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本プロジェクトでは、視聴者の
PCも映像や音声の中継を行う放送基盤ソフトウェアを開発する。視聴者が、受信だけでなく再配信も行うことで、強力/大規
模/高価な配信サーバやコンテンツ配信ネットワーク(CDN)が不要となり、極めて安価に大規模な放送を行うことが可能となる。加えて、単に安価なだけで
なく、誰にでも放送が可能となり、コンテンツクリエータが国内外の多数の視聴者に対して直接作品を届けるという新しいコンテンツ流通形態が現実のものとな
る。
視聴者のPCが中継を行うというマルチキャスト形態は、アプリケーション層マルチキャスト(ALM)やオーバレイマルチキャストと呼ばれる。従来ソフト
ウェアは、配信木を構築するアルゴリズムの中で、実ネットワークの様々な制約、例えばxDSL回線の上り下り非対称性やNA(P)Tの存在を考慮していな
い。このため、上り帯域幅が再配信には足りないようなPCが誤って配信木に入ると中継が破綻するといった問題があった。xDSL回線の上り大域幅は数百
kbps程度であるため、音声(例: Skype)では顕在化しないこの問題が、動画では問題となってくる。
また、従来ソフトは、配信木の構造を特定のサーバが集中的に決めるか、各PCが非集中的/自律的に決めるかのどちらか一方である。集中的に決める方式に
は、サーバが単一故障点であるという対故障性の問題や、数千、数万のPCを管理することの負荷が集中するという問題がある。しかし、系の全体を把握するこ
とで、非集中的に決めるよりも安定性、効率、スケーラビリティの良い配信木を構築し得るという利点もある。
そこで、次の特徴を備える放送基盤ソフトウェアの開発を提案する。(1)実ネットワークの制約、例えばxDSL回線の上り下り非対称性やNA(P)Tの存
在を考慮して配信木を構築する。(2)集中的(ハイブリッドP2P)にも、非集中的/自律的(ピュアP2P)にも、両者を組み合わせても、配信木を構築で
きる。
これらの機能によって、実ネットワーク上で、安定して、大規模な放送を安価に行うことを可能とする。
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