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近年,組込みシステムの高性能化・高機能化により,一つのプロセッサに複数のアプリケーションを統合したシステムが増加している.アプリケーションの大規模化により,システムに搭載するアプリケーションを複数のグループやメーカにより,別々に設計・開発・検証することが多い.このようなアプリケーションを従来のリアルタイムOSを搭載したプロセッサ上に混在させると,設計・スケジューリング方針の違いやアプリケーション間に保護機能がないなどの理由から,あるアプリケーションの実行時間の遅れがシステム全体へ波及してしまう.
この問題は,ハードリアルタイム性を要求されるシステムでは致命的となるため,個々のアプリケーションのプロセッサ時間を保護する機能(これを時間保護機能と呼ぶ)が必要となる.時間保護機能により,異なる設計・検証レベルで開発されたアプリケーションを一つのプロセッサ上に容易に統合することが可能となる.
現状では、ハードリアルタイム性を要求されるアプリケーションの実行時間を保護するための時間保護機能に関する研究・開発は少ない.提案者らは,時間保護機能の理論的なスケジューリングアルゴリズムの研究をベースに,昨年度の未踏ソフトウエア事業の支援を受けて,時間保護機能をもつリアルタイムOSを開発した.
提案者らによる時間保護機能に関する基礎的な研究及びリアルタイムOSの開発は,現在も継続しており,今後オープンソースとして公開することを予定している.今回の未踏ソフトウエア事業では,昨年度開発したμITRON仕様準拠の時間保護OSをベースにリアルタイムOSの構造を整理し,機能を容易に追加できるよう構造化を進める.さらに,現在までの研究・開発経験から得られた問題点・改良点を考慮し,時間保護OSの適用範囲の拡大と実用性の向上に重点を置いた機能を追加する.追加する具体的な機能としては,アプリケーション毎に割込み管理するための割込み仮想化機能,非リアルタイムアプリケーションへの対応,OS非対応アプリケーションへの対応,対応APIの追加などを検討している.
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