
2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業 採択案件評価書

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1.担当PM

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石田 亨 (京都大学大学院 情報学研究科 教授)
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2.採択者氏名

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| 代表者 |
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嘉村 賢州 |
| 共同開発者 |
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小原 憲太郎 (立命館大学 政策科学部)
西尾 直樹 (特定非営利活動法人KGC 研究員(NEDOフェロー)) |
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3.プロジェクト管理組織

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財団法人京都高度技術研究所
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4.委託金支払額

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5,977,964円
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5.テーマ名

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京都サーチ縁人 −ローカル・イシュー・ネットワーク
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7.テーマ概要

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本プロジェクトでは, 興味関心を媒体にしたネットワークシステムの構築を行った.
現在, 注目を集めている社会ネットワークサービス(SNS)の利点を生かしつつ, バーチャルとリアルの間と行き来する社会活動の支援を目的としている.
興味関心を基に人と人との出会いを促進し, 同じ興味関心を持つグループが価値を産み出していくためのネットワークシステムの構築を目指している.
そのためのツールとして, 興味関心ベースの情報探索機能とコミュニティやグループの情報交換機能の開発を行う.
本システムの新規性は, @ユーザが視覚的にメッセージごとの公開範囲を設定できること, A人とキーワードを相互に関連づけるKnow
Whoデータベースがあることである.
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8.採択理由

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「京都」ローカルなソーシャルネットワークシステムである.
通常のソーシャルネットワークはWebの中の繋がりであるが, 申請者は物理的な近傍とWeb上のソーシャルネットワークを重ねあわせ,
地域活性化に結び付けようと意欲的である. 開発担当に加えてコミュニティ運用担当が2名参加しており, 単なるソフト開発ではない,
並々ならぬ意欲が伺える.新たな人間関係を創出するためにセマンティックWeb技術を適用する構想も備えており, 技術的にも今後が期待できる.
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9.開発目標

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開発期間内に, ユーザがWeb上で使うことができるベータ版の完成を目指した.
具体的な開発目標は以下の通りである.
@SNSをベースとする個人のつながりのデータベースの構築.
A文書を形態素解析し, キーワードをユーザの興味関心をマッピングするデータベース機能と, キーワード介して人の情報にアクセスできるキーワード・ブラウジング機能の開発.
Bコミュニティやグループの活動を活性化するための共有範囲設定データベースと, それを操作するためのビジュアルゾーンインタフェースの開発.
Cユーザ毎に地域情報を配信する縁人ポータルサービスの開発.
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10.進捗概要

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開発期間を通じて, 当初の目標をほぼ達成した.
特に, 二つの柱である興味関心ベースの情報探索機能と, コミュニティやグループの情報交換機能の実装を完了した.
実装方法としては, 当初は内部的にデータのRDF形式による受け渡しを予定していた. しかし, スケーラビリティと実行スピードが思うように実装できなかったため,
計画を変更し, MYSQLとPHPを利用してシステムを構築した.
また, メッセージごとに公開範囲を設定し, それによって, メッセージの役割をメモ, メール, メーリングリスト, ウェブログのようにアドホックに変更できる機能が考え出され,
直ちにシステムへ導入された.
7月から10人ほどの規模でアルファテストを実施し, プロトタイプの運用テストが行われた. それを通じてバグ修正を行い, 8月中旬には,
ある程度の規模で動作するベータ版プログラムが完成した.
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11.成果

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以下に示す新規性のあるユニークな機能がいくつか開発された.
またそれらの機能が統合され, 実用性のある新しい情報共有のプラットフォームが完成している.
(1)公開範囲設定機能
公開範囲設定の特徴は, @人の自然な感覚に即して情報の公開先を変更できること,
A同一の文書の公開先を変更するだけで文書の役割を変えられることである. 公開範囲設定機能によって,
アドホックなグループ形成に対応した情報共有環境を実現した. グループのメンバーは動的に変更可能で,
かつ, 情報は共有・蓄積型である. コミュニケーションツールとしては新しい形態を実現している.
公開範囲の設定を変化させるだけで, 既存の情報流通の枠組みであるメール・メーリングリスト・ウェブログと同じ機能をシームレスに扱うことが可能となっている.
また, 公開範囲の変更は, アバターを円の中にドラッグするだけでよい. このインターフェイスはFlashによって実装した(図1).
アバターを用いることによって, 視覚的かつ直感的に操作できる.
図1:サーチ縁人のインタフェース
(2)人に対するキーワード付加
「情報」と「人」を要素として扱うセマンティック・システムを構築している. 「情報」はその発信者である「人」を表す素材であると捉え,
この「情報」と「人」をシステム内で関連づけた. 具体的には, ユーザがメッセージを投稿する際, システムは「キーワード」をメッセージ(=情報)と発信者(=人)の両方に関連付ける.
図6では, メッセージから抽出されたキーワードが右端に「私のキーワード」として表示されている.
サーチ縁人の情報はhttp://kyoto.enzin.net/から取得できる.
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12.プロジェクト評価

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本プロジェクトは, 京都大学, 同志社大学, 立命館大学の学生が, 大学の垣根を越えて結成したグループによるものであり, 地元志向のコミュニティ形成を動機としている.
しかしながら, 開発されたシステムは汎用性が高く, 会社などの組織内でも利用可能であり, 今後の展開が注目される.
本プロジェクトの成果は, プログラム開発担当メンバーと, コミュニティ活動の経験が豊富なメンバーが, ねばり強く議論を重ねたことによって生まれている.
通常, 両者が緊密に連携をとることは難しく, 本プロジェクトで社会に還元可能なプログラムが開発されたことは高く評価できる. 「人に対するキーワードの付加」という機能も,
実際のコミュニティ経験をシステムに反映していった結果である.
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