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2006年度上期 未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 千葉 滋 (東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助教授)

 

 


1.プロジェクト全体の概要


「世界をめざす基盤ソフトウェア」というテーマで公募をおこない、39 件の応募の中から4件を採択した。審査

にあたっては、採択時にある程度のプロトタイプ・システムがあり、単にアイデアが優れているだけでなく確実な成

果が期待できるものを高く評価した。基盤ソフトウェア分野では、新しいアイデアも重要であるが、それと同時に信

頼性、完成度などが非常に重要である。いくらアイデアがよくても、完成度が低く実用にならなければ、本当の意

味でアイデアがよかったのかどうかも判断できないため、プロジェクト期間内にある程度の信頼性、実用性が達

成できそうなものを中心に採択した。採択したプロジェクトはどれも最終的にはかなりの完成度を示し、今後の展

開が楽しみである。

 プロジェクトの実施にあたっては、まず 7 15日に黒川 PM・並木 PM・斉藤PM と合同でキックオフミーティングを東京・渋谷で開催した。また 11 3 日に中間報告会を東京・渋谷にて開発者とその関係者のみの非公開形式で開催した。最後に 2 24 日に成果報告会を一般からも含め全体で80人近くの参加者を集めて東京・新宿で開催した。この他に進捗管理のため、毎月のメールによる進捗報告を各プロジェクトに課し、また定期的にプロジェクト関係者を一同に集めて小規模な会合をもつことで、中間報告会、成果報告会を含め、2・3ヶ月に一度は開発者と顔を合わせるようにした。

 




2.プロジェクト採択時の評価(全体)


公募テーマは「世界をめざす基盤ソフトウェア」ということであったので、応募時にある程度の実績なりプロトタイプがあるプロジェクトを高く評価した。ここでいう基盤ソフトウェアとは、オペーレティングシステムやミドルウェア、コンパイラ、アプリケーション開発フレームワークなどであり、一般利用者の目にふれるアプリケーション・ソフトウェアを動作させるために使われる縁の下の力持ち的なソフトウェアである。今回採択したものは、アプリケーション開発フレームワークが2件、データベースシステムが1件、ソフトウェアの開発支援ツールが1件であった。

 

基盤ソフトウェアでは、安定性や性能が重要であるので、実績やプロトタイプの存在を評価するようにした。逆に、非常に優れたアイデアであっても、実現可能性が十分に担保されていない提案は低く評価した。最終的に採択したプロジェクトは、どれも、現行バージョンが一般公開済みであったり、既に開発が始まっており部分的に動作していたり、あるいは開発者が当該分野のソフトウェアについて十分な開発実績をもっているなど、高い実現可能性を見込めるものばかりだった。提案されたプロジェクトの中には、同様の実績やプロトタイプが存在するものもあったが、本未踏プロジェクトの開発期間中に何をおこなうかが明確でないものがあり、そのようなプロジェクトは不採択とした。これまでの実績を足がかりに、さらに大きく発展させようという提案、完成度を高めて実用にしようという提案を採択した。

 




3.プロジェクト終了時の評価


採択した4件のプロジェクトは、どれもおおむね当初の計画を達成できたといえる。最終成果報告会での反応も非常に良好であった。プロジェクト開始時点で、プロトタイプなり、相応の開発実績があるプロジェクトばかりであったので、進捗も順調であり、最終的な成果物の内容も十分に満足のゆくものであった。

 

しかしながら、プロジェクト開始時点と終了時点での差分という観点から見ると、どのプロジェクトも計画通りで十分期待にこたえていたといえるが、驚くべき発展をとげたといえるプロジェクトはなかった。これは開発期間が1年弱と短いこと、目標がソフトウェアの完成度を高めることであったプロジェクトが多かったことなど、理由はいろいろあろう。しかし、それぞれの開発者はみな非常に高い能力を持っているので、驚くべき発展をとげたプロジェクトも見てみたかったように思う。



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