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ヒューマン・コンピュータ・インタラクションの大きな流れが人類の有史以来自然界とのインタラクションにより形成されてきた認知スタイルと考えられ,ペンインタラクションはこのような認知スタイルを代表する形式の一つとも言える.そのため,ペン一本で全操作できるパソコンは多くの研究者たちが昔から追い求めてきた夢である.ペンによる自然な入力と編集と同時に,コンピュータの処理能力も利用できれば,人間の様々な活動の効率が大幅に上がる.しかしながら,ペンコンピュータの市場は依然として低迷を続けている状態である.原因のひとつとして,ペン入力の優位性はまだ十分に見出されておらず,ペンの特長を十分に生かしたソフトウェアが存在していないからである.市場の多くのアプリケーションは単なるキーボードとマウス用の操作法をそのまま流用しているため,ペン入力自身の対話モデルは WIMP (window, icon, mouse/menu, pull-down menu/pointer) 程度にとどまっている.故に,ペン入力ユーザインタフェースの設計者に提供できる,ペンの特長を生かした操作法が肝要である.そこで,提案者らは,ペンとタブレットの対話環境に基づいた基本的なユーザインタフェースソフトウェアを開発することにした.具体的には,ペンの特長(柔軟性,曖昧性,自由性,利便性,モバイル,直接指示・操作)を生かし,ペンに適した,スクロール操作法,Zooming操作法,ターゲット選択技法(シングル,マルチ),編集用ジェスチャ,モードの切り替え機構(インクの入力と選択などの操作の切り替え)などを研究開発する.また,“作った”ことのみにとどまらず,評価実験を行ったうえでそのインタフェース(各操作法)の有効性を実証する.
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