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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書

 


1.担当PM

   河野 恭之 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 助教授)


2.採択者氏名

開発代表者

杉山 達彦 (有限会社ウニークス 取締役社長)

共同開発者

なし


3.プロジェクト管理組織


   テクノロジーシードインキュベーション株式会社


4.委託金支払額


  3,788,000


5.テーマ名


 協調と共創により関係と情報の共有を促進するシステムの開発

 


6.関連Webサイト


 なし


7.テーマ概要


 近年のWeblogSNS Wiki等の情報共有ツールの普及は、実社会の多様な情報のWebへの流通を推し進めている。一方、情報検索や情報推薦等の従来の情報流通の枠組みにおいては、いかに情報自身を特徴付けるか、また受け手自身をモデル化するか、といったところにばかり焦点が絞られていた。しかしながら、そもそも情報とは送り手と受け手がいて初めて存在するものであり、根本的に関係性に基づいて情報の信頼度が担保されて、情報の価値判定や流通、更には共有がなされるはずである。SNSWeblogを通した情報の発信は、関係指向の情報共有の萌芽であるが、我々はその先にある、すべての情報が関係性のもとで流通し消費され、関係性が発展したり解消したりすることにより、実世界のような関係指向の情報社会が形作られる枠組みの実現を目指している。その実現のために、我々はこれまでに、関係指向のサービスとして関係に基づく情報共有システムやアクセス制御技術を開発してきた。
現在、多くのSNSが存在する中で、関係指向のような高次のサービスが実現されない要因の一つは、Web上においてユーザ間の関係を適切に定義し、形成促進する仕組みが成熟していないことにある。関係の形成の支援は、今後の関係指向サービスの基盤となるものである。本研究開発では、ソーシャルネットワークにおける関係形成を促進するための技術として、ソーシャルタギングを用いた関係の共有、集約システムとその応用について開発を行う。提案システムにより、ユーザはソーシャルネットワークを効率的に管理・発展させることができる。そして、提案システムは、関係に基づく情報発信・閲覧、及び、情報発信・閲覧に基づく関係更新を備えた関係指向のWebの基盤となるものである。

 


8.採択理由


 「ユーザ間で人間関係を合意させるのは運営者としてのメリットはあるが,ユーザには「目に見える」メリットがあるのか?また,自由なラベル付けを許さないことは逆にユーザに窮屈な規定を押しつけることにならないのか?」と心配したが,ユーザには当初自由なラベル付けを許し,それを伝搬と集約を使って各ラベル語彙の合意を形成するとのこと.日常ツールへ組み込んでビジネスをはじめるつもりになっている(会社の存続をそれに賭けている)という意味で採択すれば勢いに乗ってくれるだろう.

 




9.開発目標

2.3.1 関係指向の情報流通制御

本プロジェクトでは,実世界では普通に行われている関係指向の情報流通をネットワーク上で実現するために,SNSのユーザ間での関係タグの付与を促進することで情報の適切な共有と流通が可能となる関係指向サービスの基盤を提供する.具体的には,研究者SNSとして運用されているPolyphonet Academiaに対して以下の機能を付与することを目標とする.

(1)利用者間の関係性をタグ(以降,関係タグと称する)で整理する機能

(2)情報をタグ(以降,情報タグと称する)で整理する機能

(3)関係性を用いた情報へのアクセス制御機能

(4)関係性を用いた利用者検索/情報検索機能

(5)関係性を用いた利用者フィルタリング/情報フィルタリング機能

これらの機能により,図2.3.1に示すように利用者が協調して関係性を整理してゆくことで,他の利用者や情報を収集するための検索や検索結果としてのビューを提供する.

 


10.進捗概要


本プロジェクトは目標とした基本機能の実装はほぼ計画通りに進行し,基礎的な枠組の運用開始にこぎつけた.ただし,開発成果の運用形態が外的要因により変更を余儀なくされたことも影響し,精度の向上など個々の機能のブラッシュアップの余地が少なからず残っている.

 


11.成果


本プロジェクトは当初の開発項目の実装は達成し,研究者向けSNSであるPolyphonet Academiaの追加機能としてサービスを開始した.しかしながら外的要因などにより上記SNS自体のサービス開始がずれ込んだこともあり,提案する枠組の有用性を検証するには至らなかった.

 


12.プロジェクト評価


上述のようにサービス開始から間がなく,またユーザ数が一定レベルを超えなければユーザにとってのありがたみが実感しにくい種類のサービスであるため,現時点での成否評価は適切ではない.テストベッドとしているSNSが個々のユーザ間の関係を明確化しやすい研究者をユーザとしているため,早い段階での効果の見極めが可能となることを期待したい.

 


13.今後の課題


ユーザ間で人間関係を合意させるのは運営者としてのメリットはあるが,ユーザには「目に見える」メリットを示しにくい.開発者も自覚しているが,立ち上げ期の谷を乗り越えるための戦略を早期に具体化・実施することが望まれる.

 



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