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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書

 


1.担当PM

   美馬 義亮 (公立はこだて未来大学システム情報科学部 助教授)


2.採択者氏名

開発代表者

小宮 香織 (中央大学大学院 理工学研究科 経営システム工学専攻 修士課程 2年)

共同開発者

関口 佳恵 (中央大学大学院 理工学研究科 経営システム工学専攻 修士課程 2年)


3.プロジェクト管理組織


   リアルコム株式会社


4.委託金支払額


  2,605,798


5.テーマ名


 創作支援ツール: MochiFlashの開発

 


6.関連Webサイト

 http://www.mochiflash.com/


7.テーマ概要


 近年ではアニメーションや小説などのコンテンツの在り方が多様になり、個人が一人で全ての作業をこなすことも少なくない。しかし個人作業の問題点として、アイデアが煮詰まってしまうということが往々にしてある。一方で、彼ら個人クリエータがインターネット上で出会い、共同で作品を作る例が増えている。特に、作家とイラストレータなど立場の異なるクリエータ同士であることが多い。その際、立場の違いから解り合えないことや、顔の見られない相手への遠慮から妥協してしまうということが問題点として挙げられる。
 そこで本提案では、絵と文章による作品作りを主題とした、以下の特徴を満たすシステムの実現を目指す。
[1]
二者間の相互理解を助け、一切妥協のない作品作り。
[2]
相互の知識差から意外性のある情報提示を行い、閃きを支援する。
 具体的な方法としては、クリエータが日常的につけているネタ帳のデータをベースに、二者間の認識のズレや知識構造をイメージマップを用いて明示する事で相互理解を促進する。
 閃きを誘発させる手法としては、相互のネタ帳データに記録されていない属性を持つ情報の提示を考えている。この時、ユーザが関心を持たない情報は避ける必要がある。これについては提示情報に対してマップ上で要不要のフィードバックを返せるようにし、関心のない情報を回避し、必要とされた情報と近い属性を持つものを優先的に提示する。
 本提案は既存の共同作業支援とは異なり、一切の妥協を行わない。徹底的に意見を戦わせながらも、楽しんで作品を作る事のできるシステムを目指す。

 


8.採択理由

 絵本を原作者と絵の担当のような複数のスタッフで協力した創作活動をおこなうためのツールの設計を行う。(1)スタッフ間での妥協のない作品作り,(2)意外性のある情報提示の実施,2点を設定するというクリアな目標が設定されており、新規性と実現可能性の双方を満たすことが十分可能な提案であると判断し採用とします。

 

 





9.開発目標


MochiFlash は、発想を助けるためのマッピングツールと絵本作成ツールで構成する。

[マッピングツール]

・ 個人が持つイメージを表現するマップ機能

・ 二人でイメージをシェアするマップ合成機能

・ アイディアを展開する為の、画像及びキーワードレコメンド機能

・ 書き貯めたアイディアを作品制作に活かす、ウェブログからのキーワード抽出機能

・ 使用回数に応じてレコメンド精度を高める為の学習機能

[絵本作成ツール]

・ マップで使用した画像やキーワード、及びその他の画像等のアップロード機能

・ アップロードした画像と文章を組み合わせる編集機能

・ 作品を公開するギャラリー機能

 

また、

・ 誰でも気軽に扱え、特別な難しいルールを用いずに、イメージを簡単に表現できる。

・作業中、情報収集に手間をかけずに済む。

 

ことを目指し、ユーザ個人のウェブログやインターネット上のリソースを利用して情報提示を行う、上記のような機能をもつウェブアプリケーションを実現することが目標である。

 


10.進捗概要

 

このプロジェクトは、同じ大学の同じ研究科の同一専攻に所属する二人の学生の提案になるものである。共同で共同の創作支援ツールの開発を行おうというものであり、ひとりの小宮さんは共同の作業を助ける機能を、もう一人の関口さんは発想を助ける機能を担当するという段取りで進められた。

 

実は、上記の基本的なコンセプトから、二人の開発者のさまざまな要求を満たす具体的な設計に落としこむまでに、時間がかかったようである。プロジェクトの半ばを過ぎたころから、インターネット上のリソースを収集する機能などの収集プログラムなどの実装が始まった。同時に、創作支援のシナリオも作られ、このシナリオに従ってセミプロのイラストレータを対象にシステム利用状況を予想するための評価実験が行われた。

 

この実験の中で、「アイディアの創発やイメージ精緻化に重点を置く」と力点を定めたということである。その後最終的に突貫工事をすすめて、プロトタイプシステムが動作するようになった。二人は、新しいシステムを作ることの大変さを味わったのであろうと創造する。

 


11.成果

当初の予定通り、イメージマップを個人単位で作成し、二人でそれを共有しながらイメージマップを作成するという「マッピングツール」、ならびに文章と画像がアップロード可能で、共同作品をつくるプラットフォームとなる「絵本作成ツール」をウェッブ・アプリケーションとして実装した。

 

複数の作者が、プログラムされた機能により自動的に自分に関連あるインターネット上のキーワードを拾い上げ、クリエーション時の概念形成のヒントとしようというものである。ヒントの言葉を拾っていくにつれて写真や絵が表示されるのも面白い。

 

 

このツールは、クリエーターの組み合わせを、知り合いの場合、あまり親しくない場合、クリエーションに関する専門性の違いなどを変化させ、さまざまな場合の反応を見ながら作成されたということであり、協調型創造性支援ツールとして、ある程度安定した能力を発揮するだろうと期待している。


12.プロジェクト評価

 

本プロジェクトの価値は、その目標にあるのだと考える。発想支援システムで、共同作業をサポートし、このシステム上での最終的な成果物のクオリティについては妥協を許さないものとするという目標を持っている。

 

進行については、前半のコンセプト作りで手間取ったように思える。さまざまな議論や設計をおこなったように思うがなかなか、こういう報告で行こうというところに落とし込む決断ができなかったのがその手間取りの原因のひとつかと考える。出来上がったウェッブ・アプリケーションの発想支援の部分は、ネット上からキーワードを採取して新たな発想を得るというものである。思考の外化を行うツールであるという側面から、創作活動の記録として用たり、共同作業をすることが可能で、創作に用いるとプラスの効果がみられた。最終的なソフトとして上手にまとめれば、面白いツールとして利用できるのではないかと考える。

 


13.今後の課題

率直にのべるならば、まだ、まだ、チャレンジの余地は残されていると考える。基本的な部分は、スマートに動いているが、ワーキングベンチにしたいのであれば、ソフトウェアとしての細かな機能についてつめるべきところがある。また、根本的な部分では、共同作業を行うなかでの発想支援ツールという位置づけをさらに意識した機能(たとえば、あえて波風を立ててみる)を増強することもできそうである。妥協しないということであるから、「妥協するってどういうこと」というのをさらに突き詰めて考えていけば、きっと面白いテーマが潜んでいる。今回、このような土台ができたので、多視点的にこのツールを発展させていただきたい。

 




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