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2005年度上期 未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

   並木 美太郎 (東京農工大 学 大学院共生科学技術研究部 助教授)



2.採択者氏名


開発代表者

小西 克巳 (工学院大学 CPDセンター 講師)

共同開発者

中沢 亨  (大日本印刷株式会社 開発製品・システム営業本部 AD-POWERs推進室/エキスパート)


3.プロジェクト管理組織


  大 日本印刷株式会社



4.委託金支払額


  7,956,684



5.テーマ名


  遊 休PCによるオフィスグリッドミドルウェアの開発



6.関連Webサイト


  http://www.ad-powers.jp/



7.テーマ概要


 本プロジェクトでは、ビジネスプログラマを対象に、オフィスなどで遊休状態のPCをクラスタやグリッドのノードとするオフィスグリッドミドルウェアの開 発を行った。Windowsのスクリーンセーバにより遊休状態を監視し、遊休のPCに対して実行の指示や結果を回収する制御を行い、各種情報を共有を可能 とするミドルウェアを開発した。具体的には、WindowsのDLLによりプログラミングのAPIが提供され、プログラマはC/C++から各種機能を実行 できるほか、ExcelなどのVB(Visual Basic)からも本ミドルウェアの機能を利用できる。評価用デモアプリケーションとして、複数の画面を協調して構成できる遊休PCを用いたマルチディス プレイグリッドを開発したほか、Excelによる熱伝導シミュレーションなどを実装することでその有効性を確認した。



8.採択理由


 オフィスなどの遊休PCをグリッドコンピューティングに活用するミドルウェアの開発に関する申請である。現在、グリッド向けの開発環境・実行環境は、 Globusに代表されるようにいくつか存在するが、C/VBA/MATLABでビジネス界のプログラマ向けにグリッドコンピューティング向けのミドル ウェアの開発は、それなりの実用性があると判断できる。特に、本申請では単に計算させるだけではなく、複数のディスプレイを一つのディスプレイに仮想化す るマルチディスプレイグリッドの機能を含ませるようにした点に、未踏として採択する意義があると判断した。



9.開発目標


 既存のクラスタやグリッドでは、 GlobusToolkitやMPIなどのライブラリが広く使われているが、設定が困難、また、プログラミングが容易ではないという問題がある。
 本プロジェクトは
  (1) オフィス等で広く使われているWindowsベースの遊休PCをターゲットとして
  (2) ビジネスプログラマが簡単に構築・運用が可能となる
ミドルウェアを開発することを目標としている。具体的には、WindowsのDLLとして、分散共有メモリ管理とメッセージ通信の機能を有するライブラリ を実装し、C/C++のみならず多くのビジネスプログラマが利用しているVisual Basicから並列計算のための環境を提供する。APIとして、共有メモリの確保・開放・データ送信、ブロードキャスト送信ハンドルの作成・破棄・送信 ポートの取得、バッファ領域の取り出し、名部通信ポートの作成を有するライブラリとする。
 本ライブラリを用いて、複数ディスプレイを用いたディスプレイグリッドのデモアプリケーション、ExcelからVisual Basicを呼び出すサンプルアプリケーションを作成し、その有効性を確認する。



10.進捗概要


 着実に開発を行っていた。2005年 秋にはライブラリの仕様はほぼ決定し、ディスプレイグリッドが稼動していた。2月にはExcelからライブラリを用いたサンプルアプリケーションも稼動し ており、その有効性を検証することができた。また、大日本印刷プライベートショーに出展、特許を出願しており、製品化も予定している。なお、今後も4月に テクノフロンティア2006、5月GridWorld2006およびIPAX2006、6月にソフトウェア開発環境展に出展を予定している。



11.成果


 本プロジェクトでは、多くのオフィス、学校などで広く使われているWindows PCを、手軽に並列分散計算のためのノードとするミドルウェアを開発した。一般には、MPIなどのライブラリを用いることが多いが、分散共有メモリとブ ロードキャスト通信のAPIをWindowsのDLLとして実装し、C/C++のみならず、Excelやワードなどのオフィスアプリケーションから利用で きるようにし、ビジネスプログラマを並列分散計算の世界に踏み込みやすいようにしたことを評価する。
 本ライブラリを用いて、複数の物理ディスプレイを一つの仮想ディスプレイに見せるディスプレイグリッドのデモアプリケーションを開発し、ビジュアルディ スプレイなどに応用できることを示している。ExcelのVBから本ライブラリを呼び出し、熱伝導シミュレーションを並列処理により解くサンプルアプリ ケーションを作成している。各種シミュレーションをExcelで行うケースも散見されるが、並列分散処理を手軽に行えることを示すことができた。
 なお、本プロジェクトの成果は特許および製品化を予定している。



12.プロジェクト評価


 従来は、一部の優秀なプログラマがとことん考え、性能チューニングを行ってきたクラスタやグリッドを、ビジネスプログラマでも使える環境にする、という 提案は興味深い。そこそこの性能でもいいから、遊休PCを用いて並列分散処理を手軽に行うためのミドルウェアという提案は、オフィスや教育機関などでニー ズはあると考える。デモアプリケーションとして複数の物理ディスプレイを一つの仮想ディスプレイとし、分散表示させるアプリケーションについては、広告や ディスプレイ構築に応用できる。また、ビジネスプログラマが得意とするところのExcelなどでも利用できることをサンプルにより検証している。スタンド アロンのPCでExcelを用いて各種シミュレーションを行うケースが増えているが、並列分散で行える環境はそれなりのニーズがある。
 両PJともミドルウェアのAPIの仕様策定、デモアプリケーションの実装に携わっており、企画立案、設計能力、実装能力は十分あると判断した。学会活動 ではなく、企業展示会、特許、製品化などを通じて成果を活かすことを目指しており、ビジネスプログラマでも簡単に並列分散処理を行うことを今後も実用面か ら期待できる。



13.今後の課題


 手軽にプログラミングできるのは利点 であるが、性能面についてオーバヘッドがある点は否定できない。また、本ライブラリの仕様について、さらに多くのビジネスプログラマが実際にプログラミン グを行い、その妥当性を検証することが重要である。


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