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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 並木 美太郎 (東京農工大学大学院 共生科学技術研究部 助教授)

 

 


1.プロジェクト全体の概要


 本プロジェクトは、応用ソフトウェアではなく、日本の独自ソフトウェアが少ないと言われている基盤ソフトウェアを中心としたテーマを公募した。OS、言語処理系などのシステムソフトウェア、ネットワークやセキュリティ確保のためのミドルウェア、ライブラリ、サーバソフトウェアは、上部層である応用ソフトウェアについてのキラーアプリケーションなどを含まないと商業的に成功しないこと、また、近年のオープンソフトウェアのムーブメントから一般に独自なものが作られにくくなっているが、これら基盤ソフトウェアは計算機システムの根幹をなすため、戦略的にはより一層重要性を増している。

  本プロジェクトでは、OS、言語処理系、ミドルウェア、ライブラリ、サーバソフトウェアなどの基盤ソフトウェアについての人材発掘と育成を目的とし、「限界に挑む基盤ソフトウェア」というテーマについて、ネットワーク用のミドルウェア、プログラミング言語の処理系、認証系のミドルウェアを採用した。今回は、OSカーネルなどのソフトウェアシステムの最下層部のソフトウェアよりもむしろ、言語処理系、ネットワークミドルウェアなど、応用プログラマまたは一般利用者に何らかの形で関係するプロジェクトを中心に採択した。特に、応用範囲が明確でシステム構築を支援することを主眼としたテーマを採択した。

 今期、採択したテーマは、コンパイラ開発基盤、P2Pによる動画配信ミドルウェア、VoIP構築のためのミドルウェアの全3件であり、言語処理系ないしはネットワーク関連のプロジェクトとなっている。

 




2.プロジェクト採択時の評価(全体)


 本プロジェクトでは、従来のシステムで問題となっているある種の限界に挑む基盤ソフトウェア、例えば、性能の低いCPUや少ない主記憶など資源の限られた組込みシステム、高速な計算や大容量の記憶装置での検索などを行う並列分散処理、大量の要求が発生するインタネットサーバの構築、などを想定したシステムソフトウェアやミドルウェア、特に、OS、コンパイラ・インタプリタなどの言語処理系、ファイルシステム、ネットワーク、ウィンドウシステム、DBMS、各種サーバの開発キットなどを対象とした。今回は、OSなどの基盤ソフトウェアよりも、利用者や応用範囲と目標が明確なシステム構築基盤であることを重視した。

 応募したテーマについて、実用重視型とアイデア重視型の2種類を定めた。実用重視型は、応用プログラムとともに実用に提供できる水準を目指した内容を、アイデア重視型のプロジェクトは、着想と内容の面白さを重視して審査を行った。その結果、2006年度上期に採択した全3件のうち、「実装言語独立でモジュラリティーの良いコンパイラキット」はアイデア重視型、「クライアントサイドモジュール型SIP-UAミドルウェア『SIProp』の開発」と「実ネットワークに適応するオーバレイマルチキャスト放送基盤」は実用的価値が高いという判断により採択とした。アイデア重視と言えども実用につながる開発であり、実用重視型においても着想には見るべきものがあり、必ずしも完全に切り分けられるものではない。いずれにせよ、ある一定水準の実用化を指向できるものを採択し、それに準じたプロジェクト指導を行なった。

 




3.プロジェクト終了時の評価


 アイデア重視のテーマについては、そのアイデアの有効性がどれくらい検証されたかを評価のポイントに、また、実用重視のテーマについては、計画書に書かれている目標をどれくらい達成したか、また実用にどれくらいつながるかを評価のポイントとした。いずれのプロジェクトも何らかのソフトウェアを成果物として提出し、それぞれ達成度は微妙に違うが、目標を達成したと考える。プロジェクトによっては、ニーズを明確化する過程において、さらに付帯的なソフトウェアが必要なることが判明し、計画書以上のプログラムを開発したプロジェクトもあった。いずれにせよ、概ね満足のできる内容であったと言える。

 基本的には、ほとんどの開発が今回の開発で実用に提供できる基盤が整った、という段階なので、これらの成果を今一度見直した上で、不足する部分や今後の課題を埋めることで、開発したソフトウェアを普及または製品化するなどのステップにつながることを期待したい。

 



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