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本プロジェクトでは,
システムの有効性を検証することを考慮し,開発者が所属している研究室 (学生約50名)
を実施対象としたシステムを構築した.研究室では従来,各個人がブログを保持し,かつ継続的にブログを投稿していたが,各個人が既に保持しているブログの
利用形態は変更せず,多人数のブログを効率良く読むために普段利用しているRSSリーダーに着目し,RSSリーダーへのアクセス時に認証を付加すること
で,閲覧制限を可能とするブログリーダを作成した.
本システムにおいてユーザがエントリーを閲覧する際,認証が必要となるため,システムが利用者を特定できる.その結果,エントリー単位での閲覧制限が可
能となる.
想定している基本的な利用形態は以下の通りである.
(1) 今まで利用している既存のブログで,ユーザは簡単なGUIを使って,閲覧対象者を指定したタグを本文に埋め込み,エントリーを投稿する.
(2)
本システムのRSSクローラーがエントリーを収集し,さらに本文に埋め込まれたタグから閲覧対象者を判断し,その情報をエントリーに付加してデータベース
へ保存する.
(3) ユーザが本システムでブログを閲覧する際,アクセス時に認証を行ない,システムへログインする.
(4) システムは認証情報をもとにそのユーザを特定し,そのユーザが閲覧できるエントリーのみを表示する
また,認証により各ユーザの利用状況や閲覧状況など,さまざまなログをとることができる.たとえば,自分のブログへのアクセス数などをユーザに提示でき
るなど,情報制限だけでなく,既存のシステムでは出来なかった機能を付加することができる.
さらに本システムは,認証により副次的に得られる情報に基づいて,さまざまなユーザにとって関心のある情報を提示し,ユーザの投稿への意欲,つまりブロ
グの活発化をも狙う.
本システムの概念図を図2.10.1
開発したイントラブログシステムの概念図に示す.システムは大きく3つのモジュールで構成される.ブログのエントリー情報を収集してデータベースへ格納す
るRSSクローラー @,格納したエントリー情報を取り出して,ブログのエントリーを表示するインタフェース
A,エントリー情報が蓄積されているデータベースにおけるエントリーの解析モジュール B である.
図 2.10.1 開発したイントラブログシステ
ムの概念図
図2.10.2
インタフェースの概念図にインタフェースの概念図を示す.インタフェースはエントリーデータベースからエントリーデータを取り出し,そのエントリーデータ
を自分のブログスペースであるリーダーに動的に貼り付ける.また,閲覧者の要求に応じて画面は再構成される.
図 2.10.2 インタフェースの概念図
図2.10.3
ブログエントリー閲覧画面に本システムにおけるブログエントリー閲覧インタフェースを示す.これはAjaxを用いて実装した.画面は表示するエントリーの
条件を指定する部分と,指定されたエントリーを表示する部分からなる.エントリーを読むためには,まず @
にあるエントリー投稿者の名前をクリックする.A に投稿されたエントリーのタイトル一覧が表示されるので,閲覧したいタイトルをクリックすればよい.
図 2.10.3 ブログエントリー閲覧画面

このような基本的な構成のもと,インタフェー
スにさまざまな機能を付加した.ごく簡単に紹介すると
・エントリーの本文中に閲覧対象者を指定するタグを埋め込むことにより閲覧対象者を選択する機能 (図2.10.4 エントリー別閲覧者選択機能)
・未読記事表示機能 (エントリー単位の管理なので容易に実現可能だった)
・特徴語抽出を使った自動的な関連エントリー表示機能 (形態素解析器MeCabと汎用連想計算エンジンGETAを組み合わせて関連度計算を行なった
- - - 計画書と異なりオートサーチトラックバックを使わない方式となった)
・エントリーでよく使われているキーワードのランキングを表示する機能
・キーワードに対して,データベースの一括検索を行ない,そのキーワードを含むエントリーすべてを表示するエントリー一括検索機能
(全ブログ横断型の検索)
・各個人が良く使うキーワードをもとに,「人のキーワード」同士の関連度を計算し,ユーザに自分と類似したエントリーを書く傾向にある他のユーザを提示す
る「人とのつながり」表示機能である.
図 2.10.4 エントリー別閲覧者選択機能
このシステムを用いて,開発期間終了間際
(2006年2月)
に実施実験,というよりシステムの実運用に入った.すなわっち,研究室で従来から利用されているサーバ型RSSリーダーから本システムへ全面的に移行し
た.研究室の学生・教員・OB・OG計64名がすでに使用しており,正常に稼動している.ユーザをスムーズに新システムに移行させるために,各種機能は小
出しにして追加するという戦略をとった.現在もログ解析を続行中であるが,安定期に入るまでの過渡期は,データ解析よりもシステムの改良を続ける.
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