| 現在、デジタイザや超音波位置測定、パターン認識などの原理を用いて紙上におけるペン先の位置座標を取得し記録するペン型入力装置(デジタルペン)が複数開発されている。これらは、紙上にペンで文字や記号、図を書き、書いた筆跡データを後でパーソナルコンピュータに転送して利用するための装置である(つまり、記録時には単体で利用できる)。
しかし、これらの技術では、それを用いて日本語文を書いても、記録されパーソナルコンピュータなどに転送されるのは紙の上にペンで記した筆跡のデータだけであり、文字コードとして表現された日本語テキストデータを得るには別途手書き文字認識などの技術を併用しなければならない。また、結局はすべての文字を紙に手書きするのだから、日本語文を効率よく入力する効果は期待できない。
しかし、せっかくデジタルペンというIT機器を手にして「書く」のだから、日本語文を書くためのより高度な支援が可能なはずである。本テーマは、「紙に文字を書く」「ワープロや携帯電話で入力する」という従来の方法に変わる(ないしはそれを補間する)第三の手段として、「紙」とデジタルペンを用いて文章の執筆を高度に支援できる日本語文入力方法を確立することを目的とする。
そこで我々は、デジタルペンによる入力を「筆跡」と「コード入力」の2通りに解釈し、漢字仮名まじりの日本語文の特質を活かした入力方法として「紙のキーボード」を開発し、最初のバージョンをすでに発表した。対象としたデジタルペンは2機種(デジタイザ方式、超音波位置測定方式)である。現状では、ひらがな、カタカナ、英数字や記号を文字コードで、漢字や図を手書きの画像として混在させたHTMLファイルを出力する機能を有する。また、漢字や図の「再利用」や、「ペン先のジェスチャ」による入力コードの制御といった、紙やワープロにない機能も実現している。
本テーマでは、この現行バージョンを改良し、つぎの2項目を実現することで、上記「第3の入力手段」の利便性・汎用性を高めることを目指す。
1.筆跡データを利用する漢字文字認識プログラムとの併用により、漢字部分まで文字コード化した完全なテキストデータ出力が得られるようにする。
2.パターン認識方式のデジタルペンに移植することにより、携帯性を高める。具体的には「文庫版、紙の手帳とペンだけの『紙のキーボード』」を実現する。
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