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2005年度未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択案件評価書


 



1.担当PM


 筧 捷彦   (早稲田大学教授)



2.採択者氏名


 代表者

前川 峻志(多摩美術大 学)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社


  4.委託支払金額


 2,954,826円



5.テーマ名


 書体の動きで感情表現を行う「千篇書 道」の開発



6.関連Webサイト


 なし



7.プロジェクト概要


  現在の文字を使っ たコミュニケーションツールは「文字のかたち」そのものがコミュニケーションをする際の伝達の役割を担っていた。モーションタイポグラフィというコン ピュータから映像生成を行い動きをつけることで「文字のかたち」+「文字の動き」でさらに幅広い情報やイメージの伝達が可能になった。?しかしながら,そ れらのソフトウェアは「活版印刷」の頃の設計思想をソフトウェアに適用している。コンピュータ上は活版の木製や金属製の活字一文字とは違い,物理法則に支 配されない表現のチャンスがあるはずだが,多くのソフトウェアが活版印刷の思考から抜け出せていないため,動きや物理法則から自由のはずのコンピュータの 空間を生かした表現のチャンスを失っている。さらに付け加えると,これらの映像をつくるソフトウェア,特に「モーションタイポグラフィ」を制作するものは 映画のようなフィルムベースでの設計思想がもとになっているため,インタラクション性が高い文字表現にはまだまだ不足がある。そこで本提案では?・活版印 刷の文字一文字単位の思想にとらわれない?・映画のようなフィルムベースの思想にとらわれないインタラクション性の高さ?の二点に注目して設計し「分裂す る文字」「重たい文字」「軽い文字」「ちぎれる文字」などスクリーン上の文字に新たな感覚的な質感を生むことを注目して,そうした質感を引き出すための実 験が行えるシステムを開発する。



8.採択理由


 文字とは何か。その書 体が意味するところは何か。これらの概念がコンピュータ誕生以前の諸概念に縛られたまま現在に至っているのではないか。時間変化という次元を字体の概念に 取り入れ たら何ができるのか,それを探る。これが今回のプロジェクトのテーマである。
 すでに実験的に幾つかの試みを重ねてきているし,なかなかに面白い効 果をもった「字体」が生まれることは確実である。さて,それらを活かす道をどこに見つけ出すか,どのような形で応用領域を生み出しユーザを得ていくか。期 待は膨らむが,どこでどの ような一歩が踏み出せるか,なかなか挑戦的なプロジェクトである。



9.成果概要


  千篇書道は MacOSX上でObjective-CとC++を組み合わせて行われた。MacOSを採用したのは,標準で美しい日本語フォントが使われていること,多 言語に対応した設計が行いやすい環境が用意されていることによる。
 また,千篇書道では,多数のパラメータを保存したり入力した値を検証したりするためのデータ保存機能を必要とするが, MacOSX 10.4に用意されたCoreDataを利用することでデータベース機能を短期間で実装できることも,MacOSX 10.4をプラットフォームとして選んだ理由である。
 いくつかの作り込みのエフェクトの選択とともに,各種のパラメタを選択することでその効果を実際にみることのできる操作パネルを用意して,実験が簡単に 行え,かつ,望ましいパラメタ設定を簡単に保存したり取り出して利用したりできる環境を作り上げた。




 



10. PM評価とコメント


 基盤となるモジュール を整える事,それらを組み合わせて,最終的に千篇書道が目標とする各種質感を発見するテストベッドを用意するという目標を見事に達成した。
 成果のテストベッドは,Mac OS X用に限定されている。しかし,千篇書道に興味をもってこのテストベッドでさまざまなエフェクトの追求をしてくれるであろうユーザは,Mac 使いであることが多いので,この事自体がこの成果の価値を下げるものではない。


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