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2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

   黒川 利明 (株式会社CSK CSKフェロー)



2.採択者氏名


開発代表者

徳冨 優一 (フリーランス)

共同開発者

なし


3.プロジェクト管理組織


  日本エンジェルズ・インベストメント株式会社



4.委託金支払額


  10,779,844



5.テーマ名


  WebTech の開発



6.関連Webサイト


  なし



7.テーマ概要


 
このWebTech開発プロジェクトは、要求支援の対象アプリケーションをWeb+DBアプリケーションに限っている。開発方法論として、典型的な要求部分をツールを用いて迅速に処理し、残った資源で個別の要求を処理するというTypical firstを提案し、これに沿った、ツールとフレームワークを提供する。技術的に興味深かったのは、このツール自体が、この方法論にしたがって、開発中のツールを使って開発実装されたことである。



8.採択理由


 
Web+DBアプリケーションに限っているのだが、要求パターンを使って処理しようと言う狙いが面白い。システムやアプリケーションを抽象化、一般化して、要求段階を扱うのは難しいという主張もうなずける。この方式の効果をきちんと評価した結果を見ての話にはなるが、要求問題を実際に解決していくためには、このような着実なやり方が有効だろうと考える。



9.開発目標


 最近のシステム開発の過半を占めるWeb+DBアプリケーションにおいて、要求部分の仕様を開発する作業を支援する。典型的な要求部分を迅速に処理するという開発方法論を含めて、支援のためのツールやフレームワークをWebTechというパッケージにして提供する。開発したものを第三者にも評価してもらう。



10.進捗概要


 2005年6月に契約説明会があり、具体的な進め方が分かってきた。開発のための機器の納入は8月にずれ込む。作業支援のため、補助作業者を手配したが、説明などに手間取り、思っていたようには進捗がはかどらなかったという報告を10月に受ける。2006年1月前後は、四六時中開発に打ち込んでいた。2月からは、21日の成果発表会の準備に工数をとられていた。



11.成果


 WebTechの開発成果は、下図のような開発方法論としてのTypical first、アプリケーションのためのデータ定義と画面定義をコード生成まで行うツールであるRyoma、及び、これらのアプリケーション実行のフレームワークであるMutsuの3つからなる。

 

 

 WebTechでは、要求部分をユーザと詰めるという作業を支援するために、アプリケーションのためのデータ定義と画面定義の典型的な部分をコンピューターで生成する。入力には、現場で使用されることが多いER図式(エンティティ・リレーションシップ図式、Entity-Relationship Diagram)を用いる。ER図からは、データベースのテーブルや画面の設計情報が自動生成され、画面構成を設定して、プログラムコードまで生成する。さらに、これらのテーブルや画面についての統計情報を出力する機能を備えており、システムの全体を評価し、規模を測る指標となる。




12.プロジェクト評価


 アプリケーションコードの自動生成や、データ定義の自動生成などについては、これまでにも多くの試みがなされてきた。WebTechの独自性は、要求作業の支援として用いるという点にある。ウェブを使ったデータベースアプリケーションにおける従来の方式は、たとえば、作業画面のスケッチを使って、要求元と開発者が話し合い、大体の要求仕様に基づいて、開発されたシステムを最後に要求元が納入検査するというものだった。この方式では、最終的な画面イメージやデータ設計が、隠されてしまっていて、最後の検査、場合によれば、納入後の運用段階で初めて不備が判明するという問題があった。
  WebTechでは、データベースのE-R図から、データ設計、画面設計を自動合成するので、要求される画面やデータ設計を、開発者と要求元とが、要求確定の作業において、実アプリケーションに近い状態で一緒に検討できる。要求作業でのコミュニケーションを円滑的かつ効率的に行えるため、要求の誤解による手戻りや、品質不良がなくなり、アプリケーション開発期間の短縮と品質向上につながる。
さらに、レポート機能に関しては、開発アプリケーション全体にわたっての規模の確認など、開発場面だけでなく、運用後にも活用できる可能性がある。
  ただし、これらの機能は、具体的な開発場面で実際に利用されないことには、本当の意味での成果とは言えない。今回は、時間的制約もあり、さらには、実運用のための細かいインタフェースや開発用言語(複数)への対応など、不十分な点もあって、実利用経験による評価まではできていない。
 しかし、2005年2月21日に行われた成果報告会のアンケートでは、全回答者12名のうち10名が内容は理解できたとしており、WebTechの有効性については、案件受注のための提案活動(7名)、システム発注時の要件定義(5名)、社内ウェブシステム(5名)、顧客向けウェブシステム(3名)、半製品+カスタマイズのパッケージソフトウェア開発(1名)というように積極的に評価されており、期待が持てる。



13.今後の課題


 何よりも実際に現場で使われることが必要であり、そのためにも、いくつかの機能拡張が必要となるだろう。ユーザインタフェースや、チェック機能、あるいは、多言語対応などが考慮点として上げられる。広く使われるために、開発者はオープンソース化も検討している。これらは、しかしながら、実際に使われるための十分条件にはなりえない。多くの優れたシステムが、「使われなかった」というただそれだけのために、無駄になってしまったという例を私たちはいくつも目にしてきた。
 最大の課題は、まだ十分ではないけれども、一緒になって使ってあげようというユーザの発見、発掘だと思う。そのようなユーザと一緒に現場で成果を上げることができれば、さらに多くの場面で期間短縮、品質向上に大いに寄与できるだろう。


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