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2005年度未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択案件評価書


 



1.担当PM


 筧 捷彦   (早稲田大学教授)



2.採択者氏名


 代表者

田代 直之(九州大学大 学院 修士課程)

共同開発者

島田 敬士(九州大学大 学院 博士課程)



3.プロジェクト管理組織


 日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社


  4.委託支払金額


 2,956,461円



5.テーマ名


 遠隔講義受講者のためのアクティブな 講義映像生成システムの開発



6.関連Webサイト


 なし



7.プロジェクト概要


  近年,高速なネットワーク回線における映像配信技術を利用したe-ラーニングが数多く行われるようになってきた。中でもキャンパスが何箇所かに分散し ている大学や予備校などでは遠隔講義として取り入れられている。また,最近では家庭にいながらにして遠隔地で開講されている講義風景を閲覧することも可能 になってきている。遠隔講義用に配信される映像は,固定カメラにより撮影した映像あるいはカメラマンが撮影した映像が考えられる。前者は,変化のない退屈 な映像に見えてしまい,学習意欲が湧きにくく,後者は,カメラマンを雇用するためのコストがかかるという問題がある。また,遠隔講義を支援するシステムと して,計算機で自動的に撮影対象を決定し,講義を撮影するものがある。しかし,遠隔講義システムの導入には多額のコストがかかり,現実的ではない。?そこ で,本プロジェクトで提案するソフトウェアは,遠隔講義の映像を配信する側ではなく,映像を受信する側であたかもカメラマンが撮影したかのような映像を生 成し,閲覧者に提示するものである。講義映像閲覧者は,本ソフトウェアを導入することで,リアルタイムでオンライン配信された映像や,メディアファイルと して配布された映像を単に固定カメラが撮影しただけの退屈な映像ではなく,あたかもカメラマンが撮影したかのような動きのある映像を見ることができるた め,学習効率面でも非常に効果的であると考えられる。一方,遠隔講義の映像を配信する側も,固定カメラで撮影した映像を配信するだけでよくなるため,導入 コストも安価なものとなる。



8.採択理由


 遠隔講義の形で受講す る学生に適切な講義映像を提供するシステムを構築する。講義状況をビデオ収録するのに,講師を自動追尾するカメラシステムを開発ずみである。その技術を応 用して,カメラ固定で収録したビデオス トリームを配信し,受信したクライアント側のソフトウェアによって,講師や,講師の指示する図表などにフォーカスを当てて表示するシステムを構築しようと いうのが提案されたシステムであるが,配送前にサーバ側でこうした処理を行った上で配信することも可能な技術内容であり,いろいろに工夫ができそうであ る。
 講師の映像と連動して,プロジェクタ等に表示しているプレゼンテーション画像を切り替える技術もすでに開発済みで,プロジェクトの期限内にまとまったシ ステムとしてどのように仕立て上げられるかが勝負になる。



9.成果概要


 開発した遠隔講義支援 システムは,ユーザインタフェースと,次の4つのモジュールとから構成される。
 

・映像キャプチャモジュール
講義映像を画像処理できるフォーマットに変換する。AVI,MPEGなどのメディアフォーマットに対応している。また,DVカメラから直接映像を取り込む ことも可能である。さらに,ハードウェアボードCometDVIPを用いればストリーム配信されているDVパケットを直接取り込むことも可能である。
 

・映像処理モジュール
講義映像に対して画像処理を施し,映像内から講義において重要な箇所を抽出する。具体的には,教師の位置と黒板に書かれた板書をそれぞれ抽出し,それらの 情報を統合して重要箇所の推定を行っている。
 

・講義映像生成モジュール
映像処理モジュールで推定された講義の重要箇所を映像内から切り出し,デジタルズームを行う。拡大表示すべき領域が変更されたときに表示領域の移動・拡大 率の変化を滑らかに補間する。また,ユーザ操作により見たい領域が選択された場合も同様の処理を行う。
 

・学習用補助機能モジュール
 次の4つの機能を開発した。
 @ スナップショット・・・現在表示されている映像を保存する。
 A パン・チルト,ズームイン/アウト機能・・・撮影領域を自由に変更できる。
 B スライド埋め込み・・・映像内にスライド画像を埋め込んで表示する。
 C コメント表示・・・教師が付加的に伝えたい内容をコメントとして表示する。
 

・ユーザインタフェース
ユーザはマウス操作だけで本システムの全機能を利用できるように設計した。映像の拡大領域を選択する際にも,ボタン操作でパン・チルト,ズームイン/アウ トを簡単に制御できる。また,映像上をクリックすることでもパン・チルトさせることができる。さらに,ホイール付のマウスであれば,映像上でホイールを動 かすことでズームイン/アウトを制御することも可能である。
 
 このプロジェクトでは,遠隔講義用に固定カメラで撮影した映像を蓄積しておき,学習者は,ネットを介してこれを自らのPCにダウンロードしてくる。そし て,PC単体の上でゆったりと閲覧することを想定している。したがって,開発したすべのモジュールとユーザインタフェースは,ユーザ側のPC上で動く事を 想定している。


 



10. PM評価とコメント


  開発は,予定通り, すべての項目にわたって完了した。手元スライドのはめ込みがスムーズでない,とか,部分拡大したときに画質の低下が激しい,など,このままのものを実用に 供しようとすると不満な点がいくつもある。しかし,いずれも改善が単独で吐かれるものであり,基本的な仕組みとしては,基本的な開発が終わったと考えてよ い。部分拡大の画質低下は,撮影した画像が通常VIDEOカメラによるものであるために生じている。しかしながら,固定カメラを使う,という方針にそっ て,複数のカメラを固定で配置して必要な画面を切り替えて使うことも可能であろうし,HiVISIONカメラを使う事で画質を高める事も可能である。ネッ トワークの高速化も急速に進んでいるだけに,画像配信を受けたユーザPC側の基本事項はすべて完了したといっていいだろう。
  今回開発したものを出発点として,今度は遠隔講義を支援する全面的なシステム構想を立ててそのすべての基本機能を統一的に画像処理技術の応用として実 現するプロジェクトをもって未踏本ちゃんに本格的に挑戦してほしいものである。



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