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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 




1.担当PM

   千葉 滋  (東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助教授)




2.採択者氏名

開発代表者

横田 健彦 (株式会社アークシステム ソリューション開発部)

共同開発者

本間 宏崇 (株式会社アークシステム ソリューション開発部)




3.プロジェクト管理組織


   株式会社グルージェント




4.委託金支払額


  9,000,000




5.テーマ名


 メタプラグイン機構に基づくコンテンツ管理システム




6.関連Webサイト


 http://kvasir.sandbox.seasar.org/




7.テーマ概要


 近年Webサイトの開設に要するコストの低減と時間の短縮が課題となっている中、コンテンツ管理システム(CMS)を利用したWebサイト構築が注目されています。CMSは静的なコンテンツの管理機能に加えて、新着情報の管理機能やアクセスカウンタ機能といった動的なWebサイトを構成するための部品も備えているため、CMSを利用することで短期間かつ少ないコストでWebサイトを構築することができます。
 その一方で、CMSの持つ既存機能だけでは要件に沿ったWebサイトを構築できず、カスタマイズが必要になることが少なくありませんが、特にシステムが提供する拡張機構(例:プラグイン機構)の範囲でカスタマイズが完結しない場合、システム本体に手を入れる必要が出てくるため、開発・保守コストが一気に増大してしまい、開発コストを低減させるというCMS導入のそもそもの目的が達成できないことになります。
 そこで本提案では柔軟な拡張機構を持つCMSとして、メタプラグイン機構に基づくコンテンツ管理システムを提案します。メタプラグイン機構とは、機能を単純に個別に追加する「フラットな」プラグイン機構とは異なり、プラグインからプラグインを利用したりプラグインをプラグインによって拡張したりするような、プラグイン同士を組み合わせることで機能拡張を行なう機構です。この機構を持つ本システムを利用することでカスタマイズコストを抑えることができ、低コストでのWebサイト構築が可能になります。

 




8.採択理由

 コンテンツ管理システム (CMS) はオープンソースのものも既に多数存在し、競争のはげしい分野である。本提案はCMS 全体をプラグインアーキテクチャで構成することで、既存のものよりカスタマイズ性を高めようという提案である。この手法は Eclipse JBoss AS 等でも採用されており、高いカスタマイズ性を実現できる可能性がある。すぐれたプラグインアーキテクチャの設計はけして容易ではないが、開発者らの能力に期待したい。

 




9.開発目標


近年、Webサイトの開設に要するコストの低減と時間の短縮が重要となってきている。そうした中、短期間かつ少ないコストでWebサイトを構築することができるコンテンツ管理システム(Contents Management System, 以下CMS)が注目されているが、既存のCMSはあらかじめ用意された部品(プラグイン)を選んでページ上に配置する程度の機能しか備えていないため、多種多様なWebサイトの構築ニーズに十分応えることができていない。

 そこで本プロジェクトでは、web サイトの開発者自身が必要に応じてプラグインを新たに開発し、CMSの機能を拡張することで、多種多様なwebサイトの構築ニーズに応えられるシステムを開発する。このコンテンツ管理システム「Kvasir/Sora(クヴァシル・そら、以下単にKvasirと略す)」には、メタプラグイン機構を基盤としてもたせ、webサイト開発者が既存のプラグインを土台として新しいプラグインを容易に開発し、Kvasirに追加できるようにする。また、機能拡張のために膨大なノウハウや手間がかかるようでは、せっかくの拡張性も実用上は意味がないため、機能拡張をしやすくする開発環境も併せて提供する。また、簡単にWebサイトを構築できるような仕組みと、構築したWebサイトを低コストでメンテナンスできるような仕組みも提供する。

 




10.進捗概要


本プロジェクトは当初より計画通り順調に進み、プロジェクトの主目標であるメタプラグイン機構だけでなく、周辺のツール類、フレームワークなども順調に開発していった。しかしながら中間発表時の議論で、本プロジェクトの成果として何を押すべきか、何を押せば本ソフトウェアの潜在的な利用者にアピールするか、という点があいまいであることが判明した。その後、これを明確にするまでに少し時間がかかったようだが、明確になった後は開発の方向性も自ずと決まり、プロジェクト終了時には優れたCMSシステムが完成した。

 




11.成果


プロジェクトを実施した結果、CMSKvasir/Sora」を開発し、開発成果を以下のサイトからオープンソースソフトウェアとして公開した。

 

http://kvasir.sandbox.seasar.org/

 

Kvasir/Sora の主要な機能は以下のようになる。

 

・メタプラグイン機構

 

Kvasir ではCMS のすべての機能が個々のプラグインとして実現されている。これにより柔軟にシステムの構成を変更、拡張することができる。さらに本機構はプラグインから別のプラグインの機能を利用することが可能になっており、新しいプラグインを既存プラグインを利用して容易に作成できるようになっている。

 

・対話的 Webサイト管理

 

Webページのレイアウト等のデザインを対話的におこない、簡単に目的のwebサイトを構築できる。実装にあたっては Ajax DHTML 等の技術を駆使しており、POPと呼ぶwebページ上の部品を対話的に配置することもできる。また Kvasir WebDAV サーバ機能を内蔵しているので、Kvasir のもつコンテンツを OS ファイルシステムにアクセスするのと同様のユーザインタフェースで操作できる。

 

テキスト ボックス: 一覧からドラッグして
配置したい場所にドロップ

 

Eclipse によるプラグイン開発支援

 

Kvasir用プラグインはEclipse 上で開発がおこなえる。Kvasir プラグイン開発の支援機能が(Eclipse のプラグインとして)用意されており、プラグインの雛形の自動生成、テスト実行環境の構築がサポートされている。またプラグイン設定ファイル編集のための専用エディタも提供される。

 

・自動プラグイン取得・更新機能

 

インターネット経由でプラグインを自動取得する機能、インストール済みのプラグインを最新バージョンに更新する機能をもつ。

 

Webサイトの部品となる各種プラグイン

 

Kvasir のプラグインとして、日記プラグイン(Blogプラグイン)、RSSプラグイン、コンテンツ一覧表示プラグイン、画像埋め込みプラグインが既に用意されている。

 




12.プロジェクト評価


プラグイン機構を強化することでソフトウェアの拡張性を高めるというアイデアは、Eclipseの成功によってか最近よく聞かれるアイデアであり、不採択であったプロジェクト提案の中にも、類似のものは少なくなかった。また、前年度下期採択の Poderosa も同様のアイデアにもとづくターミナルソフトウェアであった。したがって本プロジェクトの成功は、単にプラグイン機構を開発するだけでは足らず、その上に Web サイト開発者にとって魅力的な機能セットを提供できるか否かによる。本プロジェクトは後者の点についても、よく達成しており、とくに対話的な web ページ作成機能は非常によく作りこまれており、高く評価できる。成果発表会での聴衆の反応も良好であった。

 




13.今後の課題


今後の課題は普及である。現在提供できている Kvasir の機能セットは十分魅力的であると思われるので、これをさらに充実させ、それを足がかりに普及を図ってもらいたい。当初はシステム標準のプラグインだけを利用するKvasir のユーザだけであろうが、そのようなユーザが増えれば、その中からプラグイン開発者も現れ、Kvasir 本来の特徴であるメタプラグイン機構を活用した利用も増えると思われる。

 



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