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2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

   北野 宏明 (株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 取締役副所長)



2.採択者氏名


開発代表者

山岡 幸作 (有限会社ハルジオン 取締役社長)

共同開発者

山澤 宏鑑 (有限会社ハルジオン プログラマー)


3.プロジェクト管理組織


  有限会社ハルジオン



4.委託金支払額


  11,580,000



5.テーマ名


  コンテンツ検索エンジンZDEA(ゼディア)の開発



6.関連Webサイト


  http://www.zdea.com/



7.テーマ概要


 
今日のウェブの検索エンジンは、ロボット型検索エンジンが主流である。リンクに重みをおき、そのリンクの構造からウェブページを評価することで、人々は以前よりも円滑に情報を入手することが可能になった。
 しかし、ウェブページの検索と比べて、ウェブにあるマイクロコンテンツの検索については精度が低く感じられる。原因は評価の障害となる3つの要因にある。ファイルそのものに外部から直接リンクする行為(ダイレクト・リンク)が一般的ではないこと、alt属性に付与するテキストが限られていること、ウェブページにあるマイクロコンテンツとメタデータとなるテキストの対が機械的に判別しにくい、もしくはXMLデータの手動入力が容易ではないことにある。
 これらの要因を踏まえ、より良いマイクロコンテンツの評価と検索の実現を目指すことこそが、本プロジェクトのテーマである。
 ブロードバンドの普及、コンテンツ作成コストの低下により、ウェブには検索の対象とされていないマイクロコンテンツが充溢している。このテーマの追尋は急務であり、一つの方向性を示したい。



8.採択理由


 
新たな画像を中心とした検索システムの提案であり、この技術を基盤に実用化・事業展開を提案している。特に、画像の検索など、文字情報以外の検索を目指しており、現在、テキスト入力が中心的な検索エンジンに対して、新たな方向性を示せる可能性がある。当然、画像の検索も多くの研究がなされているが、実用的かつ波及効果のある発想を有していると考えている。
  また、実用化、事業展開も、精力的に構築し、未熟な側面もあるが、投資家向けプレゼンテーションといえるものを用意するなど、非常に熱意が感じられると共に、この技術の実用化に正面から立ち向かっている。すでに、自己資金で、本事業のために有限会社を設立しており、その運営もコストを切りつめたものである。
  技術面と事業化の両面でバランスのとれた人材であり、トピックも将来性のあるテーマを選択しており、それを用意周到に進めている。これらの観点から、本提案が、トータルのパッケージとしては最も優れているとともに、技術と事業のバランスのとれた人材に成長する可能性があり、今回の提案を採択して、育成・支援を行うのが適切と判断した。



9.開発目標


 このプロジェクトの目標は、これまでにないアクセス・ログをもとにコンテンツを評価する検索エンジンを完成させることである。プロジェクトとして、最低限必要なシステムは以下2台のサーバで構成される。

 集計サーバ
  集計サーバの役割は、大量のコンテンツへのリクエスト(このプロジェクトにおいてはエイリアスと称される)を処理し、アクセス・ログを取得することである。多大な負荷が発生する為に2005年3月の時点で既に独自ウェブサーバを開発していたが、処理速度の更なる強化を計った。

 検索サーバ
  本プロジェクトは、これまでの検索エンジンのようにクローラー・プログラムがウェブページを走査するのではなく、コンテンツ・クリエイターが手動にてコンテンツのメタデータを登録する。コンテンツ・クリエイターへの負担が大きいので、円滑なユーザ・インターフェイスの開発を望んだ。

 





10.進捗概要


 このプロジェクトは実施期間9ヶ月間を3ヶ月ごとに三期間に分割し、集計サーバの開発、検索サーバの開発、集計サーバと検索サーバの調整をそれぞれの期間の目標とした。

 2005年10月1日からのベータ(試験)サービスを開始した。実施期間満了までに十分な参加者を募ることができず手探りの状況となったが、当初の開発目標は達成した。今後の課題については別項にて述べる。



11.成果


 このプロジェクトは開発目標を達成したものの実施期間満了までに十分な参加者を募ることができず、未だ不確定な部分が存在する。現時点でのこのプロジェクトによる社会的な成果は以下とする。

 コンテンツごとにアクセス・ログを取得し、コンテンツの評価を行う新しい検索エンジンの基礎的な仕組みが完成したこと。

 現在、ワールドワイドウェブを対象とした検索エンジンは海外で開発されたものが主流であるが、音声や映像などマルチメディア・コンテンツがさらに爆発的に増加すると考えられることから、将来はこの国産プロジェクトの成果物が社会的により重要な意味をもつものと考えている。



12.プロジェクト評価


 本プロジェクトの技術的な課題は、おおむね達成したが、事業としてのステップとなる、サイトへのアクセス数が期待を大幅に下回る結果となった。ただしこれは、IPAの期間内では開発に集中するという方針を立てたことの当然の帰結であり、これをもってして直ちにこのプロジェクトの商業的価値を問題とすることは適当でない。
 ここで開発された技術をどのように展開するかが、今後の課題である。これに関し、最初のステップとしては、いくつかの明確な構想があるが、その次の展開への視点が明確になっていない面がある。自分の良く分かっている分野からのボトムアップな積み上げと同時に、俯瞰的な構想を構築することが必要となるであろう。



13.今後の課題


 このプロジェクトの今後の課題として以下の3点を挙げる。

 ユーザ・インターフェイスの改善
  このプロジェクトでは、検索対象となるコンテンツは、コンテンツ・クリエイターが手動で登録する。既存の検索エンジンのように、クローラー・プログラムがホームページを自動的に収集する方式と比べ、コンテンツ・クリエイターの負担が大きい。プロジェクト実施期間中ユーザ・インターフェイスの改善を行っていたが、まだまだ改善が足りない。今後は、ブログ等にコンテンツをアップロードする作業と同じ労力で、コンテンツを登録できるところまで改善する必要がある。

 コンテンツ・クリエイターへの認知活動
  2005年10月1日からベータ(試験)サービスとしてサービスを公開していたが、十分といえる参加者を募ることができなかった。課題はコンテンツ・クリエイターの負担だけでなく、コンテンツ・クリエイターへの認知が足りないと思われる。今後は自サイトだけでなく、他のウェブサービスとともにサービスを提供するなど、幅広い認知活動が必要である。

 ビジネスモデルの構築
  このプロジェクトは、検索語と連動する広告収益を想定しているようだが、これだけでは既存の広告システムとほぼ同一であるので、このプロジェクトならではの新規性、強みがない。他のビジネスモデルへの組み込み、コンテンツのタグを生かしたコンテキスト(文脈)のある広告など、このプロジェクトならではの強みを生かした事業を望む。


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