IPA


IPAトップ





2004年度未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択案件評価書


 



1.担当PM


 筧 捷彦   (早稲田大学教授)



2.採択者氏名


 代表者

赤川 直人  (東京大学 農学部獣医学専修 )

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織

  株式会社 創夢  



4.委託支払金額


 3,000,000円



5.テーマ名


  Webアプリケーション型(HTML型)電子カルテシステム



6.関連Webサイト


  なし



7.プロジェクト概要


  電子カルテシステムを,安価に,かつ,広範に利用できる形で提供する。電子カルテが,医療機関をまたがって相互に利用可能になることを目指して,サーバクライアント形式で構成し,クライアントは Web ブラウザさえあれば済むように,すべてを HTML で提供する。試用してもらえる場も考慮して,動物医療を対象とする形でプロトタイプを開発した。



8.採択理由


  オープンな電子カルテシステムを作りたいという明確な目的をもったプロジェクト。
 書類審査時に心配した,会計部分についても,日医で作っている専用ソフトという参照すべき仕様の手本があることを知って安心した。友人(PCサポートセンターでアルバイトを一緒にしている)たちの協力も得られそうとのこと。成果を期待したい。



9.成果概要


 

 基本的な部分は仕上がった。開発は,ウェブブラウザ上での画面(つまりヒューマンインタフェース)の設計を軸として進めらた。開発当初からの予定通り, Web アプリケーションの形で, PostgreSQL をデータベースエンジンとし PHP でサーバサイドのプログラミングを行っている。画面上には,盛り込みたい機能をすべて含んだメニューが配置されていて,順次,機能ごとに追加していける枠組みとしている。

 

 初診からはじまっての診察記録が,主治医の許諾をもとに,医師相互に参照できる仕組みまで仕上がっている。インタフェースを,通常の Web ブラウザを使ってできることに限定している中で,患部のスケッチを簡便に行えるようにするための工夫を行うなど,医師(の卵)として診療そのものを担当している者でなかればできない工夫が随所に盛り込まれている。




 



10. PM評価とコメント


 

 開発者である赤川直人さんは,獣医にしてしまうのはもったいないほどの,ソフトウェア開発能力の持ち主である。世の中で,電子政府だ, e-Japan だと騒がれている中で電子カルテの話も喧伝されているにも関わらず,実際に電子カルテを採用できるのは,大手の病院にかぎられているという。メーカーが受注して作る電子カルテシステムがあまりに高価だからである。それなら,医師の(卵の)身ながらも,実際に使えるものを作ってしまえ,というのが未踏ソフトに応募した理由であった。

 

 正直なところ,赤川さんの腕前のほどがわからず,プロジェクトに採択する際には心配であった。キックオフの会合では,設計した画面を示しながらの説明があり,まずは一安心したものの,当初予定していた友人などによる作業協力が得られなくなったということで不安が募った。このプロジェクトを含めて身の振り方で悩んでいるという話を聞いて,赤川さんの開発作業の場所へ出向いて面談をした。

 

 基本的には,獣医学科の最終学年( 6 年生)であり,納期のころに獣医師の国家試験がある。これを振ってでも,このプロジェクトで手がけた電子カルテシステムを育てて世の中に広めていきたい気がする一方で,獣医学科に入学した当初からの夢である獣医師として世の中で働くことも捨て難く,悩んでいるという。そういいながら,そこまでにでき上がったシステムを見せてもらった。PMとしての当初の心配は霧散してしまうものがすでにでき上がっていた。

 

 さて,PMとしては,獣医師もプロジェクトも捨てないで欲しい。しかし,まずは獣医師の道を確保するのが何よりだといって激励して分かれた。 12 月の中間発表会, 1 月のプログラミングシンポジウムでの発表と,聞くたびにシステムは増強されていった。

 

 そこから先は,国家試験対策,そしてその後の留学準備と,獣医師の道を進むためにすべての時間をつぎこまざるを得なくなって,プロジェクトの方の発展が止まってしまったのは残念である。この段階まで出来上がったシステムを,何らかの形で発展させ,世の中に広めていく工夫をしたいものである。




  ページトップへ   






  Copyright(c) Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved 2004