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今回採択されたプロジェクト全体に渡るテーマは、Web 2.0+である。
Web 2.0はWebの現在の状況を示す言葉であり、その特徴は、Webに参加する人たちがコンテンツを共同で制作したり、コンテンツをうまく使って新しい体験としたり、コンテンツを中心として人同士のつながりができたりする仕組みが実現されていることである。
本未踏プロジェクトは、その延長線上にあるものである。
さらに、Webから実世界へのリンクも考慮されている点が+αと呼べる部分である。
今回のプロジェクトはよくがんばったものとそうでないものに大きく分かれた。
がんばったものの中でも特に神原のプロジェクト「Web上で協同利用するイラストレーションツールの開発」の成果であるWillustratorと呼ばれるシステムはすばらしい。
これは、ドローツールのオンライン版でWeb上で共同で絵を描くことができる。
できあがった絵はブログ等で引用できるが、オリジナルを修正・加筆しようと思えば簡単にできる。
これは、絵の完成イメージだけでなく、そのソースコードと呼べるような絵の構成要素とその関係を保存し参照可能にしているからである。
これはオンラインのコンテンツ制作にとても大きな貢献をしていると考えられる。
また、後藤のプロジェクト「環境情報を記録し、多面的にメタデータを利用するデスクトップ」の成果であるDashSearchというシステムも非常によくできている。
これは、仕事の内容をそのときに行った単純なタスクやそのときの文脈に基づいて検索する仕組みであり、検索における新しいユーザーエクスペリエンスを提供している。
また、石戸谷のプロジェクト「知識・情報共有プラットフォームSoya」の成果Soyaはコンテンツのメタ情報一般を扱うためのフレームワークであり、コンテンツのオーサリングやアップロードとは異なるユーザー参加を促す仕組みである。
吉江のプロジェクト「よせがき教科書出版のためのHowToコミュニティサイト「yosemite」の開発」の成果yosemiteは、HowToコンテンツと呼ばれる、人が何かを始めるときの手順とその効果に関する記述、を共同で作成するためのオンラインツールである。
このように、コンテンツそのものを多様化する流れと、コンテンツの使われ方を多様化する流れがある。
また、川北のプロジェクト「ブロック型表示インターフェースの開発における位置認識システムの研究−「からくりブロック」」の成果であるからくりブロックと呼ばれるシステムは、物理的な行為と情報コンテンツを連動させる仕組みである。
Webを拡張する一つの重要な方法は、実世界の行為や表現を統合することである。
そのためにも、このシステムは重要な働きをするだろう。
鈴木のプロジェクト「Blographerの開発」の成果Blographerは、ブログを書くという行為と文章の内容を可視化するという操作を同時に行い、文章を効果的に扱うためのメタデータを比較的容易に獲得するためのシステムである。
小池のプロジェクト「コンテンツ流通システム"PICSENSE"の開発」の成果PICSENSEは、アートコンテンツを口コミで流通させるためのシステムである。
このように、コンテンツの作成、流通、拡張、再利用を促進する新しい仕組みを実現することができた。
ただし、一部のプロジェクトはきわめて完成度が低く、当初に相談して設定した目標に到達できなかった。
この点に関しては深く反省すべきだと考えている。
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