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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書

 


1.担当PM

   大川 恵子 (株式会社スクールオンインターネット研究所 代表取締役所長)


2.採択者氏名

開発代表者

岡田 欣也 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科情報生命科学専攻博士後期課程2年)

共同開発者

古川 貴久 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科情報生命科学専攻修士課程1年)


3.プロジェクト管理組織


   株式会社 創夢


4.委託金支払額


  13,961,840


5.テーマ名


 ぐるぐる生体反応マップの開発

 


6.関連Webサイト


 なし


7.テーマ概要


 わが国の理系離れは切迫した課題である。理系離れの要因としては専門化し複雑化しすぎたため、全体を理解することが困難となっていることが挙げられている。ライフサイエンスも同様で膨大な数の分子が様々な反応をすることが分かっており、非常に難解である。現在、分子反応のプロセスを断片化し整理することでデータベース化されているが、全体像を眺めることができず、ライフサイエンスの理解が進んでいない。そこで、当提案は、AJAX技術を用い、断片化された反応プロセスを結合させ、まるで、画面上に巨大な分子反応地図が存在するかのような優れたユーザビリティを実現したオンライン生体分子反応マップの開発を行うものである。また、専門性の高い生体内分子DBを作成することで、優れた検索機能を実現する。このソフトウェアは、ライフサイエンス関連研究者、製薬、食品企業などの専門家のみならず、非専門家の身近な生命現象の分子的な理解を促す優れたツールとなる。
具体的な開発項目は以下である。
) クライアント側 地図モジュールの開発
AJAX
を活用することで、生体反応地図をマウスで自由に扱うことできる。
) クライアント側 検索モジュールの開発
地図内の生体内分子に対し、様々な属性について検索することができ、地図上からすぐに目的の分子や反応を探すことができる。
) サーバー側 生体内分子DBの開発
地図内の生体内分子すべてに対し様々な属性を収集しDB化することで、専門的な情報にもアクセスすることができる。

 


8.採択理由


 ライフサイエンス分野に限らず、コンピュータのディスプレイや教科書といった平面的で限られた空間に記載された文字や図だけでは把握しにくい物事の全体像というものがしばしばあり、その理解を支援することは学びのプロセスに大きく貢献します。本申請で提案している手法がライフサイエンス分野で成功し、さらに一般的な知識表現のメソッドとして成長できたら面白いと思いました。

 





9.開発目標


「ぐるぐる生体反応マップ」プロジェクトは、生体内分子の相互作用による反応やパスウェイを簡単に目でたどることができ、全体像を視覚的に把握することが容易な既存の生体反応マップの特徴を活かしつつ、これをデジタルネットワーク上で実装することにより、従来のマップでは困難であった個別分子の検索や詳細情報の参照を可能にするツールを開発することを目的とする。ターゲットとする利用者が生命科学分野の専門家であったため、必要とされる機能・情報に関するサーベイに基づいてシステムの設計・開発を行い、実際の開発物に対する専門家のフィードバックに基づいて評価することを目標とした。また、可能であれば拡張性を確保し、成果を公開することにより専門家がそれぞれの研究用にカスタマイズして利用できるようにすることも目標とした。

 


10.進捗概要


5
月 開発開始

6月 生体内反応地図上の座標の仕様を決定

7月 地図モジュールの仕様を決定

8月 座標抽出ソフトウェア・検索モジュールのプロトタイプ・テストDB開発を完了

9月 ツリー検索モジュール・JavaApplet版地図モジュールの仕様を決定

JavaApplet版地図モジュール開発を完了・学会発表

10月 機能カテゴリDBの開発・たんぱく質間相互作用ネットワーク地図の作成を完了

地図モジュールの汎用化・シグナル伝達ネットワーク地図の作成を完了

ワークショップにおけるソフトウェアデモ実施

11月 検索モジュールの汎用化・シグナル伝達ネットワークDBの作成を完了

12月 ツリー検索モジュール・地図モジュールのリファクタリングを完了・中間発表会

1月 ソフトウェアコードの難読化プログラム開発を完了

2月 モジュール仕様書・ドキュメント・公開用ページ・成果報告書の作成を完了

 


11.成果


本プロジェクトの成果は、以下の開発物である。

 

1.インタラクティブな生体反応マップインターフェイスの開発

AJAX 技術を用いて、ウェブページ中の生体反応マップを、マウスでぐるぐるドラッグできる機能、マップの拡大・縮小機能、マップ上の移動機能を実装。

2.生体反応マップ上に存在するオブジェクトの検索機能の開発

生体反応マップ上のオブジェクト(酵素、代謝産物、補酵素、反応経路、

細胞小器官)の検索機能を実装。

3.生体反応マップ上のオブジェクトに関するデータベース開発

生体反応マップ上のオブジェクトに対して、生体内機能、他のDB への

リンク情報、などを統合的に集積したデータベースを構築。

 


12.プロジェクト評価


本プロジェクトでは、生体内反応という非常に複雑な情報を視覚的に把握することを可能にするとともに、研究者がそれぞれの要求に応じてカスタマイズし、利用できるようAPIを公開している点で、「ソフトウェアがもたらす学びへの貢献」が高く評価できる。また、学会での発表においてその有用性・ユーザビリティが同分野の専門家から評価されており、実用性も評価できる。今後、さらに実用化・普及を進めることにより、ライフサイエンス分野における研究の推進・成果の外部発信を促進するとともに、将来的には一般的な知識表現のメソッドとして成長することが期待できる。

 


13.今後の課題


今後の課題で最も重要な点は実用化への取り組みであり、専門家向けに情報量・機能を追加して専門性を高めると同時に、一般ユーザ向けにユーザビリティ及び完成度を高めていくことが必要である。

 




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