IPA


IPAトップ





2005年度未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択案件評価書


 



1.担当PM


 筧 捷彦   (早稲田大学教授)



2.採択者氏名


 代表者

水島 宏太(筑波大学)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 株式会社オープンテクノロジーズ


  4.委託支払金額


 1,684,336円



5.テーマ名


 統合開発環境Eclipseのスクリ プト言語用ライブラリの開発



6.関連Webサイト


 http://sourceforge.jp/projects/storm/

 http://www.eclipse-plugins.info/eclipse/index.jsp



7.プロジェクト概要


 統合開発環境 EclipseがJava開発者を中心に急速に普及してきている。Eclipseは,プラグインと呼ばれる機構によって開発環境自身を拡張できることを特 徴としたIDEでありEclipse自身がプラグインの集まりで構成されている。しかし,通常のJavaプログラムを書くのに比べて,プラグインの開発は 面倒であり,IDE上での作業を自動化するのには向かない。何故ならば,そのようなプログラムは多くの場合使い捨てであり,プログラムを作るコストがあま りに大きいならば,手動で行った方が早いということになりかねないからである。
 このプロジェクトは,Eclipse環境の下でスクリプト言語Groovyが使える状況を設定するともに,そのGroovyから用いることのできる, Eclipse環境を操作するためのライブラリを設計する。これが実現できれば,EclipseというIDE上での様々な作業(リファクタリング,高度な 検索)をより容易に自動化できるようになり,開発の生産性が高まることが期待できる。
 なお,このライブラリは,Groovyを用いてのEclipseプラグイン開発にも有効であることはいうまでもない。




8.採択理由


 Javaでの統合開発 環境として広く使われているEclipseの上での 作業をスクリプト化しようとするのは簡単でない。ようやくGroovyと呼 ばれるスクリプト言語が作られたが,いろいろなライブラリと組み合わせて使えるようには設計されていない。そこで,他のライブラリとの組合せに対しても オープンに機能する新しいGroovy用のライブラリを開発 する,というのが今回のプロジェクトである。
 Onionと呼ぶオブジェクト指向言語とその開発環境を実際に開発した経験をもつ。プロジェクトそのものの完了は確実性が高い。もっとも,提案されてい るテーマは,相当に先鋭化したものである。このプロジェクトを出発点として,より広範なテーマでの実力発揮へとつながることを期待する。



9.成果概要


 Eclipseを再起 動することなく,Groovyで簡単なプログラムを書いてEclipse上での様々な作業を自動化することができるようになった。例えば,ソースコードの 自動生成,ファイル処理といった作業を,簡単なプログラムを書いて実行するだけで行えるようになった。このような作業は,プラグインを用意して当たるほか はなく,そのためのオーバヘッドを考えると,やりたくてもやる気になれず,結局手作業でやるほかはなかったものである。
Groovyは,Javaに即した構文・意味論をもったスクリプト言語である。Eclipseユーザの大多数は,Java言語でのソフトウェア開発に Eclipseを用いているから, Groovyを使うのに何の困難も感じない。今回の成果によって,Eclipse環境下での各種作業にも,ちょっとスクリプティングしたくなるものはいく らもある。今回の成果物は,そうした場面で多いに役立つに違いない。



 



10. PM評価とコメント

 Eclipse はJava 開発者以外にも幅広く使われている統合開発環境であり,プラグインが多数作成されている。例えば,EclipsePluginsというWebサイトでは, 多数のEclipseプラグインが登録されている。しかし,特定のスクリプト言語用の開発環境を提供するプラグインは多数あるものの,本プロジェクトと同 様なことを行うことを目的としたプラグインは,探した限りでは登録されていなかった。
 プロジェクトの開発成果によって,Eclipse 上での作業を,プログラムを使って自動化することが容易になり,Eclipseを使ったソフトウェア開発の生産性が向上することが期待できる。また,それ にとどまらず,このプロジェクトに触発されて,Eclipse プラグインをJava 以外のプログラミング言語で開発することが盛んになることも期待できる。

 
 こうしたことからして,“新規性”あふれるプロジェクトである,といっていえなくもない。コンパイラやインタプリタを含む言語処理系・開発環境では,翻 訳対象・解釈対象となる言語自身でコンパイラやインタプリタを書き下す事でいろいろなことが見えてくるし,やれることの幅が広がる。それを巧みに Eclipse環境に当てはめたプロジェクトである。見事といえば,見事かもしれない。しかし,それにしてはあまりに偏狭なテーマである。

 
 開発者は,自らプログラミング言語Onionを作り,その開発環境も開発している。十分にあふれる才能を秘めていると信じたい。その才能を,もっと広い 視野をもったプロジェクトに当ててほしい。未踏ユースなんてところを超えて,ぜひとも未踏ほんちゃんに挑んでもらいたい。



  ページトップへ   






  Copyright(c) Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved 2004