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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 




1.担当PM

   千葉 滋 (東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助教授)




2.採択者氏名

開発代表者

二宗 崇(本名:赤木 崇) (株式会社いい庭 取締役)

共同開発者

なし




3.プロジェクト管理組織


   株式会社メディアフロント




4.委託金支払額


  6,000,000




5.テーマ名


 Ruby言語によるオープンソース Webコマースシステムの開発




6.関連Webサイト


 http://esr-sys.org/  




7.テーマ概要


 日本発のオブジェクト指向スクリプト言語である「Ruby」をベースとしたオープンソースのWebコマースシステムの開発。
 現在多くのサイトが様々な商材でWebベースでのショッピングシステムを利用していますが、その多くはPHPJSP(Java)ASP (VBScriptなど)といった環境(言語)で作成されており、Rubyを利用したものはほとんど見かけません。本提案では開発者が今まで使ってきた言語の中で特にWebプラットフォームにおいて、今後に最も期待できる言語としてRubyを利用した汎用的なコマースシステムの開発を提案します。
 また、オープンソースのWebコマースシステムは、需要の大きな市場でありながらほとんどみかけないのが現状であり、その反面、商用のコマースシステムは非常に多種多用のものが出ています。
 本提案はこうした現状から、新たなオープンソースのコマースシステムを提案するものです。

 




8.採択理由


 提案者は所属企業で長く web コマースシステムの開発・保守管理をほぼ一人で担当してきており、今回の提案で開発しようとしているシステムも、提案者のこれまでの経験を生かした優れたものになるだろう。現状でオープンソースの実用的な web コマースシステムのフレームワークはなく、今回の開発案件を支援することは有用であると判断した。

 




9.開発目標


近年、インターネット上のオンラインショップが多数運営されているが、運営にあたってはネットワーク資源、マシン資源、電子決済システム等、膨大な資源が必要である。このため、多くのオンラインショップは、既存電子モールに安価に出店するという形をとっているが、安価な一方、そのような出店は制約も多い。たとえば、web サイトのデザインのような外観が自由にならない、顧客情報を閲覧できない、などである。そのような制約は個人情報の扱いの観点などから手軽な出店を可能にする利点とも考えることができるが、本格的なオンラインショップの運営には足かせである。

 

そこで本プロジェクトでは、将来のオープンな電子モールを見据えて、手始めにオンラインショップの実運用に耐える web コマースシステム esr-sys をオープンソースソフトウェアとして開発する。とくに web ページのデザインやレイアウトを柔軟に選べるコマースシステムとする。また従来の web コマースシステムでは対応しきれていなかった複雑な販売管理などにも対応し、使いやすい web コマースシステムにすることをめざす。

 




10.進捗概要


事業スタートとともに既に公開していた既存ソフトウェアに手をいれる形で、順調に開発が進んだ。中間報告会にあわせて11月には中間成果物をまとめてバージョン 0.9 αとしてリリースできた。中間報告会では、既に主要機能のデモができる状態であった。中間報告会後は、報告会でのフィードバックを受けてページのテンプレートを一新するなど、ソフトウェアの完成度を高める作業につとめた。全体として順調に進んだプロジェクトであるといえる。

 




11.成果


Esr-sys
を開発し、下記のサイトからオープンソースソフトウェアとして公開した。

 

http://esr-sys.org/

 

Esr-sys Ruby 言語とAmritaテンプレートライブラリを用いて実装されている。Amritaを利用することにより、HTMLテンプレートをそのまま形でテンプレートとして利用でき、テンプレートの自由度を高く保ち、一般的なプログラム埋め込み型のシステムよりも、よりダイナミックに見た目の変更が行える。例えば、同じデータ/プログラムで動いているサイトを、管理画面からテンプレートを切り替えるだけで、下図のように見た目を大きく変えることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Esr-sys は、コマースシステムとしての基本機能として、会員管理、外部の決済システムとの連携、受注から配送までの販売管理、販売戦略を考えるためのサポート情報の出力などを備える。また、既存のコマースシステムであまりサポートされていない「資材」レベルでの在庫管理や詳細な送料計算機能も備える。これらの機能はすべてプラグイン機構の上に構築されているので、機能拡張も容易である。




12.プロジェクト評価


これまで勤務先の企業でwebコマースシステムを構築・保守してきた経験に基づいて開発しているためか、全体に順調な開発であった。開発した esr-sys の完成度も高く、開発者のソフトウェア作成能力の高さがうかがえる。強いて難をいえば、esr-sys を実コマースサイトの構築に使ってみようとサイト作成者に思わせるesr-sys自体の魅力だろうか。使いやすいテンプレート機能、プラグイン構造による拡張の容易さなどがesr-sysの特徴であるが、コマースシステム自体の機能としてはよく練られた便利な機能がある、というだけである。信頼性や、インストールの容易さなどで強くアピールできる点がないと、今後の普及の際に壁にあたるかもしれない。

 




13.今後の課題


まずは完成度を高め、開発者の自サイト等で実運用の実績を作ることが大切である。実運用に使うには、まだまだ多くの作業が残っているだろうが是非実行して、実運用まで到達してほしい。その後の課題は、外部の利用者がコマースサイトを構築するのに esr-sys を利用できるようにすることである。これも決して容易な作業ではないが、地道に開発を続けてゆき、esr-sysの普及をはかってほしい。

 



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