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1 機能開発
ア.DV機器連携機能開発
DV再生機器との連携に関わるシステム開発および委託を行った.DVカメラ・デッキから取り込んだDV形式のビデオファイルを入力ファイルとした.入力ファイルは,録画日時情報を利用して撮影単位ごとに個別のカードとして取り扱う.編集後のムービーは,DVカメラ・デッキへビデオを書き出すのを容易にするために,DV形式のムービーファイルとして書き出す.
イ.カード管理機能開発
ビデオやサウンド等のデータを「カード」単位で管理するためのカード管理機能の開発および委託を行った.
「カード」は,素材となるデータの種類や機能によって,4種に分けた.
・ビデオカード
・サウンドカード
・静止画カード
・機能カード(切り替え効果・サウンド効果など)
素材データのファイルへの参照を追加・削除することによって,「カード」の追加・削除を行い,「カード」のリストを管理した.それぞれの「カード」は,素材データのファイル情報とともに,固有のカードID,イン点・アウト点などのカット情報を保持する.
ウ.映像編集機能開発
映像編集機能の開発および委託を行った.「カード」の並び順データを入力し,映像およびサウンドの編集を行う.様々な並び順から,どのような編集結果を導くか,ユーザの感覚・予想とマッチするようにタイムラインに配置するようにマッピングのルールを定義した.
編集作業内部では,複数のビデオトラック・サウンドトラックを取り扱うが,ユーザには複数のトラックを意識させないようにした.
■図2.カード配置とタイムライン配置の相関図(例)
エ.印刷機能開発
「カード」および「ストリップ」を印刷する機能を開発した.
「カード」印刷
「カード」のサイズは,以下の条件を満たす「L判(89 x 127 mm)」とした.
・グループワークに適している大きさである
・各社のインクジェットプリンタが幅広く対応している用紙サイズである
・用紙が入手容易である
「カード」のレイアウトは,中央部に大きくポスター画像を配置し,下部には,カード名,撮影日時情報,尺,カードID情報を記載した.カードID情報は,バーコードおよび独自開発の位置検出用マーカーの2種類を印刷する.
■図3.カードレイアウト
「ストリップ」印刷
「ストリップ」のサイズも,「カード」と同様の条件を満たす「L判(89 mm)幅・可変長」とした.
「ストリップ」のレイアウトは,一定間隔毎のフレーム画像を映画フィルムに模して表示し,左部にバーコードを記載した.フレーム抽出間隔は,ユーザ設定可能とした.
■図4.ストリップレイアウト
オ.カード読取機能開発
カードの並び順を読み取る機能を開発した.読取手段を調査検討し,カードに印刷する位置検出用マーカを認識するために,Intelの画像処理ライブラリである「OpenCV」を利用することにした.当初,OpenCVの持つ高速物体認識機能を検討した.しかし,マーカー画像のトレーニングに時間がかかりすぎるため断念した.最終的には,カードの置き位置を固定し,カードの有無,カード位置,カードの位置検出マーカーの位置の検出を順に行い,位置検出マーカー部分において,テンプレートマッチング機能を利用することで,カードIDを判定する手法を採った.
*OpenCV
http://sourceforge.net/projects/opencvlibrary/
■図5.読取画面
(左・カメラの入力画像,中・歪み補正のためのコーナーポイント指定,右・カード位置検出)
カ.インターフェイス・装置・デバイス開発
前項のカード読取機能の入力装置として,DVカメラ,カード置き位置を指示する敷きマットの構成される装置を開発した.
この装置の機材選定においては,以下の条件を満たすよう考慮した.
・設置・調整が容易であること
・運搬・移動が容易であること
・部品等の入手が容易で安価なこと
■写真1:カード読み取り装置
「カード」単体および「ストリップ」の読み取り装置として,バーコードリーダを用いた.バーコードリーダで,「カード」単体を読み取った場合,そのカード内容のプレビューを行う.「ストリップ」を読み取った場合は,2回連続の読み取りでイン点・アウト点を再設定し,カード内容の尺を更新する.
また,カード読取装置が設置できない場合でも編集できるように,機能カードとの組み合わせにより,編集を可能とした.
・(例)「EDIT START」カード→ビデオ・サウンドの各カード→「EDIT END」カード
■写真2:カード単体およびストリップ読み取り装置(バーコードリーダ)
■図6:ストリップをつかったトリミング作業
キ.ワークショップ用カードのコンテンツ制作
ワークショップで使用する既存カードの素材として映像,アニメーション,サウンドの制作および委託を行った.
■図7.映像
■図8.アニメーションシリーズ
2 実験・評価(ワークショップ企画・開催)
本プロジェクトで開発したシステムを実証するため,数回のムービーカード・ワークショップを企画・開催した.
これらのワークショップでのフィードバックをもとに,システムの細かな改良を行った.
1)メディア関係者による少人数の実験
日時:2005年7月27日(木)
場所:NPO法人OurPlanet-TV・メディアカフェ(東京)
参加者:4名
参加者のうち一人が事前に撮影した映像(約30カット)を素材に編集を行うワークショップを開催した.
■写真3.ワークショップの模様
2)学生グループによる実験
日時:8月1日(月)〜3日(水)
場所:中京大学情報科学部メディア科学科
参加者:約35名(メディア科学科2年生)
同志社女子大学教授の上田信行氏の集中講義「メディアアート特別講義」内にて,「ムービーカード」ワークショップを実施した.また,ストリップ印刷機能を利用して,逆転ムービーや,リフレクションプレゼンテーションへの活用も行った.
■写真4.ワークショップの模様
3)ワークショップ関係者,クリエイターへのプレゼンテーション
日時:8月6日(土)
場所:吉野ネオミュージアム(奈良)
参加者:約20名
パーティイベント「Party of the Future 2005 Plus」にて参加者にムービーカード・プレゼンテーションを行った.また,参加者の自己紹介ビデオをカードとして印刷し,カードをランダムに配り,それぞれの自己紹介ビデオを上映するイベントを行った.
■写真5.ワークショップの模様
その他,
・2005年6月7日(火)名古屋国際センター
・2005年6月23日(木)熱田生涯学習センター(名古屋市)
・2005年6月23日(木)同志社女子大学
などでも,調査・実験を行った.
3 調査・取材
本プロジェクトの開発期間中に,教材企画の検討・具体化のために,メディアリテラシー研究者等に対して随時取材を行った.
主な取材対象者(敬称略,順不同)
・水越 伸(東京大学大学院助教授)
・小川明子(愛知淑徳大学講師)
・上田信行(同志社女子大学教授)
・苅宿俊文(NPO学習環境デザイン工房代表)
ほか多数.
関連Webサイト
http://www.videologue.com/moviecards/
4 開発成果の特徴
本プロジェクトの開発成果の特徴は,以下の通りである.
・新しいクリエイティブツール
映像編集という敷居の高い創造活動をかんたんに実現できる.
・アナログな感覚による映像経験
紙製「カード」を手にとることで,身体的な記憶と結びついた編集ができる.
・グループによる映像編集
従来の映像編集ソフトの利用では単独作業になりがちだった編集作業を,グループで行える.
・映像編集の構成力を養成
従来の映像編集ソフトでは,ただ漫然と並べていくだけでも編集した気分になるが,編集前に構成をじっくり考えることを支援する.
ムービーカードは,実物の紙製「カード」で映像編集できるシステムであり,他に類似する製品は存在しない.
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