| なぜきちんとしたデータ管理が行われていないのであろうか.それは,端的に言ってしまえば,「めんどくさい」からなのである.一見するとこの「めんどくさい」という理由は利用者の怠慢であり,「大した問題ではない」と捉えられがちである.しかし,本当にそうであろうか.データが溢れる現代,一日にデータを扱う機会は何百何千何万回とある.その都度,データ管理を「意識」し,それを正しく「実行」するコストを「大した問題ではない」と言って無視できるのだろうか.
私たちは「めんどくさい」の裏側には直感的なコスト計算があると考える.つまり利用者たちは,現行のシステムを使ってきちんとしたデータ管理を行うことは作業コストが高く,自分たちの生産性に支障をきたすと考えているのである.
また,仮にすべての利用者がデータ管理の意義を強く認識し,そのための作業コストを惜しまないとしても,利用者が意識的にデータ管理を「実行」している限り,そこにはかならず人為的なミスが発生する余地がある.データ社会における「財産」とも言えるデータの管理において,このように人為的ミスの発生を誘発するようなリスクは決して許容できない.
以上の問題を解決するため,我々は,利用者が無理なく,日常的に利用できるデータ管理の仕組みが必要だと考えた.
そこで本提案では,利用者が意識することなくデータ管理をきちんと実行し,その恩恵を受けられるシステムの実現を目指す.
データ管理用の仮想ドライブを実現し,そのディスク上で利用者は普段通りの作業を行うと,バックグラウンドで自動的にデータ管理(バックアップ,バージョン管理,暗号化)が行われるようにする.このように,利用者が直接的にデータ管理を行うのではなく,利用者の作業に応じて自動的にデータ管理を実行することで,人為的なミスが入る余地をなくし,データ管理を徹底することが可能になる.
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