|
本プロジェクトの説明をざっと見たとき、現場の必要や既存ツールの不備への憤りに駆られて、またひとつ新たな出版用ソフトウェアを開発しようというものとして捉える方々もおられると思われるが、目指したことにはもう少し深い戦略性がある。実際のところ、バッチ型のフォーマッタの先達としては、古くはroffやscribe などというものもあって歴史は古い。こういう状況では、なによりLaTeXで十分ではないかなんて意見も耳に入ってしまう。前者は、西部開拓のパイオニアたちが現地で調達した資源をもとに町を築いていこうというようなものだし、後者はケルンの町に聳え立つ大聖堂といった感じのものだ。たしかに、パイオニアたちの残したものは、失礼だがクラシックカーみたいなものであるし、ケルンの大聖堂は厳かで立派であるが、失礼ながら生活の場としては息苦しいし、かび
臭いということになるかもしれない。結局、このプロジェクトがおこなったのは、現代の建材をもちいて実施する都市再開発のようなものなのだろうと考える。
開発のスタイルは、XML を中心に開発された多くのオープンな周辺技術を巧みに利用しながら目的のシステムを作りあげるという正統的なものである。XHTML で記述された原稿をHTML やPDF に変換するためのConverter とConverter を利用するためのコマンドラインインターフェースを提供するBuilder、ならびにWeb 上でサービスを提供するためのWeb UI のプロトタイプをRuby 言語で作成した。
機能としてはテキストフォーマッタに詳しくない人が作った原稿からでも、品質の高い出力を可能にしたこと、たとえば、既存のHTML 文書からでも簡単に本が作れるような機能を実現している。(HTML から本をつくるなんて、頭でイメージすると簡単そうなことなのだが、実際やってみようとするとさまざまなステップをふまなければならないことに気づかれると思う。)Web 上におけるUI ならびにインターネット上のサービスを提供している。
詳細については、公開情報である
https://sourceforge.net/projects/workbook/
をご覧いただければと思う。
|