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2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

   長尾 確 (名古屋大学 情 報メディア教育センター 教授)



2.採択者氏名


開発代表者

中嶋 謙互 (コミュニティーエンジン株式会社 代表取締役)

共同開発者

滝上 義康 (東京工業大学 工学部 4年)

鈴木 啓介 (東京大学 大学院 総合文化研究科 博士課程)

石井 学   (東京都立科学技術大学 大学院 博士課程)

奥野 洋平 (有限会社  鉄飛テクノロジー 取締役副社長)



3.プロジェクト管理組織


  株式会社 リオ



4.委託金支払額


  7,830,640



5.テーマ名


  XM 支援サービス "Galapagos" の開発



6.関連Webサイト


  http://extrememeeting.org/galapagos/index.html 、  http://eXtremeMeeting.org



7.テーマ概要


 
本プロジェクトでは、eXtreme Meeting(以下XM)というコンセプトを提唱している。XMとは、議事録を基本として会議とプロジェクトの両方を効率化するためのプラクティス集で ある。
 一般のプロジェクトにおいて、会議の問題は、多くの人が問題意識を持っているにもかかわらず、解決のための具体的な行動が十分に取られているとは言えな い。ましてや、情報技術による解決はまったく行われていないと言っていい。
 そこで、本プロジェクトでは、XMのプラクティスにもとづいてWebベースの議事録の作成・活用環境を構築し、会議の問題と、さらにはプロジェクトの非 効率を解決し、人間が、より創造的な仕事に集中できるような世界を作ることを目指す。




8.採択理由

  XMは会議を効果的に運営するためのプラクティスであり、そのプラクティスをツールに埋め込んで実用的にしたものがGalapagosと呼ばれるものであ る。そのGalapagosをWebサービスとして、広く利用可能なものにするというのが今回の提案である。これまでに開発されたソフトウェアのバージョ ンアップという意味では、新規性は高くはないが、XMというコンセプトをより具体的なサービスとして定着させ、ビジネス化するためにはもうしばらくの準備 期間が必要であろう。
  スケジュール管理や情報共有をメインとした従来のグループウェアを超える、企画、タスク割り当て、合意形成、開発、評価などを含めたプロジェクトウェ アと呼べるような新しいカテゴリーが創造されることを期待して採択とする。
  このような具体的なサービス運用のモデルを射程に入れた新しいソフトウェアのカテゴリーを創造するような提案は、今回の他の新規提案と比べても高く評 価できる。ただし、基本的には前回採択時に開発されたソフトウェアのバージョンアップであることを考慮すると、予算は申請額よりも抑えられると思われる。




9.開発目標


 会議とプロジェクトの生産性を向上さ せるために、議事録ドリブンによるプロジェクト実行を実現できる、特別にデザインされた議事録作成環境およびプロジェクトマネジメント環境を作成すること を目標とする。



10.進捗概要


 現在、成果として完成しているのは、 以下の部分である。
 ・Microsoft InternetExplorer6.0以降で動作する、議事録エディタ
 ・Internet Explorer6.0、FireFox、Safari、Opera上で動作する、議事録に連動したプロジェクト管理用グループウェア

 本プロジェクトの成果として、使いやすい議事録エディタと、プロジェクト管理用グループウェアをうまく統合することに成功した。



11.成果


 ●成果1.議事録エディタ
 <設計>
 基本方針:
 ・ ほかの一般的なエディタ(EmEditorなど)を差分が少ないものにする。
 ・ すべてツールバーに仕込まれたボタンを利用してマウスでできる。 少し熟練すると、それらをCtrlキーなどをつかって、キーボードで操作できるようになる。中途半端に「マウスで便利」を追求しない。
 ・ 左側のペインは基本的には表示しない。右側のペインをできるだけ広く取り、 いたずらに行数が増えにくくし、テキストを入力しやすくする。

 <実装>
 議事録エディタの特筆すべき部分は、contenteditable=true を利用して、textareaなどのWebフォームを使わず、直接編集 を可能にしている点である。ここにこだわって開発したことで、Microsoft Wordなどの通常のエディタに遜色ない使用感を出せた。(図1)

 

図1 議事録エディタ画面

 

 ●成果2.議事録と連動した管理用グループウェア
 <設計>
 ・ 所属プロジェクトの状況が一覧できる
 ・ 自分の最近のToDoが確認できる

 <実装>
  図2参照。

 

図2 個人のポータル画面

 

 ●成果3.プロジェクト管理機能
 <設計>
 ・ プロジェクトを作成できる
 ・ プロジェクト名を変更できる
 ・ プロジェクトの参加者を追加、削除できる
 ・ 限られたメンバーだけが、プロジェクトの参加者を操作できる

 <実装>
 所属プロジェクト一覧の表示:
  図3参照。

 プロジェクトの登録:
  Webフォームから入力する。基本的にはテーブルの内容をリストするだけである。(図4)

 所属プロジェクトの雰囲気の表示:
  プロジェクト全体で完了していないToDoを線グラフで表示し、状況を把握しやすくする。(図5)
  webapp/lib/graphにグラフ作成用のPHPを集める。
  webapp/modules以下のPHPからは直接、jpgraphライブラリを参照せず、imgタグによりグラフを表示させるだけ。

 

図3 所属プロジェクト一覧画面

 

図4 プロジェクト新規登録画面

 

図5 プロジェクトの雰囲気画面


 ●成果4.議事録管理機能
 <設計>
 ・ 議事録を検索できる
 ・ 議事録を一覧できる
 ・ ToDo数の推移をグラフで表示

 

図6 議事録一覧画面

 

 ●成果5. TODO管理機能
 <設計>
 ・ ToDoのリスト表示
 ・ 発生時間順にソート
 ・ 担当者順にソート
 ・ 確認者順にソート
 ・ 新しいToDoをいつでも作成できる

 <実装>
 TODOの入力:
  TODOを入力する方法は、議事録から入力する方法と、Webフォームから入力する方法の2通りがある。

 1. 議事録から入力する方法
 議事録から用語を入力するには、「意見」にカーソルがある状態で画面上部の「TODO」ボタンを押すか、Ctrl+Tをする。意見欄に入力した文字列を 登録用語とした登録画面が表示される。(図8)

 2. Webフォームから入力する方法
 基本的にはテーブルの内容をリストするだけである。(図9)

 <評価>
 それぞれのToDoにタグ文字列を簡単につけることができ、そのタグ文字列を使って見やすく分類することができるようにした。(図10)
 図の例では、“pending”、”会議の情報”、”フィードバック”というタグがついていて、タグごとに分類されて更新時刻順にソートされている。 テーマごとにToDoを分類できるので、目的のToDoを発見するまでの時間が非常に短くなった。

 

図7 ToDo一覧画面

 

図8 議事録でのTODO登録画面

 

図9 WebフォームでのTODO登録画面

 

図10 TODOタグ別表示画面

 

 ●成果6.スケジュール管理機能
 <設計>
 基本方針:
 ・マイルストーンは多すぎてもいけないし少なすぎてもいけない。
 ・マイルストーンは、現在と全体の両方を一瞥できなければならない。
 ・スケジュールはあまり先まで表示する必要はない。
 ・プロジェクトに関係ないスケジュールには感知しない。それぞれの人はいろいろなものにかかわっていて、自分の時間をほかでどう使うかは各人の判断にま かせる。
 ・プロジェクト全体での用事はそんなに多くないはずである。

 <実装>
 スケジュールの表示:
  マイルストーンと8週間分のカレンダーを表示している。カレンダーに表示されているのは、議事録の日程である。(図11)

 マイルストーンの登録:
  基本的にはテーブルの内容をリストするだけである。(図12)

 

図11 スケジュール画面

 

図12 マイルストーン追加画面

 

 ●成果7.用語登録・管理機能
 「用語」の機能を実装する目的は、プロジェクトメンバーのコミュニケーションを円滑にし、 知識を共有することである。ドキュメント・レポジトリの形式をとらずに語句の登録 という形式をとる理由は、議事録の内容に対するオートリンクを実現するためである。 語句であればオートリンクすることができる。

 <設計>
 用語の情報:
  ひとつの用語は以下の情報をもっている。
   1. 単語の内容
   2. 定義
   3. 登録者
   4. 登録日時
   5. 初めて出てきた議事録ID
   6. 更新日時

  また、以下の検索や表示ができる。
   1. 用語を直接入力して検索
   2. この用語を参照しているToDoや議事録の一覧を作成
   3. ToDo一覧のタイトル、会議の目的、会議中の議事録エディタに表示されているテキストにオートリンクされる。

 <実装>
 用語の入力:
  用語を入力する方法は、ToDoなどと同様、議事録から入力する方法と、Webフォームから入力する方法の2通りがある。

 3. 議事録から入力する方法
 議事録から用語を入力するには、「意見」にカーソルがある状態で画面上部の「用語」ボタンを押すか、Ctrl+Jをする。意見欄に入力した文字列を登録 用語とした登録画面が表示される。(図14)

 4. Webフォームから入力する方法
 基本的にはテーブルの内容をリストするだけ。(図15)

 

図13 用語一覧画面

 

図14 議事録エディタでの用語登録画面

 

図15 Webフォームでの用語登録画面



12.プロジェクト評価


 このプロジェクトは、開発者の構想の秀逸さと豊富な経験に裏打ちされて、よい成果に結び付いたものと思われる。開発されたシステムは、実用性が高く、ま た今後の発展が大いに期待される。また、プロジェクトの当初から事業化を視野に入れたものであり、開発者がすでに多くの事業を立案・実行した経験を持つた め、すでに事業化の準備が整っている。当初の計画にあった「時間と空間を越えて共同プロジェクトを効率よく運営するための仕組み」のためには、まだやるべ きことが多いと思われるが、開発者がその理想を持ち続け、次々と新しい提案を実行していけば、いつかきっと、真に革新的なアイディアによって実現できるよ うになると思われる。



13.今後の課題


 「議事録ドリブン」つまり議事録を完 成させることによって会議が完結する、というメソッドにおいて、議事録エディタの使い勝手は大きなファクターであるため、今後も改良していく必要がある。 たとえば、使いやすいUndoの実装や、Look and Feelの改善など、まだまだやるべきことは多いだろう。
 また、複数人によるCo-writingのための環境や、SkypeやVNCなどの外部ツールとの連携を考慮する必要がある。
 また、できるだけ早いタイミングでGalapagosを製品化し、一般の顧客に向けて販売するべきだろう。
 顧客からのフィードバックによって得られたノウハウや改善点を次期Galapagosに反映して、さらなる改良を加えていくべきだろう。


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