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2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 黒川 利明 (株式会社CSKホールディングス 総合企画部 CSKフェロー)



1.プロジェクト全体の概要


 本プロジェクトでは、ソフトウェア開発で最近最も重要な部分という認識が高まってきた上流工程の部分のうち、「要求」に対する支援のための各種方法論、ソフトウェアシステム、ソフトウェアツールなどの開発を目的とする。狙いは、特に、わが国において遅れていると言われる要求部分の技術者を育成するとともに、要求部分の品質を高めて、わが国のソフトウェアの品質向上と、わが国の産業の競争力強化にある。残念なことに、要求の重要性を認識しながらも、その研究が困難なために、わが国の大学における本分野での研究実績は乏しく、応募数も限られていた。しかしながら、実務経験をベースにした応募が若干数あり、そのうち二つを採用することができた。採用者の中に事情により辞退する人もいたのは残念だったが、徳冨さんのWebTechは、初期の目標を達成することができ、第三者からも高い評価を得ており、今後が楽しみである。このような実績を重ねることによって、本分野の開発が今後とも進んでいくことを願ってやまない。



2.プロジェクト採択時の評価(全体)


 「文書のOO的生成を可能にするAPIとライブラリの開発」は、要求段階での文書の作成・管理の仕様策定、ツール開発・ライブラリ作成、検証を提案しており、今回の公募の趣旨にもっとも良く合致している。上流工程に対する問題意識も明確であり、今後の方向としてCafeOBJの試用など、技術の流れをしっかりおさえていた。残念なことに、開発者は諸般の事情により、開発を辞退した。
 「WebTechの開発」は、Web+DBアプリケーションに限っているのだが、要求パターンを使って処理しようと言う狙いが面白い。開発者の、システムやアプリケーションを抽象化、一般化して、要求段階を扱うのは難しいという主張も現場での貴重な経験としてうなずける。この方式の効果をきちんと評価した結果を見ての話にはなるが、要求問題を実際に解決していくためには、このような着実なやり方が有効だろうと考えた。
 本プロジェクトの趣旨には外れるが、面白そうな応募もあった。しかし、概要で述べたように、本プロジェクトの趣旨は、要求に関する技術、人材の育成支援なので、趣旨を外れるような応募は採用しなかった。他のプロジェクトと比較して、大学からの応募が実際上なかったのは、ある程度予想していたが残念であった。



3.プロジェクト終了時の評価


 開発者は、予期したより良くやってくれた。支援者にもめぐまれていたという側面があったと思う。しかしながら、プロジェクト全体の狙いである、「要求」に対する支援を通し、要求部分の品質を高めて、わが国のソフトウェアの品質向上と、わが国の産業の競争力強化を目指すという目標について言えば、わずかに一歩を踏み出したに過ぎないと思う。この分野の開発の難しさを改めて実感したというのが、正直なところだ。
 そうは言っても、WebTechの成果そのものには大いに期待が持てる。開発方法論としてのTypical first、具体的なアプリケーション開発ツールとしてのRyoma、さらに、フレームワークとしてのMutsuまで、一通りの要求支援ができるようになった。アプリケーション開発用のプログラミング言語や、開発時での柔軟な対応など、実際に広く使われるために拡張強化しないといけない部分は多々あるが、本未踏プロジェクトの枠内では十分な成果があげられた。
 特に、成果報告会などにおいて第三者の評価が高かったのは、喜ばしいことだった。


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