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提案システムは参加者をアバターで表示する機能や議長機能、議事録機能など基盤となる機能に加え、「アバターの操作による『主張』機能」「意見への同調による『協調』機能」「色による雰囲気表示による『波長』機能」の3つの特徴的な機能によって構成される。
図2
システム構成図
■基盤機能
(a) アバター
アバターとは、インターネット上のコミュニケーションツールやコミュニティにおいて、ユーザ個人を表現するキャラクターのことを指す。現在、Yahoo!Japan
や Livedoor、Cafesta など様々なポータルサイトでアバターを利用したサービスが展開されており、アバターの存在は一般に知られるようになってきている。
提案システムでは、参加者をアバターで表示することで、これまでのオンライン会議システムでは有していなかった機能を実現する。アバターは一般的な静的なものではなく、音声に反応して発話やうなずきなどの動作を行う。音声に反応するメカニズムとしては岡山県立大学の渡辺富夫教授により開発された身体コミュニケーション技術であるiRTを使用している。提案システムに必要となるアバターの要件を検討・設計し、インタロボット株式会社に実装を再委託した。アバターは、以下の要件を満たす仕様となっている。
アバターの設計
アバターのキャラクターを構成する要素をレイヤとして分離することで、本システムにおいて柔軟にアバターを利用することを可能としている。アバターは、以下に示すレイヤーから構成される。
- オプションレイヤー
キャラクターの過剰効果を表現するためのレイヤー
- キャラクターレイヤー
アバターのキャラクターを表示するためのレイヤー
- 効果レイヤー
”閃き”や”驚き”、”関心”などのアクションを表現させるためのレイヤー
- 背景レイヤー
キャラクターの背景色を表現させるためのレイヤー
上述した各レイヤーには、それぞれのレイヤーに応じたパーツが存在する。アバターのキャラクターは、パーツが配置された各レイヤーを図3のように組み合わせることで構成される。
図3
アバターの設計
各レイヤーにはアバターのキャラクターを構成するためのパーツが存在する。パーツの一部にはパラメータを設定することが可能である。キャラクターを構成するパーツの分離とパラメータを設定することができなければ、アバターのアクションはパラパラマンガのようにキャラクターの画像を連続的に描画して表現しなければならない。つまり全てのアクションに応じた各キャラクター毎の画像ファイルを用意する必要がある。
このようにキャラクター毎に全てのアクションを用意する場合、必要となる最低限のイメージ画像数は「(キャラクター数)×(アクション数)」となる。本システムでは、アバターによる多様なアクションを想定しており、それら全てを用意することは非常に困難であり、高いコストを伴う。そこで、本システムで利用するアバターのキャラクター設計において、各レイヤーの有するパーツにパラメータを設定することを考えた。パーツに対してパラメータを設定することを可能であれば、パラメータの変更によるアクションの実現が可能となる。
これによりアバターのアクションは各レイヤーに配置されるパーツ毎のパラメータで表現が可能となる。またキャラクターを構成するパーツが分離されているため、パーツの共有・再利用が可能となる。そのため、
全てのアクションに応じた各キャラクター毎の画像ファイルを用意する必要がなくなる。これにより、アバターのキャラクターやアクションに要する開発コストや、システムのファイル容量が低減される。
なお、キャラクターを構成するパーツやアクションに必要となる画像ファイルは、本システム開発者が作成したものを使用している。
(b) 議長機能
提案システムでは、対象とする全員の了承によって結論を導く合意形成型の会議において、議長がいる方が効率的に会議を進めることが可能であると考える。しかし、あまりに議長の義務が増えると、議長に負担が増えてしまうため、提案システムでは議長権限で行える操作を少なくしている。手順としては、ログイン時に議長であるかどうかを問い、議長であれば議長権限を与え、議長であるユーザに対して以下のような会議を円滑に進めるための操作を委任する。
- テーマ(議題)提示
会議進行中に新しいテーマで議論をした方がよいと判断される場合は、新しいテーマを全員に提示する。
新しいテーマを提示すると、討議時間がカウントされはじめる。
- 結論決定
新しいテーマにうつる前に、現在のテーマで提案された意見の中から結論が出ている場合は、その意見を
結論として設定し、議事録に反映させる。
(c) 議事録機能
提案システムは、議事録を共有できる機能を有している。これによって、途中から参加してきたユーザでも、会議の進行および話し合われた議題やそれに対して提案された意見などの情報を把握することが可能になり、会議の途中参加を支援できると考えられる。また、議事録の内容は次の2種類に限られる。
- テーマ(議題)
議長によって新しいテーマが設定されると、自動的に議事録に新しいテーマが記録される。
- 意見
その時点で提示されているテーマに対して議事録パネルの入力エリアから意見を入力する。
入力された意見はテーマごとにIDと発言者の名前が付加される。
また、現在のテーマに対する意見はステージ上に登場する。
- 結論
新しいテーマにうつるまえに、それまで提案された意見の中から、議長が選択し、議事録上に提示される。
これによって、結論を再確認可能になる。
(d) その他
システム画面左側の操作パネルの中に、チャット操作パネルがある。これによって、チャットをすることが可能である。ただし、会議においてチャットをする場合、議論とは別にコミュニケーションを図ることになるため、あまり推奨はされない。そのため、チャットの総発言数と、それに対する自身のチャットにおける発言数を示し、自身のチャットでの発言頻度を自覚させることで、抑制を促す。また、チャットを併設することによって、ハンドセットを保持していない場合や音声の送受信が何らかの障害で不可能な場合、チャットによって通信を行うことが可能である。
■特徴的な機能
(a) アバターの操作による「主張」機能
前述したように、提案システムでは参加者をアバターとして表示する。このとき、参加者の表情や動作などはビデオ会議システムのように参加者が無意識では周知できない。そのため、提案システムにおいては、参加者は自ら自身の感情や動作を意識的にアバターに反映させなくてはならない。
ユーザには用意されているアバターの表情・動作から、その時点での自身の状態を最もよく表すものを選択することを義務づける。 表情を選択するアバター操作パネルは図4に示すようなものである。このように、ゲーム感覚で表情や動作を表出させることで、カメラに向かう参加者自身の表情よりも、より率直になることが可能である。
図4
アバター操作パネル
参加者の感情や動作を過不足なく表現するため、アバターの表情、動作は図5に示すように15種類となっている。これらの表情、動作はすべてswfファイルであり、アニメーションを含むものもある。各表情、動作はFace、
Body、 FrontLayer、BackLayerから成っている。ただし図5のうち音声に反応できるのは、Faceレイヤーがデフォルトになっているもののみである。なお、Tはその表情・動作を1度のみ再生することを、Fは繰り返し再生することを意味する。
図5
アバターの表情・動作一覧
アバターが表示される手順としては、ユーザがシステムにログインした際に、ステージ上の出現位置に表示される。このとき、すでに入室している他のユーザのアバターも表示される。
ユーザは表示されているアバターをドラッグ&ドロップで自由に移動させることが出来る。これは、自身のアバターに限られたことではなく、他ユーザのアバターも移動可能である。また、アバターはステージ上のその位置によって、大きさが変わる。ステージ中央に近づくと拡大し、遠ざかると縮小する。一般的に、Face-to-Faceの実際の会議においては、意見を述べたい参加者、積極的な参加者は前方の席へ、あまり興味がなかったり、別の仕事を並行したりしている参加者は後方の席へ着席する傾向が強い。このことから、提案システム上では、積極的な参加者ほどアバターを中央に近づけて発言することが期待され、主張したい、という気持ちを支援することができる。
図6 中央に近づくほど拡大する
(b) 意見への同調による「協調」機能
さらに、前述したように、提案システムではテーマおよび、議事録を共有できる。新しいテーマが提示され、議事録パネルで、意見を入力するとアバターと同様にステージ上に意見がふせんのように表示される。この意見もアバターと同様に中央に近づくほど拡大する。一方、意見がステージ上に表示されると、アバターの拡大縮小の基準点はステージ中央から意見にかわる。いくつか意見が表示されると、そのアバターにとって最も近い位置にある意見が基準点となる。つまり、意見との距離が短いほど、アバターは大きく表示される。また、離れていると極端に小さく表示される。
図7
意見に近づくほど拡大する
最終的に会議では、1つの議題に対し、参加者に意見をいくつか提示させ、その中から最も全員が納得できる意見を結論とする。しかし、なかなか各参加者がどの意見を支持するかを表明しないために結論を導くのに時間がかかりがちである。提案システムでは、支持する意見に近づいてアバターが大きくなると、他ユーザに対してすでに意見支持をしていることを周知できる。逆に、まだ意見支持をしていないユーザは極端に小さく表示される。これによって、まだ意見支持をしていないユーザに対し、意見を支持することへのプレッシャーを与えることが可能である。
(c) 色による雰囲気表示による「波長」機能
会議において重要となる要素の一つとして”場の空気”があげられる。何らかの議題に基づき合意形成を目的とするような会議では特に、”場の空気”が重要となる。しかしシステムを利用した”仮想的な会議室”で行われる会議では、会議参加者が現実世界における同一空間に存在しない。仮想世界における同一空間に参加者は存在するため会議の現実味に欠け、全参加者で1つの”場の空気”を共有し知覚することが非常に困難である。そこで、色により会議の雰囲気を表現し、”場の空気”を会議参加者に提示することを考える。本会議システムではこれを「波長機能」と呼ぶ。
波長機能により、会議参加者各々の状態から会議全体の雰囲気が色で提示される。これにより会議参加者は、会議全体の雰囲気を知覚することが可能となる。また、視覚的に会議全体の雰囲気を提示することで多数派と少数派が明確になる。なお、人間関係や上下関係にといったしがらみに参加者の状態が左右されないよう、誰がどのような状態であるかという情報は提示しない。今回は、実装途中にあり、今後、色と状態の対応の検討も含め、継続して開発を行う。
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