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2005年度下期 未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 千葉 滋 (東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助教授)

 

 


1.プロジェクト全体の概要


「世界をめざす基盤ソフトウェア」というテーマで公募をおこない、22 件の応募の中から3件を採択した。採択したプロジェクトは、どれも採択時にある程度のプロトタイプ・システムがあり、確実な成果が期待できた。基盤ソフトウェア分野では、新しいアイデアも重要であるが、それと同時に信頼性、完成度などが非常に重要である。いくらアイデアがよくても、完成度が低く実用にならなければ、本当の意味でアイデアがよかったのかどうか判断できず、あまり高く評価できない。その意味で採択したプロジェクトはどれも最終的にはかなりの完成度を示し、今後の普及が楽しみである。

 プロジェクトの実施にあたっては、まず 12 26 日に黒川 PM・並木 PM と合同でキックオフミーティングを東京・渋谷で開催した。また 4 27 日に中間報告会を、2005 年度上期開発者の中からのゲスト参加者も含め、東京・渋谷にて非公開形式で開催した。最後に 8 10 日に成果報告会を並木 PM と合同で東京・丸の内で開催した。この他に進捗管理のため、毎月のメールによる進捗報告を各プロジェクトに課し、また定期的にプロジェクト関係者を一同に集めて小規模な会合をもつことで、中間報告会、成果報告会を含め、2・3ヶ月に一度は開発者と顔を合わせるようにした。

 




2.プロジェクト採択時の評価(全体)


公募テーマは「世界をめざす基盤ソフトウェア」ということであったので、応募時にある程度の実績なりプロトタイプがあるプロジェクトを高く評価した。ここでいう基盤ソフトウェアとは、オペレーティングシステムやミドルウェア、コンパイラ、アプリケーション開発フレームワークなどであり、一般利用者の目にふれるアプリケーション・ソフトウェアを動作させるために使われる縁の下の力持ち的なソフトウェアである。採択した 3 件のプロジェクトのうち、1 件がライブラリ、1 件がデータベースであり、予定どおりであった。最後の 1 件はターミナルソフトウェアであり、どちらかというとアプリケーション・ソフトウェアと呼ばれることが多いが、提案内容はこれを CUI (Character-based User Interface) の基盤として利用できるように機能拡張する、というものだったので採択した。

 

基盤ソフトウェアでは、安定性や性能が重要であるので、実績やプロトタイプの存在を評価するようにした。逆に、非常に優れたアイデアであっても、実現可能性が十分に担保されていない提案は低く評価した。最終的に採択したプロジェクトは、既に開発が始まっており部分的に動作しているものや、現行バージョンが一般公開済みのものであった。それを元に、機能や性能を大きく改善し、付属ドキュメントを整備してさらなる普及にはずみをつけようという内容であったので、採択した。ただし現行バージョンが既に存在する場合でも、提案するプロジェクトの内容が単なる部分的な改良や機能追加である場合は採択しなかった。




3.プロジェクト終了時の評価


採択した3件のプロジェクトは、どれもおおむね当初の計画を達成できたといえる。どのプロジェクトの成果物も非常に高い実用性を達成しており、今後の普及が楽しみである。「ターミナルエミュレータを軸とした統合環境の開発」の開発代表者は成果物であるPoderosaの高い実用性を生かし、Poderosaの保守および機能拡張を請け負う企業を設立した。「オープンソースPDFライブラリの作成」の成果物であるlibharu 2は、商用の類似ソフトウェアに匹敵する機能と性能を達成し、オープンソースソフトウェアとして既に公開済みである。その結果、多数のユーザによって利用され始めている。「XML統合を支援する軽量XQueryプロセッサの開発」の成果物であるXBirdは、残念ながらプロジェクト終了時の公開には間に合わなかったものの、XQuery 1.0の仕様をほぼ忠実に実装しているプロセッサとしてW3Cwebサイトに登録されている。またXBird自体もまもなくオープンソースソフトウェアとして公開される予定である。

 

 公募テーマにかかげた「世界をめざす」という点については、どのプロジェクトも努力のあとが見られる。Poderosaは日本語だけでなく英語のドキュメントとwebサイトを用意している。Libharu 2は英語のドキュメントとwebサイトが主体であり、はじめから世界のユーザを相手に普及をねらっているといえる。XBirdは国際的な標準化団体であるW3Cにテスト結果を報告するなど、やはり最初から世界のユーザを相手に普及をねらっている。



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