、もう少し評価実験が必要であり、また開発したブラウザの一般公開もこれからの課題である。今回、新たにテキストマイニングを基本とするウェブブラウザを開発し、そのためのキーワード抽出法に創意工夫をしたのは、まさに未踏ユース にふさわしい内容であり、上村卓史君を、準スーパークリエータと認定する。
プロジェクト8:
ブロガーのためのソースコード管理システム(伏井洋平)
当初に掲げた、ブログにおけるソース管理という目標は十分に達している。従来のブログ中に単にコードを書き連ねるのに比べれば、はるかにコードの参照が便利になっている。今後はさらにシステムの完成度を上げ、一般公開・実運用した上で、このシステムのメリットと問題点を明らかにしつつ今後の改良を行ない、ブログを利用したソースの交換促進に役立てて欲しい。
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