IPA






2006年度下期未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択概要


 



1.担当PM


  竹内 郁雄



2.採択者氏名


代表者

上野 康平(千葉大学理学部先進科学プログラム

共同開発者

 なし


3.プロジェクト管理組織


  株式会社 オープンテクノロジーズ



4.採択金額


  3,000,000



5.テーマ名


  物理ベースのレンダリングを柔軟性を持って行えるアーキテクチャの開発



6.テーマ概要 (応募時資料を一部分改訂)

 3次元コンピュータグラフィクスを作製する際の工程は、3Dの被写物をデザインするモデリングと、仮想のカメラからの映像を生成するレンダリングの2つに大別される。近年、このレンダリングアルゴリズムは急速な進歩を遂げている。Kajiyaらによって物理ベースCGの基盤となるレンダリング方程式が提唱されてから二十年、物理学的に正確な理論に基づいたレンダリングアルゴリズム(以下物理ベースアルゴリズムと記す)は実用の域に達している。
  しかし、実際には現在プロダクションレベルで使われているのは古典的な手法が殆どである。レイトレーシング法やフォトンマッピング法の拡張を施したものも見受けられるが、必ずしも物理学的に正確な演算をしているとは言い難い。しかし、既存の物理ベースのレンダラーは、写実的な画像は正確に計算できても、特殊効果等に使われる複雑で非現実的な材質や、影の強調や間接照明の調整といった誇張表現は難しいといった欠点がある。
  そこで本プロジェクトでは、従来型のレンダリングアーキテクチャに代わる新たなシステムを実現する。従来のレンダラーにあったメリットである複雑な材質表現や
表現の柔軟性をそのままに、最新のアルゴリズムを採用した物理学的に正確なレンダリングを可能にする。また、レンダリングに特化した分散計算システムも並行して開発する。

 具体的な開発項目は以下である。
1. 物理ベースレンダリング対応シェーダシステムの設計、開発
  従来型CGシステムで多種多様な材質を表現するのに使用されていたシェーダシステムを物理ベースCGでも扱えるようにするシステムを開発する。デザイナーの負担をなるべく減らすような直感的なデザイン用GUIも並行して開発する。

2. レンダラー向け分散計算システムの設計、開発
  既存のMPI実装等を使わず、一からレンダラーに特化した分散計算システムを設計、開発する。レンダラーの分散計算は他の用途での利用に比べて複雑なので、より高性能な並列化が期待できる。

3. 上記技術を包括したレンダラーアーキテクチャのリファレンス実装の開発
  現在開発中のレンダラーであるnytrに上記技術を統合する。提案するアーキテクチャのリファレンス実装とする。




7.採択理由(担当PMからのコメント)

写実的な画像も取り扱え,多様な材質表現に対応できるアーティスティックな画像も取り扱えるレンダラーを,高性能な分散計算環境とともに実現しようという,ひょっとして二兎を追っているかもしれないが,実力と実績を見ると,一石二鳥の可能性の高い提案だ.
  竹内はシロウトだが,CGの進歩は恐ろしく速いし若い(?).未踏ユースでは,採択平均年齢よりも若い人たちが,これまでもよくCG関連のプロジェクトを遂行してきた.上野君は史上2番目に若い17歳である.しかも,18歳未満割引(?)のない正真正銘のかっちりした提案だ.オーディションのときのしっかりした質疑応答が素晴らしかったし,千葉大学理学部先進科学プログラム物理コースに飛び級入学という話題性のある人だ.上野君は高校生になる前の6年間ほど米国にいた帰国子女であり,受験,受験ではない米国の教育環境だから育ったのかなぁと思わせる逸材だ.趣味も多彩である.
  レンダリングは大きな計算パワーを必要とするが,それを実現する専用の分散計算アーキテクチャをつくってしまおうという意気込みがすごいし,それを裏付ける実力も十分ある.今後の技術発展を柔軟に取り込めるように特定のアルゴリズムに特化しない,かつスケーラビリティの高い設計をするというポリシーはとても17歳と思えない発想だ.未踏ユースをバネにしてさらに伸びてほしい.




  ページトップへ   






Copyright(c) Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved 2007